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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第328話 浄化魔法の威力

翌朝、目覚めた俺とローレルがリビングに行くとミミちゃんがキッチンで朝ご飯の用意をしてくれていた。


「あっ、おはようございますっ。ローレルさん、サクラさん。もう少しで朝ご飯出来ますから椅子に座って待っていてください」
「ふあ~あ。おはようミミ」
「ありがとうミミちゃん。おばあさんはまだ寝てるの?」
部屋におばあさんの姿がなかったので訊ねてみる。


「あ、そういえばそうですね。おかしいなぁ? いつもは起きてる時間なんですけど……」
言いながら料理を乗せたお皿を持ってテーブルに運んでくるミミちゃん。


「どうぞ、先に食べててください。わたし、おばあちゃん起こしてきますから」
「わかったわ。いっただっきまーすっ」
家の人をさしおいて料理を食べ始めるローレル。
俺はミミちゃんたちが来るのを待つことにする。


とその時だった。


「おばあちゃんっ!?」
隣の部屋にいるミミちゃんの声が俺たちの耳に届いた。


俺は立ち上がると隣の部屋に駆けこむ。
「どうしたのミミちゃんっ?」
「おばあちゃんが全然起きないんですっ」
「起きない……?」
まさか……亡くなっているんじゃないだろうな。
悪い考えが脳裏をかすめた。


「なあに、どうしたの?」
俺の後ろからお皿片手にローレルが訊いてくる。
とりあえずご飯食べるのをやめろ。


俺はベッドで寝ているおばあさんの横に立つと様子を見た。
手をかざしてひたいを触り口元の呼吸を確認する。


よかった、ちゃんと息をしている。


「おばあさん、おばあさんっ。起きてくださいっ」
「おばあちゃん起きてっ」
俺とミミちゃんで声をかけながら肩を揺すってみるが起きる気配がまるでない。


「起きないって、こんなこと今まであったの?」
「いえ、初めてです」
ミミちゃんは不安そうな顔で首を横に振る。


どういう状態なんだろう……?
俺にはまるでわからない。


「医者に診せた方がいいんじゃないか?」
「そ、そうですね。わたしお医者さん呼んできますっ」
ミミちゃんが慌てて玄関に向かおうとしたその時、
「っていうかそんなことしなくても多分大丈夫なんじゃない?」
ローレルが落ち着き払って口を開いた。


「大丈夫ってどういうことだよ? ローレルはおばあさんのこの状態がなんなのかわかるのかっ?」
「ううん、わかんない」
「だったら――」
「でもあんた、たしか浄化魔法使えたでしょ」
くりくりっとした瞳で俺を見上げるローレル。


「使えるけどそれがなんだっていうんだ?」
「浄化魔法って状態異常を治す魔法よね。だったら眠ってるおばあちゃんにも効くんじゃないの?」
「えっ、そうなんですかっ?」
ローレルの言葉を聞いたミミちゃんが俺に顔を向ける。


「いや、どうだろう、やってみないとなんとも言えないけど……」
「お願いしますっ。試してみてくださいっ」
「……わかった。やってみるよ」


ミミちゃんの期待を一身に背負って俺はおばあさんに手をかざした。
そして、
「スキル、浄化魔法ランク10っ」
と唱えた。


直後オレンジ色の淡い光がおばあさんを包み込む。




――その光が次第に弱まり消えていくと、おばあさんが、
「……ぅん……」
声をもらした。


「おばあちゃんっ」
「……あら、おはようミミ」
「おばあちゃんっ!」
目を覚ましたおばあさんに抱きつくミミちゃん。


「なんだい? どうしたの? ミミ」
「うわぁ~ん、おばあちゃ~ん!」


ミミちゃんに抱きつかれ困惑するおばあさんだったがそれでも優しくミミちゃんの頭を撫でるのだった。




☆ ☆ ☆




「お世話になりました」
「いんや、こちらこそお世話になったようで、心なしか心の臓も楽になった気がしますわい。ほんにありがとうございました」
俺が頭を下げるとおばあさんも俺以上に深く頭を下げる。


「サクラさんがいなかったらどうなっていたか……本当にありがとうございましたっ。ローレルさんもありがとうございましたっ」
「いや、俺は別に……」
「そうよ。あんたはただあたしの言う通りに魔法を唱えただけ。本当にすごいのはあたし」


……かもしれないけど、言う必要ないだろ。


「じゃあいろいろとありがとうございました。失礼します」
「じゃあねー」
「サクラさん、ローレルさん、さようならっ」
「達者での~」


ミミちゃんとおばあさんに見送られ俺とローレルはエンペラードラゴンのいる山へと再び歩き出す。




☆ ☆ ☆




「あっ、失敗したわ」
しばらくしてから思い出したように声を上げるローレル。


「ん、なんだよ?」
「せっかく眠りから覚ましてあげたんだからお金くらい貰っとくんだったわ。ミスしたわ~。今から請求しに戻ろうかしら」
「頼むからやめてくれ」
「え~、なんで? いいじゃん」
「バカ言ってないで早く行くぞ」


俺は後ろ髪引かれているローレルを無理矢理歩かせると目的地に向かって進むのだった。

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