最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~
第327話 野宿しなくてよくなった
「こんばんはーっ! 誰かいますかーっ!」
明かりがついた木造の民家の前で大声を上げるローレル。
野宿が嫌だから泊めてもらおうとしているのだ。
あわよくば晩ご飯もご馳走になろうという魂胆もあるかもしれない。
「はい、どなたでしょうか?」
そーっとドアが開き中から十代半ばくらいの少女が顔を見せた。
「ねえ、あたしたち旅の冒険者なんだけどよかったら家に泊めてくれない?」
「は、はあ……?」
頼み方ってもんがあるだろ。
ほら、女の子が困っているじゃないか。
「どうしたんじゃミミ? お客さんかえ?」
すると少女の後ろから腰の曲がったおばあさんが現れた。
「あ、おばあちゃん。う~ん、なんかこの人たち冒険者みたいなんだけど家に泊めてほしいんだって……」
「あらあら、そうかえ。冒険者さんたちは道にでも迷ったのかえ?」
「道には迷ってないけど野宿ってあんまり好きじゃないのよね。だからもしよかったら泊めてもらえると嬉しいな~って思って」
相手はおばあさんだぞ。
敬語を使えよな。
「そうかえそうかえ。ええとも、泊まってお行き」
「ほんとっ? やったー」
「え、いいの? おばあちゃん」
少女がおばあさんに顔を向ける。
「ああ、ええんじゃ。わしは昔、冒険者さんにうんと世話になったからのう。そのお返しじゃ」
「そうなんだ。おばあちゃんがいいならいいんだけど」
「すみません。突然きて図々しいお願いをしてしまって……」
なぜ俺がローレルのフォローなんぞしなくちゃいけないんだ。
「ええともええとも、さあ二人とも入っとくれ」
「はーい。お邪魔しまーす」
ローレルは「わあ~、いい匂~い」とか言いながら家の中をきょろきょろ見回した。
俺はそんなローレルのあとに続いて家の中に上がらせてもらう。
「失礼します」
「自分の家だと思うてくつろぎなさいな」
「あ、ありがとうございます」
俺は恐縮しっぱなしでただ突っ立っているだけなのにローレルの奴は勝手に椅子に腰かけていた。
「あっ、ごめんね、二人ともご飯の途中だったんだ」
テーブルの上に並べられた料理を見てローレルが言う。
「よかったら食べていくかえ?」
どこまでも優しいおばあさん。
「えっ、いいの? ありがとう、おばあちゃんっ」
そしてどこまでも図々しいローレル。
「ミミや、二人にもご飯を用意してやっとくれ」
「わかった」
おばあさんの孫娘だろうかミミちゃんがキッチンへと向かっていった。
そして二人分の料理を持って戻ってくる。
俺たちは結局二人のご厚意に甘えさせてもらうことにしたのだった。
☆ ☆ ☆
「あ~、美味しかった~」
お腹をさすりながらローレルが口にする。
「そう言ってもらえると嬉しいです」
「ミミちゃんがご飯作ってるんだよね。すごいわね~」
「いえ、わたしなんか全然です……」
ミミちゃんは恥ずかしそうにうつむいた。
「それじゃあ、わしはそろそろ横になろうかね」
そう言っておばあさんは席を立つ。
「え、早くない? まだ八時よ」
ローレルの問いに、
「おばあちゃんは心臓が弱くていつもこのくらいの時間にはとっくに寝ているんです」
ミミちゃんが答えた。
「おやすみ、ミミ。冒険者さんたち」
「おやすみ、おばあちゃん」
「おやすみー」
「おやすみなさい」
おばあさんは俺たちに挨拶してから隣の部屋に入っていった。
「なんかごめんね。俺たちのせいで寝るのが遅くなっちゃったみたいで……」
「いえ、お二人がいて楽しかったんだと思います。寝る時間を忘れてたみたいですから」
「そう? だったらよかったけど」
ミミちゃんは俺たちを心配させないようにか、そう話す。
優しい子だ。
「ねえ、ミミたちって二人で暮らしてるの? お母さんとかは?」
訊きづらいことをさらっと訊くローレル。
「あ、お父さんとお母さんはわたしが物心つく前に事故で死んじゃったみたいで、それからずっとおばあちゃんと二人暮らしなんです」
「へー、そうなんだ」
「ごめんねミミちゃん、変なこと訊いて。こいつ頭おかしいんだ」
「はぁっ? あたしのどこが頭おかしいっていうのよっ。あんたこそ記憶ないくせに変なこと言わないでよねっ」
「記憶がないのは俺の責任じゃない」
……多分。
「ふふふっ……あ、ごめんなさい。わたし全然気にしてないですから大丈夫ですよ。それよりお二人って仲いいですよね、恋人さんですか?」
「恋人っ!? バカ言わないでよっ、誰がこんなのとっ。冗談じゃないわっ」
「ご、ごめんなさい、違ったんですねっ」
「大体あたしとこいつは仲良くなんかないからねっ。今は仕方なく一緒に行動してるだけなんだからっ」
それに関しては激しく同意する。
「あの、お二人って冒険者なんですよね。やっぱり強いんですか?」
ローレルを本気で怒らせたとでも思ったのか話題を変えようとするミミちゃん。
「まあね。あたしたちはA級の冒険者だからね」
「A級って一番強いんですか?」
「いや、A級の上にS級っていうのがあるよ」
「S級ですか? へー、初めて知りました」
ミミちゃんは興味深げに前のめりに身を乗り出してくる。
「今も冒険者のお仕事の途中なんですか?」
「そうよ。あたしたちエンペラードラゴンのうろこっていうアイテムを手に入れようとしてるとこだから」
「エンペラードラゴンのうろこ?」
「ああ。エンペラードラゴンっていう魔物を倒してるとドロップするアイテムらしいんだ」
「よくわからないけど大変そうですね」
「ねえ、そんなことよりお風呂借りてもいい? ずっと歩きっぱなしだったからあったかいお湯につかりたいのよね~」
ローレルはまたも自分勝手なことを言い出した。
「いいですよ。じゃあすぐ用意しますねっ」
ミミちゃんはすっと立つと奥の方に駆けていく。
「ローレル、少しは気を遣えよな」
「いいじゃん。おばあちゃんは自分の家みたいにくつろげって言ってくれてたわよ」
「それはそうだけど……」
「それにあんただって本当はお風呂入りたいんでしょ?」
「うっ……それは……」
俺だって歩きっぱなしだったから入れるものなら入りたいが……。
「ほら、みなさいっ。あたしのおかげで野宿しなくてもよくなったしお風呂も入れるんだから感謝してよねっ」
「……」
「ほら、あたしに何か言うことは?」
「……ああ、ありがとな」
「ふっふーん。それでいいのよ」
自慢げににやりと笑うローレル。
あらためてわかったことがある。
俺、やっぱりこいつ好きじゃない。
明かりがついた木造の民家の前で大声を上げるローレル。
野宿が嫌だから泊めてもらおうとしているのだ。
あわよくば晩ご飯もご馳走になろうという魂胆もあるかもしれない。
「はい、どなたでしょうか?」
そーっとドアが開き中から十代半ばくらいの少女が顔を見せた。
「ねえ、あたしたち旅の冒険者なんだけどよかったら家に泊めてくれない?」
「は、はあ……?」
頼み方ってもんがあるだろ。
ほら、女の子が困っているじゃないか。
「どうしたんじゃミミ? お客さんかえ?」
すると少女の後ろから腰の曲がったおばあさんが現れた。
「あ、おばあちゃん。う~ん、なんかこの人たち冒険者みたいなんだけど家に泊めてほしいんだって……」
「あらあら、そうかえ。冒険者さんたちは道にでも迷ったのかえ?」
「道には迷ってないけど野宿ってあんまり好きじゃないのよね。だからもしよかったら泊めてもらえると嬉しいな~って思って」
相手はおばあさんだぞ。
敬語を使えよな。
「そうかえそうかえ。ええとも、泊まってお行き」
「ほんとっ? やったー」
「え、いいの? おばあちゃん」
少女がおばあさんに顔を向ける。
「ああ、ええんじゃ。わしは昔、冒険者さんにうんと世話になったからのう。そのお返しじゃ」
「そうなんだ。おばあちゃんがいいならいいんだけど」
「すみません。突然きて図々しいお願いをしてしまって……」
なぜ俺がローレルのフォローなんぞしなくちゃいけないんだ。
「ええともええとも、さあ二人とも入っとくれ」
「はーい。お邪魔しまーす」
ローレルは「わあ~、いい匂~い」とか言いながら家の中をきょろきょろ見回した。
俺はそんなローレルのあとに続いて家の中に上がらせてもらう。
「失礼します」
「自分の家だと思うてくつろぎなさいな」
「あ、ありがとうございます」
俺は恐縮しっぱなしでただ突っ立っているだけなのにローレルの奴は勝手に椅子に腰かけていた。
「あっ、ごめんね、二人ともご飯の途中だったんだ」
テーブルの上に並べられた料理を見てローレルが言う。
「よかったら食べていくかえ?」
どこまでも優しいおばあさん。
「えっ、いいの? ありがとう、おばあちゃんっ」
そしてどこまでも図々しいローレル。
「ミミや、二人にもご飯を用意してやっとくれ」
「わかった」
おばあさんの孫娘だろうかミミちゃんがキッチンへと向かっていった。
そして二人分の料理を持って戻ってくる。
俺たちは結局二人のご厚意に甘えさせてもらうことにしたのだった。
☆ ☆ ☆
「あ~、美味しかった~」
お腹をさすりながらローレルが口にする。
「そう言ってもらえると嬉しいです」
「ミミちゃんがご飯作ってるんだよね。すごいわね~」
「いえ、わたしなんか全然です……」
ミミちゃんは恥ずかしそうにうつむいた。
「それじゃあ、わしはそろそろ横になろうかね」
そう言っておばあさんは席を立つ。
「え、早くない? まだ八時よ」
ローレルの問いに、
「おばあちゃんは心臓が弱くていつもこのくらいの時間にはとっくに寝ているんです」
ミミちゃんが答えた。
「おやすみ、ミミ。冒険者さんたち」
「おやすみ、おばあちゃん」
「おやすみー」
「おやすみなさい」
おばあさんは俺たちに挨拶してから隣の部屋に入っていった。
「なんかごめんね。俺たちのせいで寝るのが遅くなっちゃったみたいで……」
「いえ、お二人がいて楽しかったんだと思います。寝る時間を忘れてたみたいですから」
「そう? だったらよかったけど」
ミミちゃんは俺たちを心配させないようにか、そう話す。
優しい子だ。
「ねえ、ミミたちって二人で暮らしてるの? お母さんとかは?」
訊きづらいことをさらっと訊くローレル。
「あ、お父さんとお母さんはわたしが物心つく前に事故で死んじゃったみたいで、それからずっとおばあちゃんと二人暮らしなんです」
「へー、そうなんだ」
「ごめんねミミちゃん、変なこと訊いて。こいつ頭おかしいんだ」
「はぁっ? あたしのどこが頭おかしいっていうのよっ。あんたこそ記憶ないくせに変なこと言わないでよねっ」
「記憶がないのは俺の責任じゃない」
……多分。
「ふふふっ……あ、ごめんなさい。わたし全然気にしてないですから大丈夫ですよ。それよりお二人って仲いいですよね、恋人さんですか?」
「恋人っ!? バカ言わないでよっ、誰がこんなのとっ。冗談じゃないわっ」
「ご、ごめんなさい、違ったんですねっ」
「大体あたしとこいつは仲良くなんかないからねっ。今は仕方なく一緒に行動してるだけなんだからっ」
それに関しては激しく同意する。
「あの、お二人って冒険者なんですよね。やっぱり強いんですか?」
ローレルを本気で怒らせたとでも思ったのか話題を変えようとするミミちゃん。
「まあね。あたしたちはA級の冒険者だからね」
「A級って一番強いんですか?」
「いや、A級の上にS級っていうのがあるよ」
「S級ですか? へー、初めて知りました」
ミミちゃんは興味深げに前のめりに身を乗り出してくる。
「今も冒険者のお仕事の途中なんですか?」
「そうよ。あたしたちエンペラードラゴンのうろこっていうアイテムを手に入れようとしてるとこだから」
「エンペラードラゴンのうろこ?」
「ああ。エンペラードラゴンっていう魔物を倒してるとドロップするアイテムらしいんだ」
「よくわからないけど大変そうですね」
「ねえ、そんなことよりお風呂借りてもいい? ずっと歩きっぱなしだったからあったかいお湯につかりたいのよね~」
ローレルはまたも自分勝手なことを言い出した。
「いいですよ。じゃあすぐ用意しますねっ」
ミミちゃんはすっと立つと奥の方に駆けていく。
「ローレル、少しは気を遣えよな」
「いいじゃん。おばあちゃんは自分の家みたいにくつろげって言ってくれてたわよ」
「それはそうだけど……」
「それにあんただって本当はお風呂入りたいんでしょ?」
「うっ……それは……」
俺だって歩きっぱなしだったから入れるものなら入りたいが……。
「ほら、みなさいっ。あたしのおかげで野宿しなくてもよくなったしお風呂も入れるんだから感謝してよねっ」
「……」
「ほら、あたしに何か言うことは?」
「……ああ、ありがとな」
「ふっふーん。それでいいのよ」
自慢げににやりと笑うローレル。
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