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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第323話 エルムンドの町

「ビアンキ、エライザ、ごめんね。あたしが勝手なことをしたせいで依頼失敗したことになっちゃって……」
珍しく殊勝な面持ちでビアンキとエライザに謝るローレル。
当然のように俺への謝罪はない。まあ、どうでもいいが。


「気にしなくていいのよ。ローレル」
ビアンキはローレルの頭を優しく撫でて、
「そうだぞ。わたしでもそうしたさ」
エライザはローレルの肩にそっと手を置く。


「二人とも……ありがとう」


「ほら、そんなことよりさっさと新しい依頼を探そうぜっ」
俺は明るくそう言って壁に目線を移した。


三人もそれぞれ依頼書を見比べていく。


「これ、いいんじゃないっ?」
元気を取り戻したローレルが声を弾ませた。


「どれどれ……」
俺はローレルが指差した依頼書に目を向ける。


[私の名前はエーデルワイスといいます。エルムンドの町はずれに住んでいます。病気の母のために最高級のポーションを調合したいのでエルムンドの町の北西にある迷いの森でクリムゾンデッドウルフの角を削って持ってきてほしいです。報酬は金貨百枚でいかがでしょうか]


「エルムンドの町ってどこにあるんだ?」
「割と近いぞ。ここからなら今出れば今日の夜には着けるだろうな」
エライザが俺に説明してくれた。


「ふーん。まあ俺は依頼のことはよくわからないから任せるよ」
「わたしは別にこの依頼で構わないぞ」
「ビアンキは?」
「みんながいいならいいわよ」
「じゃあ決まりねっ」
言うとローレルは依頼書を受付カウンターに持っていく。


そして俺たちのもとへ戻ってくると、
「なんか最近男の冒険者ばかりが失踪してるんだって。だからお仲間の男性にも気をつけるように言ってくださいって言われたわ」
「へー、そうなのか」
「まあ、あんたが失踪したって別にあたしはどうでもいいんだけどね。さっ、そんなことより早速エルムンドの町に出発よっ」
手を高々と上げた。




☆ ☆ ☆




ゴンズの町をあとにした俺たち一行はエルムンドの町へと歩き出した。
道中襲ってきた魔物は俺とエライザとで返り討ちにしていった。


ちょこちょこと魔物を倒していたことで俺のレベルは117912から117985へと微増していた。




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名前:佐倉真琴


レベル:117985


HP:407783/407783 MP:382641/382869


ちから:393675


みのまもり:381134


すばやさ:347904


スキル:経験値1000倍
   :レベルフリー
   :必要経験値1/4300
   :魔法耐性(強)
   :魔法効果10倍
   :状態異常無効
   :即死無効
   :火炎魔法ランク10
   :氷結魔法ランク10
   :電撃魔法ランク10
   :飛翔魔法ランク10
   :転移魔法ランク10
   :識別魔法ランク10
   :生成魔法ランク10
   :帰還魔法ランク10
   :浄化魔法ランク10
   :回復魔法ランク10
   :レベル消費
   :峰打ち


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エライザの言っていた通りあたりが暗くなってきた頃俺たちはエルムンドの町に到着したのだった。




☆ ☆ ☆




「町はずれに住んでるって書いてあったわよね~、エーデルワイスって人」
「そうね。でもこんな時間に行って迷惑じゃないかしら」
「そんなことないわよ。依頼書にはお母さんの病気を治したいって書いてあったんだから少しでも早い方がいいはずだわっ」
ローレルは振り返ってビアンキに言う。


「ただクリムゾンデッドウルフはそれほど強い魔物ではないはずだが金貨百枚とは太っ腹だな」
「きっとお金持ちなのよっ。あっ、あの家じゃないっ?」
エライザの言葉をさらっと流すとローレルは一軒の家を指差した。


それはどこにでもあるような平々凡々な一軒家だった。


「うーん、お金持ちって感じではないなぁ」
俺がつぶやくと、
「そんなことどうでもいいじゃないの。それより早くお邪魔しましょっ」
ローレルはその家のドアを「こんばんはーっ!」と力強く叩く。


チャイムがあるんだからチャイムを使えよな。


すると、
「はーい!」
家の中から若い女性の声がして直後ドアが内側から開かれた。


おそらく依頼主のエーデルワイスさんであろう大きめの帽子を目深にかぶった女性が俺たちを見て、
「えっ、うそっ、女性の冒険者たちだったのっ!?」
驚いたように声を上げる。


「なんだ? 女じゃ不満か?」
エーデルワイスさんの言葉に過剰に反応するエライザ。
落ち着け。


「え、いや、えーっと……ってあれ? きみは男っ?」
「あ、はい。俺は男ですけど」
「あ、な~んだ、よかった。じゃあ上がって上がって」
エーデルワイスさんは俺の腕を掴んで強引に家の中に引き入れるのだった。




☆ ☆ ☆




エーデルワイスさんは二十代前半くらいだろうか。結構、というかかなり美人でちょっと変わった人だった。
四人の中で明らかに俺だけを特別扱いして異様なほどもてなしてくれた。


ずっと俺の腕に抱きつきながら「これ食べてっ」と高級そうなメロンを俺にあーんして食べさせてくる。
「いや、もういただいたので大丈夫です……」
「そんな遠慮しなくていいってば。もっといっぱい食べて、はい、あーん」
俺の口元にメロンを突き出し無理矢理口を開かせようとしてくるエーデルワイスさん。
俺は仕方なくそれを口に含む。


「どう? 美味しいっ?」
「ええ、はい、美味しいです」
「あはっ、じゃあもっと食べてっ」
「ちょっと、あたしたちはいつまでそれを見てればいいわけっ?」
業を煮やしたローレルが不機嫌そうに口を開いた。
よく見るとビアンキもエライザも不機嫌そうにしている。


「あんた、お母さんが病気なんじゃなかったの?」
「勇者様も勇者様ですよ。鼻の下を伸ばして」
「いや、俺は別にっ……」
断ったら失礼だと思ったから付き合っていただけで……。




「そういえばそうね。じゃあそろそろ行こうかしら」
そう言うとエーデルワイスさんは俺にしがみつきながらソファから立ち上がった。
俺も自然と一緒に立ち上がる。


「行くってどこへですか?」
俺が訊ねると、
「決まってるでしょ。迷いの森よ」
「え? エーデルワイスさんも行くんですか?」
「当然よ。わたしが一緒に行かないときみ森の中で迷子になっちゃうわよ」
エーデルワイスさんは俺の鼻先をちょんと触った。

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