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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第322話 三人の盗賊

ガタン……ガタン……ガタン……ガタン……。


荷馬車を走らせること二時間。
荷台の中でビアンキとエライザとともに息をひそめていたところ、


ヒヒ~ン!!


馬のいななきと同時に荷馬車が大きく揺れて止まった。


「おい、死にたくなかったら荷物を全部置いていけっ!」
「逆らったら殺すからなっ!」
「おれたちは本気だぞっ!」


どうやら盗賊が現れたようだ。


俺たちは顔を見合わせると次の瞬間荷台から飛び出す。


「な、なんだお前らっ!?」
「どういうことだっ!」
うろたえる盗賊たちに、
「待ち伏せてたのはこっちも同じだったってことよっ」
地面に下り立ったローレルが啖呵を切った。


「あんたたち、覚悟しなさいっ」
「くそっ、はかったなっ……」


盗賊は三人。みんなナタのような刃物を握り締めている。
口元をバンダナのようなもので覆っていてよくわからないが思っていたよりもずいぶん若く見える。


「ど、どうするハリーっ」
「バカっ。名前を呼ぶなっ」
「だいじょぶ、相手は女が三人と弱そうな男が一人だけだ。なんとかなるっ」


「……だそうだぞ」
エライザは楽しそうに俺を見下ろす。
何が楽しいんだ。


「エライザたちは手を出さなくていいわよっ。こんな奴らくらいあたし一人で充分だからっ」
言うとローレルは腰に差していたナイフを抜き取り三人の盗賊たちに向かって駆け出した。


そして慌てふためいている盗賊たちの中で一番背の低い者の後ろに回り込むと首筋にナイフの刃を押し当てる。


「さあ、あんたたちこいつを殺されたくなかったら武器を捨てて投降しなさいっ」


どっちが悪者だかわからないセリフを吐きローレルが勝ち誇った顔を浮かべた時だった。


「うわぁぁ~ん!」
ローレルが捕まえていた盗賊が泣き出したのだ。


「ちょっとなんなのっ……ってあんた女の子っ!?」
ローレルが盗賊の口元を覆っていた布を外してびっくり、その盗賊の正体は年端もいかない少女だった。




☆ ☆ ☆




武器を捨てた盗賊三人が素顔を見せる。


「あんたたち、年いくつよ?」
「……十四」
「……十三歳」
「……ひっく……十二歳」


盗賊たちは十四歳の少年と十三歳の少年、それから十二歳の少女だった。
全員みすぼらしいボロボロの服を着ている。


「どうして荷馬車を襲ったりしたの?」
「そ、それは……お腹が減ってたから……」
ビアンキの質問に十四歳の少年が答える。


「お腹が減って……ってどういうこと?」
「お、おれたち三人兄妹なんだけど、親が病気で死んじゃって……頼れる親戚もいないし……いつもは下水道で暮らしてるんだ」
「これまでは残飯をあさってなんとかやってきたけど最近になって警備隊の取り締まりが厳しくなって残飯も手に入れにくくなったんだよ」
「だ、だからわたしたち仕方なく……ご、ごめんなさいっ」
少女が目に涙をにじませる。


「そうだったの……」
「うーん……」
ビアンキと俺が言葉をなくしていると、
「はんっ、バッカじゃないのっ」
ローレルが声を発した。


「荷馬車襲うくらいの覚悟があるなら冒険者にでもなって命がけで稼げばいいでしょ」
「で、でもおれたちまだ十四歳だし……」
「だから何っ? 言っとくけどあたしなんか十歳の頃から親はいないし、その時から一人で冒険者やってきたんだからねっ。甘えるんじゃないわよっ」
「ローレル……」


たしかローレルは親に捨てられた孤児だと聞いた。
だからこその厳しい発言なのだろう。


「で、でも冒険者になるには金貨が必要で、その金貨一枚もわたしたちは持っていないし……」
少女が力なくもらすと、
「ほら、これやるわっ」
と言ってローレルが金貨を一枚ピンと指ではじいて少女に渡した。


「えっ……? い、いいんですか……?」
と十四歳の少年がローレルを見る。


「助けてやるのはこれっきり。あとはあんたたち次第よ」
「あ、ありがとうございますっ」
「……ありがとうございますっ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「じゃあ、もう行っていいわ。しっしっ」
追い払うように手を振るローレル。


少年たちは何度も俺たちに頭を下げながらゴンズの町へと向かっていった。




俺はローレルに向き直る。
「ローレル。よかったのか、あれで?」
「いいんじゃないの。あたしたちは別に正義の味方ってわけじゃないんだし、盗賊なんてもとからいなかったのよ」
「でもそれだと約束の金貨百枚が貰えなくなるぞ」
「いいわよ。大体あたしンゴボゴって奴気に食わなかったし。あんな奴の依頼なんてこっちからポイよ」


お金に執着心のあるローレルにしては信じがたい発言だったが俺は思わず笑みをこぼす。
見るとビアンキとエライザもどこか微笑んでいた。




☆ ☆ ☆




「依頼は失敗ということでよろしいですね」
冒険者ギルドに戻った俺たちにギルドの受付嬢が確認してくる。


「ええ、そうよ。失敗でいいわ」
とローレルが返した。


金貨百枚は成功報酬なので盗賊を捕らえることが出来なかった俺たちには当然のことながら報酬は出ない。


「かしこまりました。今回の失敗はランクの昇格に影響が出ると思いますが」
「わかってるわ」
そう言うとローレルは受付カウンターをあとにして依頼書の貼られた壁へと向かう。
俺たちもあとに続くとそこにはさっきの少年たちがいてF級の依頼書をじっくりと読み込んでいた。


ローレルと何やら会話を交わしてから俺たちの横を会釈して通り過ぎると受付カウンターに依頼書を持っていく少年たち。


俺はそんな少年たちに心の中で「頑張れよ」とつぶやいた。

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