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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第319話 ロイドとの決闘

正午。
ゴンズの町の中央広場には多くの見物人が集まっていた。
聞いたところによると鎧姿の爽やかな男が昨晩酒場に現れて世紀の大決闘があるからと触れ回っていたらしい。
間違いなくロイドのことだな。
自らの勝利を証明する証人を増やしておこうって魂胆だろう。


だがそれはこっちにとっても好都合だ。
あとで変な言い訳でお茶を濁されずに済むからな。




「勇者様、本当に私のせいで申し訳ありません」
ビアンキが頭を下げる。


「もう気にするなって。要はあいつに勝てばいいんだから」
「あんた、昨日エライザに槍の使い方教わったんでしょ。あのロイドって奴にあんたの実力見せてやりなさいっ」
「だがあとが面倒だから殺すなよ」
「わかってるよ」
ローレルとエライザをそれぞれ見返してから俺は中央広場のロイドのもとへ一人歩みを進めた。




「やあ、よく逃げなかったね。それは褒めてあげるよっ」
ロイドが俺に気付いて口を開く。


「でもこれはビアンキをかけた正真正銘の決闘だからね、ぼくは手加減しないよ。覚悟したまえっ」
ロイドは先端が鋭くとがった槍を俺に向けた。


俺も持っていた槍を構える。
「俺はいつでもいいぞ」
「そうかい。では開始の合図はぼくに任せてもらおうか」
ロイドは俺を見据えると「スキル、すばやさ3倍化っ」と唱えた。


そして、
「始めっ!」
発すると同時にロイドは俺の顔面めがけて槍を突いてきた。


「おっと」
俺はそれを背中をそらして避ける。


ロイドの奴、本当に俺を殺す気で槍を放ってきたぞ。


「まだまだっ!」
ロイドは素早い動きで連続で槍を突いてくる。
俺はそれらをすべてことごとくかわしていった。


殺さずに槍を使って勝たないといけないんだよな。
難しい注文だ。


俺は一旦退くとロイドの動きをよく見る。
ロイドは俺に反撃の隙を与えないつもりか槍を水平に構え猛追してきた。


俺はロイドが槍を突き出してきたその瞬間を狙ってロイドの槍を掴む。
そしてそのままロイドの槍を力づくで引っ張って投げ捨てようとした時だった。


「痛っ!?」
左手に鋭い痛みが走り俺は思わずロイドの槍から手を放してしまう。
俺の左手からは血がしたたり落ちていた。


「何をそんなに驚いているんだい? 槍の穂先を掴んだらそうなるのは当然のことだろう」
ロイドは余裕が出てきたのか笑みを浮かべる。


おかしい。
俺のみのまもりのパラメータの高さならこんなことくらいで怪我をするはずはないんだけど。
……もしかしてロイドの持っている槍は何か特殊な効果のある武器なのか?


「降参するなら今のうちだよ。ぼくの実力は充分わかっただろうからね」
「いや、降参はしないけどその槍、いい槍だな。どこで手に入れた?」
「これかい? これはぼくの家に代々伝わる家宝の槍だよ。相手の防御力を無視してどんなものでも貫通する最強の槍なのさっ」
ロイドは自信満々に言い放った。


マジかよ……。
防御力無視とか卑怯だろ。


「はあぁっ!」
ロイドは再び槍による攻撃を仕掛けてきた。
俺は当たったら大ダメージを受けてしまうのでやはり避ける。


すばやさのパラメータは俺の方が圧倒的に高いはずなので避けるのはわけないがどうやって倒すか……。


素手ならばスキル【峰打ち】で相手を殺さずに倒すことが出来るが槍を使って殺さずに倒すのは難しい。
俺はロイドの攻撃をかわしながら考えて仕方なく槍を逆にした。


「ん? 槍を逆さに持ったりしてなんのつもりだい? これは真剣勝負だよ。ぼくを馬鹿にしているのかい?」
「いや、馬鹿にはしてないけどさ。こうでもしないとあんたが死んじゃうからさ」
「そういうのを馬鹿にしているというんだっ!」
いきり立ってロイドが向かってきた。


俺はロイドの槍を逆に持った自分の槍でいなすとその勢いのままロイドのお腹に一撃を入れる。


「がはぁっ……!」
膝から崩れ落ちるロイド。槍を手放してしまう。
俺はその隙にロイドの槍を遠くへ投げ捨てた。


「どうだ? 槍もなくなったし、もう俺の勝ちだろ」
「ぐっ……こんなはずはないんだ、こんなはずは……」
ロイドはぶつぶつと何やらつぶやいている。


と次の瞬間、
「スキル、召喚魔法ランク8っ!」
ロイドは顔を上げ大声で魔法を唱えた。


直後上半身がロボットっぽく下半身が馬のような魔物が姿を現した。


「オーディーン、彼を倒すんだっ!」
『グオオオィィィー!!』
ロイドにオーディーンと呼ばれた魔物は咆哮を上げると目から赤い光線を放ってきた。


その光線は地面をえぐりながら俺に直撃する。


「はっはっ。やった! やったぞ! これでぼくの勝ちだっ!」
「ロイドっ、あなたなんてことをっ……」
「魔法を使うなんて卑怯よっ」
「サクラ、大丈夫かっ」
砂煙が上がる中、ビアンキたちの声が聞こえた。


「……ああ。問題ないよ」
俺は無傷でみんなに姿を見せる。


「な、なんだってっ……!? オーディーンの攻撃をまともにくらったのにっ……」
「そっちがそうくるなら俺も素手でやらせてもらうぞ」


俺はオーディーンとやらに飛びかかると本気のパンチを浴びせた。
大轟音とともにオーディーンがはじけ飛ぶ。


さらに、
「スキル、峰打ちっ」
と口にした俺は開いた口が塞がらないでいたロイドの顔面を思いきり殴り飛ばしてやった。


「ぐほぉっ……!」
ふっ飛んで地面に転がるロイド。


たたたっとローレルがロイドに駆け寄っていって、
「こいつ気絶してるわよ~っ」
と言った瞬間集まっていた野次馬たちが「「「おおーっ!」」」と歓声を上げた。


「勇者様っ」
ビアンキが俺にそっと寄ってくると俺の左手から血が出ているのを見て、
「今わたしの回復魔法で治しますからっ」
俺の手を取る。


「いや、大丈夫だよ。俺も回復魔法使えるから」
「いえ、私に治させてくださいっ」
そう言うとビアンキは「スキル、回復魔法ランク6っ」と回復魔法を唱えた。


俺の回復魔法の方がランクも上だし【魔法効果10倍】の恩恵も得られるから別にどうでもよかったのだがビアンキに回復してもらって不思議と悪い気はしなかった。

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