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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第312話 ゴンズの町

ゴンズの町に到着したのはお昼頃だった。


「はー、やっと着いたわ~」
ローレルが両手を上げながら「うーん」と大きく息を吸った。


ゴンズの町はベスパの町に比べるとやや小さく落ち着いた雰囲気の町だった。
ローレルたち三人はこの町に以前来たことがあると言うので俺たちは町の中を見て回ることもなくそうそうに依頼主であるマックスさんの自宅へと向かった。




☆ ☆ ☆




「あら、よく来てくださいました。わたしはマックスの妻のカーラです」
出迎えてくれたのはマックスさんの奥さんのカーラさんだった。


「主人は今留守なのですがすぐ戻ってくると思いますのでそれまでうちの中で待っていてください」
「そうですか。それはありがとうございます」
ビアンキが返し俺たちは家に上がらせてもらう。


「みなさんお昼は食べられましたか?」
「いえ、まだですが……」
「でしたら是非うちで食べていってください。すぐ支度いたしますので」
「えっ、いいのっ?」
ローレルははやる気持ちから身を乗り出した。


「はい、もちろんです。それではこちらで待っていてください」
カーラさんは「失礼しますね」と言い残すと部屋を出ていく。


「もうっ、ローレルったら」
「えへへっ」


「おい、サクラ」
エライザが俺に声をかけてきた。


「ん? なんだよ」
「お前今のうちにテントを買ってきたらどうだ」
「あー、そういえばそうだな」


またエライザの厄介になるわけにもいかないから自分用のテントを買っておいた方がいいな。
ついでに非常食なども買っておくか。


「じゃあちょっと行ってくるかな」
「誰かついてくる奴いるか?」と一応訊いてみるが当然のごとく誰も手を上げない。


「あんた一人で行ってきなさいよ」
「わかったよ。昼ご飯、俺の分も残しといてくれよな」
「勇者様、いってらっしゃいませ」
「はいよ。カーラさんには上手く話しておいてくれ」
俺は一人でマックスさんの家をあとにする。




ゴンズの町には露店がいくつか出ていたので俺はその店先で一人用のテントと缶詰めや乾パンなどを買った。
そしてマックスさんの家に戻ろうとしたところ――


「きゃああぁぁーっ!」


女性の悲鳴が町中に響いた。


何事かと振り返るとバッグを抱えた男がこっちに向かって走ってくる。
そして、
「ひったくりーっ、誰かその人を捕まえてくださいっ!」
女性がその後ろを追いかけていた。


とっさの出来事で町の人たちが反応できない中、俺はバッグを抱えて逃げる男の足元にすっと足をのばして転ばせる。


「うおっ……痛っ!?」


地面に派手に転げ回った男は立ち上がると、
「てめぇ、この野郎っ!」
俺に殴りかかってきた。


俺はその腕を掴むと軽くひねり上げる。
もちろんかなり手加減をしてそっとだ。


「いててててっ……は、放してくれっ!」
「はいはい」
俺は言われた通り手を放してやった。
男は恨みがましい目で俺を見ながらも逃げ去っていく。


するとそこに女性がやってきた。
女性は落ちていたバッグを拾うと、
「ありがとうございましたっ。おかげでバッグを盗まれずにすみました」
俺に向かってお辞儀をする。


「よかったですね」
「はい、本当に助かりました。ありがとうございます」


女性は何度も頭を下げながら去っていった。


とそこへ、
「いやあ、見事でしたね~」
拍手をしながら俺に近付いてくる一人の男性がいた。


「あなたは冒険者さんですか?」
眼鏡をかけたその男性はそう話しかけてくる。


「え、はい。そうですけど……」
「やっぱり冒険者さんは強いんですね~。いやあ、頼りになるなあ~」


なんだろう、この人……?


「あ、なんかすいませんね、いきなり声をかけちゃって。実はわたしは今冒険者ギルドにお願いして冒険者さんにある依頼をお願いしている最中なんですよ。冒険者ギルドの方から昨日連絡がありましてね、なんでも四人のA級冒険者さんが依頼を引き受けてくれたとか言うのでわたし今からどきどきわくわくしちゃってて」
「は、はあ……」
「いやあ、でも冒険者さんに会うのはわたし初めてなんですよ。嬉しいなあ~、握手してもらってもいいですか?」
眼鏡をかけた男性は両手を差し出してきた。


なんか変わった人だなぁ……と思いつつも俺は、
「全然いいですけど……」
と握手をする。


「あの、俺急いでいるんでそろそろいいですかね?」
長い握手を切り上げると俺はその男性に断りを入れた。


「あ、すいませんね。そういえば冒険者さんがそろそろうちに来る頃だと思うのでわたしも失礼します」
「そうですか、じゃあこれで」
「ええ、引きとめちゃってなんかすいませんでしたね」


ぺこぺこ頭を下げる男性と別れると俺はマックスさんの家に戻ろうと歩き出す。
だがその男性は俺のあとをついてくる。


しばらく歩いてもついてくるのでさすがに気になって、
「あの、まだ何か?」
振り返り訊ねると、
「あ、いえいえ、わたしの家もこっちなものですから」
と男性。


「そうなんですか……」


不審に思いながらもそのまま歩くこと五分、俺はマックスさんの家についた。
すると、
「あらら? もしかして遺跡調査の依頼を引き受けてくれたA級の冒険者さんっていうのはあなただったんですかっ?」
ずっと俺のあとをついてきていた男性が驚いた様子で声を上げる。


「えっ、じゃああなたが依頼主の――」
「はい。わたしがマックスですっ」


男性は眼鏡の位置をくいっと直してそう言い放った。

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