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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第309話 四人で冒険者ギルドへ

翌朝。
いつもよりも早く起きた俺は幸い二日酔いになっていることもなくすがすがしい朝を迎えることが出来た。


朝ご飯を軽く済ませると昨晩ローレルたちに言われた通り俺は三人が泊まっている旅館へと向かう。


「八時って言ってたよな、たしか」


酔っ払っていたがなんとか昨晩の記憶を手繰り寄せた俺はその時間に間に合うようにムーンフェイスという旅館にたどり着いた。
するとビアンキ、ローレル、エライザの三人はすでに旅館の前で俺を待ち構えていた。


「おっそーいっ!」
ローレルが俺を見て声を上げる。


「え、まだ八時にはなってないだろ?」
「あたしたちの方がA級冒険者として先輩なんだから待たせるんじゃないわよっ」
「まったくだ」
ローレルとエライザは冷たい視線を俺に浴びせた。


「なんだよ。だったらあんたらが俺を迎えに来てくれてもよかったんだぞ」
「なんでわたしたちがお前のためにそこまでしないといけないんだ」
高身長を生かして俺を見下ろしてくるエライザ。


「おはようございます、勇者様」
「ああ、おはようビアンキ」


まともに朝の挨拶をしてくれるのはビアンキだけだ。
今日も神官姿が様になっている。


「昨日はよく眠れましたか?」
「ああ、まあな。それよりも今日はA級の依頼をやるんだろ。どんな依頼なんだ? もう引き受けてあるのか?」
「いいえ、いくつか候補はありますがまだ引き受けてはいません。どうせなら勇者様がいる時に一緒に選ぼうと思いまして」
「だからこれから冒険者ギルドに行くのよっ。それなのにあんたはあたしたちを待たせるんだからっ」
「悪かったよローレル。次からはもっと早く集合するよ」


ローレルに一言謝ると俺はエライザに向き直った。


「なあエライザ、あんたってレベルいくつなんだ?」
三人の中で一番強そうなエライザに訊く。


「わたしか? わたしは99だ」
エライザはなに当たり前のことを訊くんだとばかりに吐き捨てた。


「へー。ビアンキとローレルは?」
「私もレベル99ですよ」
「あたしも99よ。っていうかA級の冒険者なら普通レベル99だと思うけど」
「なんだ、そうなのか?」
「うん。レベルが99なきゃA級の依頼なんてこなせないもん」
とローレルは言う。


「ふーん。じゃあA級とS級の違いはなんなんだ? レベルは99が上限なんだろ」
「さあね。あたしに訊かれてもわかんないわよ。S級の冒険者にでも直接訊けば?」
「そんなこと言われてもS級の冒険者に知り合いなんか……」


と言いかけたところでふとエレナさんたちの存在を思い出す。
そういえばエレナさんたちはS級だったな。
今頃どこで何をしているのだろうな……。


「なに話の途中で物思いにふけってんのよ。変な奴~」
ローレルはそう口にするとビアンキにすがりついた。


「ねぇビアンキ、やっぱりこいつと一緒に冒険するのやめない? あたしたち三人でいいじゃん」
すると、
「同感だ」
エライザもローレルに賛同する。


だがビアンキは、
「勇者様に付き従うのが私の務めだから……ごめんね二人とも」
穏やかな表情で返した。


「前にも言ったけど二人は私に構わず好きにしてくれていいのよ」
「やだよ、あたしビアンキと一緒がいいもん。それにこいつと二人きりになんてしたらビアンキ何されるかわからないよ」
「そうだな、所詮こいつも男だからな」
「おい二人とも、俺をなんだと思ってるんだ」


ローレルとエライザは男に対して強い偏見があるようだ。


「とにかくせっかく早く集まったんだからそろそろ冒険者ギルドに行かないか? いい依頼がなくなっちゃうぞ」
「あんたに言われなくてもわかってるわよ。行こっ、ビアンキ、エライザっ」
「そうね」
「行くか」
ローレルに手を引かれビアンキとエライザは歩き出す。


俺はそんな三人のあとをただ黙ってついていった。




☆ ☆ ☆




冒険者ギルドに着いた俺たち四人をほかの冒険者たちが距離を置いてじろじろと眺めてくる。


女三人に男一人のチームというのは珍しいのだろうか。
それとも三人の容姿が目立つからだろうか。


俺はあらためて前を歩くローレルたち三人を見る。


ローレルは下はミニスカート、上はピチピチのTシャツにベストというラフな恰好をしている。
見た目も動きもどことなく猫みたいな、幼顔で小柄なローレルは冒険者としては多分かなり若いのだろう。


エライザはビキニアーマーのような露出の多い服装でその上からマントを羽織っている。
背中には大きな剣を背負い、身長はそこらの男の冒険者よりも圧倒的に高い。


ビアンキはというと神官が着る法衣を身にまとっていて手には金属製の杖を持っている。
金色の長い髪に白い肌、整った顔立ちが清楚なイメージを際立たせていた。


「なんか視線が気になるよな。あんたら、有名人なんだな」
「はぁ? 何言ってるのよ。みんなが見てるのはあんたよ、あんたっ」
呆れた様子で俺の胸をつつくローレル。


「え、俺?」
「そうですよ。勇者様は歴代で一番早くA級に上がった冒険者としてみなさんから注目されているのです」
「へー、そうだったのか」
全然知らなかった。


「ちなみにこれまでの最速はエレナという今はS級の冒険者だそうだ」
エライザが付け加えた。


「へー、エレナさんがね~……」
「なんだお前、まるで知り合いのような口ぶりだな」
「ん、まあな」


S級の冒険者に知り合いがいると言ったらこいつら少しは俺のことを敬うようになるかな。


「それとビアンキがあんたのことを勇者様って呼んでいるのもあんたが注目されている理由の一つだけどね」
とローレル。


「そうなのか? だったらやっぱり勇者様って呼ぶのはなしにしてくれないか? ビアンキ」
「いいえ、駄目です。勇者様は勇者様です」


頑として態度を崩さないビアンキなのだった。

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