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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第302話 真夜中の出来事

エリーさんとともに歩くこと二時間。
俺たちはキウリ村にたどり着いた。


「ここがキウリ村ですか……」
「そうみたいね。じゃあ村長さんの家に向かうとしましょう」


キウリ村はひっそりとしていてよく言えば落ち着いた、悪く言えばさびれた雰囲気の村だった。
俺たちは出会った村人に案内してもらい村長さんの自宅を訪ねた。


扉をノックして、
「すみません。冒険者ギルドから派遣されたものですが」
エリーさんは声を上げる。


すると扉がゆっくりと開いて中から老婆が姿を見せた。


「これはこれは、冒険者の方ですか。お待ちしておりました。私が村長のカルベですじゃ」
「わたしが依頼を受けたエリーです」
「佐倉真琴です」
「わざわざご足労いただいてありがとうございますじゃ。さあ、どうぞ中へ入ってくだされ」
「はい、それでは失礼します」
「お邪魔します」


村長さんに家の中へと通される。
村長さんの家の中には三人の村人が集まっていた。


「カルベさん、そっちの二人がもしかして冒険者ってやつかい?」
「ああ、そうじゃ」
「なんだ、おれらより全然若いじゃないか」
「本当に役に立つのかねぇ……」
村人たちは疑惑の目を向けてくる。


「これっ。失礼なことを言うもんじゃない。このお二人ならわしらの村を救ってくださるはずじゃ。申し訳ありませんのう、村のもんが失礼なことを申しまして……」
「いえ、気にしていませんから。それより聞いた話では夜になると家畜が消えてしまうということでしたが本当ですか?」
エリーさんが村長さんに訊ねた。


「そうなんですじゃ。初めは鶏が一羽いなくなりました。逃げ出してしまったのかと思っていたら次の日にもまた一羽、その次の日にもまた一羽。そうやって鶏が全部いなくなったと思ったら今度は豚ですじゃ。今この村にはもう鶏も豚もいなくなってしまいましたわい。あとは牛だけですじゃ。牛までいなくなったらわしらはどうやって生きていけばよいのやら……」
「夜の間監視したりはしなかったんですか?」
「もちろんしましたとも。ですが監視についていた者はなぜかみな眠りこけてしまうのですじゃ」
村長さんは肩を落としながら話す。


「どうしたらよいか途方に暮れておった時に風の噂で冒険者さんという頼りになる人たちがいることを知ったのですじゃ。どうかこの村を、わしらをお救いくだされ」
「わかりました。では今晩わたしが見張りにつきます。任せてください」
「ありがとうございますじゃ。夜までは是非うちで休んでいてくだされ」


村長さんの計らいで俺とエリーさんは村長さんの家で夜まで厄介になることになった。
三人の村人たちは村長さんの家を出ていく時も俺とエリーさんをぶしつけに見続けていた。
村の人たちには俺たち冒険者はあまりよく思われてはいないようだ。




☆ ☆ ☆




村長さんの家の二階にて。
エリーさんはフェンシングで使うような細長い剣を丹念に磨いていた。


「エリーさん、俺はどうすればいいですか?」
そんなエリーさんに俺は話しかける。


俺の依頼内容はエリーさんの荷物持ちということになっている。
ということは俺は何もしなくてもいいということだろうか。


「ここで寝ていればいいわ。これはわたしが受けた依頼だからね」
「そうですか。でももし魔物が原因だったりしたら一人だと危なくないですか?」
「ふふっ、ありがとう。でもわたしは一応あなたよりランクは上よ。だから心配しないでいいわ」
「はあ……わかりました」


上のランクの人にいらぬお節介だったかな。
少し反省しつつ俺は窓の外を眺めるのだった。




☆ ☆ ☆




晩ご飯が済むとエリーさんが、
「じゃあわたしは外で見張りをするからあなたは寝ていていいわよ」
そう言って部屋を出ていった。


俺はお言葉に甘えてそうそうに床につく。


目をつぶって数分、うとうとし出した頃だった。


モ~ッ。


外から牛の鳴き声が聞こえたような気がした。
なんとなく気になった俺は外に出てみる。


村は夜になると真っ暗で何も見えない。
一旦戻って懐中電灯を手にすると再び外に出た。


「エリーさん、どこですかー?」
懐中電灯を照らしながら呼びかけるが返答はない。


「エリーさん、どこですかー?」


声を発しながらしばらく歩いているとエリーさんが村の入り口付近で倒れていた。


「エリーさんっ」
俺はエリーさんに駆け寄る。
外傷はない。
どうやら眠っているだけのようだった。


「ぅん……」
「エリーさんっ、気がつきましたかっ?」
「……あ、サクラくん……あれ? わたし、もしかして寝ちゃってた……?」
「はい、そうみたいです。一体何があったんですか?」
「それがわたしにもよくわからなくて。いつの間にか眠っちゃってたの……」
エリーさんは困惑した様子で俺を見上げる。




翌朝になってある村人が村長の家に「おらの牛がいなくなってるだっ」と駆けこんできた。
昨晩エリーさんが眠っていた間に村から牛が一頭消えていたようだった。

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