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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第301話 荷物持ち

「本当にありがとうございました。サクラさんのおかげでトンボロはレベル10になることが出来ました。これでこの子も前に向かってまた一歩踏み出すことが出来ます」
言いながらトンボロさんの母親は深々と頭を下げた。


「いえ、俺は何もしていませんから。トンボロさんの実力ですよ」
「ありがとう、サクラくん。ぼく今まで何をやっても上手くいかなかったんだけどサクラくんのおかげで自信がついたよ。それに調子に乗りすぎないってことも教わったしね」
トンボロさんは軽く笑ってみせる。


「そうですか。じゃあ俺はそろそろ帰りますね」
「うん。冒険者ギルドには依頼完了の報告をぼくからしておくよ」
「はい、わかりました」


これで冒険者ギルドに行けば報酬の金貨二枚が支払われるってわけだ。
結局三日かかって金貨二枚だから赤字だったけど、トンボロさんたちに喜んでもらえたからよしとするか。


「じゃあ、失礼します」
「ありがとうサクラくん」
「サクラさん、ありがとうございました」


俺はトンボロさんとトンボロさんの母親に見送られながらその場をあとにした。




☆ ☆ ☆




冒険者ギルドに着いた俺は早速リムルさんに依頼を達成したことを伝える。


「サクラ様、お疲れ様でした。トンボロ様ご本人よりうかがっておりますのでこちら報酬の金貨二枚になります。ご確認ください」
「ありがとうございます」
俺はリムルさんから金貨二枚を受け取った。


そしてそのまま新しい依頼を受けるべく依頼書の貼られた壁に向かう。


「F級、F級……」


探してみてみつかったのは一枚の依頼書だけだった。
その依頼書の内容はD級冒険者の荷物持ちというものだった。


依頼主はとあるD級の冒険者。
依頼で町の外に出かけるので荷物持ちとして同行してほしいということだった。
報酬は金貨三枚。


「これしかないなら……考えるまでもないか」


俺はその依頼書を手に取るとリムルさんに手渡す。


「こちらはエリー様というD級の冒険者様からの依頼になります。F級の冒険者様をご自分の依頼に荷物持ちとして同行させたいというものですね。こちらの依頼で構いませんか?」
「えーっと、ちなみにそのエリーさんていう人の依頼はどんな依頼かわかりますか?」
「申し訳ありません。そこまでの記載がありませんのでわかりかねます」
「そうですか……まあいいですよ。その依頼受けます」


出来ればその依頼内容も知っておきたかったが依頼がこの一つしかない以上俺に選択肢はない。
俺は依頼書を受け取ると冒険者ギルドを出てエリーさんが泊まっているという超高級旅館へと向かった。




☆ ☆ ☆




「そういえばここって、ローレルたちが常宿にしている旅館じゃないか」


そんなことをつぶやきながらエリーさんが泊まっているはずのムーンフェイスという旅館にたどり着いた俺は早速その旅館の受付嬢に事情を説明してエリーさんを呼び出してもらう。


ロビーで待つこと十分、
「ごきげんよう。あなたがわたしの依頼を引き受けてくれた冒険者かしら?」
派手な帽子をかぶったドレス姿の女性が上品な足取りで俺の目の前までやってきた。


「はい、初めまして。今回の依頼を引き受けることになった佐倉真琴です」
「サクラくんね。わたしはエリーよ、よろしく」
白いシルクの手袋をしたエリーさんは手を差し出してくる。
俺はエリーさんと握手を交わす。


「それでは行きましょうか」
「えっと、どこに行くんですか?」
「わたしが受けている依頼の依頼主がいるキウリ村っていうところよ」
とエリーさんは言うが俺はエリーさんがどんな依頼を受けているのか知らない。
なので訊いてみた。


「エリーさんが受けている依頼ってなんですか?」
「あら、冒険者ギルドの方に言ってなかったかしら。わたしの受けている依頼は消えた家畜の調査よ」
「消えた家畜?」
「ええ、ここ最近キウリ村の家畜が夜な夜な消えていっているらしいのよ。その原因を探って解決するのがわたしの役目」
「へー、なるほど」


不思議なことが起こっているんだなぁ。
そういうのを調べるのも冒険者の仕事に入っているのか。


「……で俺は何をすれば?」
事前に荷物持ちだと聞いていたがエリーさんはそれほど大荷物は持ってはいない。


「あなたにはこれとこれを持ってもらうわ」
そう言ってエリーさんは持っていたカバンと日傘を俺に渡してくる。


「わかりました」
預かった俺はそのカバンと日傘を不思議な袋の中にしまった。


すると、
「あら? それって不思議な袋じゃないの。便利なもの持っているわね」
エリーさんは興味深そうに見てくる。


「もしよかったら金貨二百枚で譲ってくださらないかしら」
「え、金貨二百枚ですかっ?」
「ええ」


エリーさんは何のためらいもなく金貨二百枚と口にした。
このエリーさんという人、D級の冒険者の割にお金にはかなり余裕がありそうだ。


「えっと、すごく魅力的なお話ではあるんですけどこのアイテムは大事なものなのでちょっと……」
この不思議な袋は俺が記憶をなくす前から持っていた物らしいからな。
おいそれと人に譲るわけにはいかない。


「そうなの? 残念だわ」
あまり残念そうには見えない様子で返すエリーさん。


「あー、それとさっきの日傘は出しておいてもらえるかしら。わたし肌が弱くて日傘がないと駄目なのよね。だからそれを太陽光が私に当たらないように常に差しておいてくれると助かるわ」
「あ……わかりました」


言われて俺は日傘だけ取り出す。
なるほど、これも依頼に含まれているのか。


「ではキウリ村の方たちが待っているはずだからそろそろ行きましょうか」
「はい」


こうして俺はエリーさんとともにキウリ村というところへ行くことになった。
もちろんその道中俺はずっとエリーさんの隣を歩き日傘を差しながらだ。

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