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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第296話 新たな依頼

壁に貼られたF級の依頼書は合計三枚あった。


俺はそれらを見比べる。
「うーん、どれがいいかな……」


俺の現在の所持金は金貨十一枚と銀貨九枚。
それなりにお金は貯まっているので何も一番報酬の高い依頼にこだわる必要もないのだが……。


三つの依頼はそれぞれ以下のようなものだった。


一つ目の依頼は迷い猫探し。
飼い猫がいなくなってしまったという少女からの依頼だった。
報酬は銀貨三枚。


二つ目の依頼は子どものレベル上げの付き添い。
依頼主は子どもの母親で子どものレベル上げを見守ってほしいというものだ。
スライムを相手にして安全にレベルを10まで上げてほしいそうだ。
報酬は金貨二枚。


三つ目の依頼はD級冒険者の荷物持ち。
依頼主はとあるD級の冒険者。
依頼で町の外に出かけるので荷物持ちとして同行してほしいということだった。
報酬は金貨三枚。


「普通に考えたら三つ目かなぁ……」


荷物なら不思議な袋の中に入れてしまえばいいわけだから問題ない。
金貨三枚も魅力的だ。
ただD級の依頼がどんなものかは書かれていないな。


「レベル上げの付き添いでもいいか……」


二つ目のスライム相手のレベル上げも悪くはない。
俺が特別何かするというわけでもなさそうだしそれで金貨二枚ならおいしい依頼だ。


それに比べて一つ目の依頼はしんどそうだ。
猫がまだこのベスパの町にいるとは限らないしみつけることが出来ても報酬はたったの銀貨三枚だけ。
割に合わない気がする。


「う~ん……一番簡単そうなのにするか」
俺は依頼書を一枚はがすとリムルさんのもとへ持っていく。




☆ ☆ ☆




「はい、かしこまりました。お子様のレベル上げの付き添いですね。こちら報酬が金貨二枚となっていますがよろしいですか?」
「はい」


俺は二つ目の依頼に決めたのだった。
決め手は楽できそうだからという単純なもの。


「では早速ここに書かれたお宅に向かってください。詳しい説明は依頼主様から直接お聞きください」
「わかりました。じゃあ行ってきます」


俺は裏面に地図の書かれた依頼書を受け取ると依頼主の家に足を運ぶのだった。




☆ ☆ ☆




「ここか……」
俺はベスパの町のとある一軒家の前にやってきていた。
見上げるとなかなかに立派なたたずまいをしている。


ピンポーン!


俺は玄関のチャイムを鳴らして、
「すみませーん」
と声をかけた。


すると家の中から「はーい」と女性の声が返ってくる。
そして五秒ほどして玄関のドアが開いた。


「はい。どちらさまでしょうか?」
家の中から現れたのは上品そうな妙齢の女性。


「あのう、冒険者ギルドで依頼を受けてやってまいりました。佐倉真琴と申します」
「あっ、ありがとうございます。冒険者さんですね。ようこそいらっしゃいました」
女性は深々と頭を下げてから、
「さあさ、どうぞ中へお入りください。狭いところですがくつろいでくださいね」
俺を家に招き入れる。


「いえいえ、ではお邪魔します」
俺は恐縮しつつ家に上がらせてもらった。




リビングに通された俺は「今、息子を連れてきますのでサクラさんは座って待っていてください」と言われたので椅子に腰かける。


子どもを待っている間なんとはなしに部屋の中を眺めていると写真が立てかけてあったのに気付く。
写真に写っているのは先ほどの女性と中年男性。


ご夫婦の写真かな……。
思いながら他の写真にも目をやる。
とそこにある写真すべてにその二人が写っていた。
だが子どもの姿はどこにもない。


ん? なんで子どもが写った写真が一枚もないんだ……?


疑問に思ったその時だった。
「お待たせしました。息子を連れてまいりました」
女性が戻ってきた。


俺は顔を上げて、
「え……?」
つい声がもれてしまう。


というのも女性の後ろで恥ずかしそうにしてうつむいていた息子さんとやらはどう見ても俺よりだいぶ年上だったのだ。


「ほら、トンボロ。挨拶して」
「う、うん……は、初めまして。トンボロです。年は三十六歳でレベルは1です。よ、よろしく」
「お利巧さんね、やれば出来るじゃないのトンボロ」
「う、うん」


大きくうなずく息子さんは写真に写っていた中年男性だったのだった。

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