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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第295話 金貨十枚

ゴブリンたちを全滅させた俺たちは洞窟から出たところで一人逃げのびていた男性と出くわした。


「みんなっ、無事だったのかっ!?」
「ああ、ゼストさんとサクラのおかげだっ」
冒険者の一人が返す。


「すまない、おれは一人で逃げてしまって……助けも呼べなくて……」
男性が言うとゼストさんがその男性の肩にぽんと手を置いた。
「何を言ってる。サクラを呼んできてくれただろ。そのおかげでおれたちは全員無事だったんだ。だから気にすることはないぞ」


「えっ、おれは別に……」
と男性が俺に目を向けたのでとりあえず俺は微笑んでおく。


「さあて、それより報酬を貰いに行くとするかっ」
「「「おおーっ」」」


ゼストさんの掛け声で俺たちはゴブリンたちがひそんでいた洞窟をあとにするのだった。




☆ ☆ ☆




セイレーンの町で依頼を受けた人たちはセイレーンの町に戻って、ほかの町で依頼を受けた人たちはそれぞれの町へと戻っていく。


俺はベスパの町で依頼を受けたのでベスパの町に戻ろうと飛翔魔法を唱えようとしたその時、
「サクラ」
ゼストさんに声をかけられた。


「あー、ゼストさん。お疲れ様でした」
「それはこっちのセリフだ。まったく、きみには驚かされたぞ。キングゴブリンを一撃で倒してしまうしランク10の回復魔法も使えるし……でも今まできみのことは顔も名前も知らなかった。それほどの冒険者ならおれが知らないはずはないんだけどな。おれはS級とA級の冒険者の顔と名前はほとんど憶えているんでね」
「そうなんですか」
「多分きみは限りなくA級に近いB級の冒険者なんだろうな。サクラか……憶えておかないといけないな」
とゼストさんは俺の胸にこぶしを当てて言う。


俺のことをB級の冒険者だと思っているようだ。
本当はF級だと教えてやりたい気もしたがリムルさんの立場が悪くなるかもしれないので黙っておくことにした。


「じゃあ俺はそろそろ失礼しますね」
金貨十枚を受け取るため俺はベスパの町へと帰る。


「スキル、飛翔魔法ランク10っ」
と唱え俺は宙に浮き上がった。
それを見たゼストさんがまたも驚く。


「きみは飛翔魔法も使えるのかっ? すごいな。A級に上がるのも時間の問題だな、これは」
「はぁ、ありがとうございます。じゃあさようなら」
ゼストさんに別れを告げると俺は一路ベスパの町へと飛び立った。




☆ ☆ ☆




「お疲れ様でした、サクラ様。C級以上の冒険者様の依頼でしたがどうでしたか?」
ベスパの町の冒険者ギルドにおもむくとリムルさんが訊いてくる。


「はい。特に問題はありませんでしたよ」
「そうですか。やはりサクラ様は実力的には今すぐA級に上がってもおかしくないくらいの実力者のようですね」
「どうも」
「とは言っても依頼をこなして実績を積まないとなかなか上には上がれないんですけれどね」
とリムルさん。


「ではこちらが約束の金貨十枚になります。ご確認ください」
「ありがとうございます」
俺はリムルさんから十枚の金貨を受け取った。
大事にそれを不思議な袋の中にしまう。


「それとF級の新しい依頼がいくつか入りましたのでよければそちらもご覧になっていってください。まだ入ったばかりですのでほかの冒険者様がみつける前に」
「あ、はい。わかりました」


ほとんどの依頼はA級、B級、C級、D級ばかりでS級とF級の依頼は数が極端に少ない。
なので複数のF級の依頼が入るのは珍しいことのようだ。
リムルさんは可愛らしくウインクをしながら俺にこそっと教えてくれたのだった。


「あ、それからローレル様たちより伝言がございます」
「伝言ですか……」
「あたしたちはA級の依頼を受けてしばらくベスパの町を離れるからね、あんたは勝手に町を出たりするんじゃないわよっ。だそうです」
「はあ……そうですか」
いかにもローレルが言いそうなセリフだ。


「じゃあ、依頼書見させてもらいますね」
「はい、どうぞご覧ください」


俺はリムルさんのもとから離れると沢山の依頼書が貼ってある壁へと向かう。
すると壁の前にいた冒険者たちが俺の姿を見て、
「お、おい、あいつっ」
「ゴレイラをのしたF級の奴だ……」
「こいつが……?」
「やばっ、どけどけっ……」
場所をあけてくれた。


どうやらA級の冒険者であるゴレイラをぶっ飛ばしたことが原因のようだ。
F級だということで馬鹿にされなくなったのは喜ばしいことだが周りの奇異な視線が背中に突き刺さる感じはあまり好ましいものではない。


これはさっさとA級に上がった方が変な目で見られなくて済むかもな。
実績を積んで上のランクに早く上がるためにも今出来ることをするしかない。


そう思い俺はF級の依頼書を探し始めるのだった。

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