最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~
第290話 ドブの中で指輪探し
「結局これしかないのかぁ」
俺は冒険者ギルドでF級向けの依頼書を壁からはがす。
「なになに、どんな依頼にしたのっ?」
ローレルが俺の持った依頼書を覗き込んできた。
「げっ。ドブさらいじゃん。ほかになかったのっ?」
「ああ。F級の依頼書はこの一枚だけしかなかったんだよ。俺だって出来ることならやりたくないさ」
俺が選んだ依頼書にはこう書かれていた。
[側溝の中に大事な結婚指輪を落としてしまいました。側溝付近のドブの中から結婚指輪をみつけ出してください。よろしくお願いします]
「ふん、大変だがそれも立派な仕事だ」
エライザが口にする。
「そりゃそうだけどさ……」
「ちなみに報酬はいくらなんだ?」
「銀貨五枚だよ」
「ふっ、そうか」
立派な仕事だと言っておきながら報酬が銀貨五枚と聞くと鼻で笑うエライザ。
「勇者様、これも人助けです。勇者様の名が上がるチャンスですよ」
「ドブさらいくらいで名が上がるとはとても思えないけどな……」
大体俺は名声などにまったく興味はない。
「まあ、これしかないんだからやるしかないよな……」
そう自分に言い聞かせると俺はその依頼書を受付カウンターにいるリムルさんのもとへ持っていく。
「はい、こちらの依頼ですね、かしこまりましたサクラ様。場所などの詳しい詳細は裏面に書かれてありますのでよろしくお願いいたします」
「わかりました」
こうして俺たちは冒険者ギルドをあとにすると依頼主の女性が結婚指輪を落としたという場所へと向かった。
☆ ☆ ☆
ばしゃっ。
ばしゃっ。
ばしゃっ。
俺は裸足になって人通りの少ない田んぼ道の側溝の中から泥水をシャベルですくい外へと出していた。
時折り泥水がはねて服や顔にかかる。
ばしゃっ。
ばしゃっ。
ばしゃっ。
「ふぅ~……」
結婚指輪はまだみつかってはいない。
俺はひたいの汗を服の袖で拭いながら一息ついた。
「……なあ、あんたら手伝おうって気はないのか?」
俺は田んぼ道にレジャーシートを敷いて座り込んでいる三人に声をかける。
「は? なんであたしたちがあんたの依頼を手伝わなくちゃいけないのよっ。あたしたちはA級の冒険者なのよ」
「その依頼はお前が受けたものだろう。だったら責任もってお前がやるべきだ」
「エライザの言う通りよ。こうしてついてきてあげただけでもあたしたちに感謝してほしいくらいだわっ」
ローレルとエライザはビアンキのいれた紅茶を美味しそうに飲みつつ返した。
「なんだよ、てっきり手伝ってくれるんだとばかり思ってたのに……じゃあローレルたちはともかくビアンキは手伝ってくれてもいいんじゃないか?」
ビアンキは俺を勇者様と呼び今後一生仕えると言っている。
つまり俺の従者のはずだ。
だが、
「それは神から勇者様に与えられた大事な試練なのです。ですから申し訳ありませんが私には勇者様の試練に手をお貸しすることは出来ません」
ビアンキはよくわからない理屈を並べて首を横に振る。
そして俺のことなど眼中にないかのごとく、
「さあ、ローレル。クッキーも持ってきたから食べていいわよ。エライザもね」
「わーい、やったーっ。ありがとうビアンキっ」
「じゃあいただくとするかな」
ビアンキたち三人は声を弾ませ十時のおやつの時間を楽しんでいた。
「あんたら何しについてきたんだ……これじゃあ一人の方がまだましだぞ」
俺がこぼした愚痴ははしゃいでいる三人の耳には届かない。
「……ったく」
仕方ないので俺は黙々と作業を進めるのだった。
☆ ☆ ☆
「あった! これだろ絶対っ」
俺は三時間かけてドブから指輪をみつけ出した。
水で泥水を洗い流し太陽にかざしてみる。
「よし、こいつで間違いないぞっ」
依頼書の裏面に書かれていた指輪の特徴とも完全に一致する。
これで今回の依頼は無事終了ってわけだ。
「ぅん? なに、指輪……みつかったの?」
寝ぼけまなこでビアンキを見るローレル。
ローレルはおやつを食べたあとずっと寝ていたのだった。
「ええ、そうみたい」
「だいぶ時間がかかったな」
そう言うエライザは待っている間田んぼ道で大剣をずっと素振りしていた。
「あんたらが手伝ってくれてればもっと早く終わったはずだけどな」
俺は皮肉まじりにつぶやくと三人のもとへと近付いていく。
「あーよく寝たわぁ――っていうかあんた臭うわよ。あんまり近寄らないでくれる。しっしっ」
「しょうがないだろ。こちとら三時間もドブさらいしてたんだから」
俺はミネラルウォーターで足と顔を洗い流した。
「ふひゅ~、気持ちいいっ」
「勇者様、お疲れさまでした」
「ああ」
俺は不思議な袋の中から取り出したタオルで顔を拭きながら返す。
「じゃあ冒険者ギルドに戻るか」
報酬を受け取るためそう声をかけると、
「あんた一人で行きなさいよ」
ローレルが面倒くさそうに口にした。
「いや、俺はそれで別に全然構わないけどビアンキは俺についていないといけないんだろ?」
「いえ、私は勇者様にお仕えするとは言いましたが常に一緒にいなければいけないわけではありません」
「え、そうなの?」
「はい」
ビアンキは淡々と答える。
「先ほど私たち三人で話し合った結果、勇者様にはとりあえずA級の冒険者になってもらうということで話がまとまりました」
「ん? どういうことだ?」
「あのね、あたしたちはA級の冒険者、そんであんたはF級の冒険者。ランクが全然違うのに一緒に行動するのは何かと不便なのよねぇ。どうせなら同じ依頼を一緒にこなした方が楽だしさ」
「まあ、それはそうかもしれないが……」
「わたしたちだって暇じゃないからな。お前の依頼に毎回付き合うわけにもいかんしな」
大剣を鞘に納めながらエライザ。
「じゃあなんで今回はついてきたんだよ」
「お前の仕事ぶりを一度見ておこうと思っただけだ。特に深い意味はない」
「それと休息を兼ねてです」
「あんたのおかげで久しぶりに休めたわ」
エライザもビアンキもローレルもすがすがしい顔で言った。
「ってことは俺がA級の冒険者になるまでは別行動ってことか?」
「はい、そうなります」
「そっか……まあ、ビアンキがそれでいいなら全然いいけど」
もとより俺は一人の方が気楽でよかったわけだからな。
「ですが勇者様、勝手に町を出たりしないでくださいね。依頼でどうしても町を出なければいけない時は一言声をかけてください」
「え~……面倒だなぁ」
「わたしたちはいつもムーンフェイスって旅館に泊まっているからフロント係に伝言を残しておいてくれればいいさ」
「一人当たり一泊金貨十枚の超高級旅館だから来る時はきれいな恰好で来なさいよねっ」
一人当たり一泊金貨十枚だと……。
こいつらいいところに泊まってるんだなぁ……。
「……わかったよ。じゃあ俺は冒険者ギルドに行くからここでお別れだな」
「はい。勇者様、A級目指して頑張ってくださいね」
「はいはい」
俺はビアンキたちに別れを告げると一人冒険者ギルドへと戻るのだった。
俺は冒険者ギルドでF級向けの依頼書を壁からはがす。
「なになに、どんな依頼にしたのっ?」
ローレルが俺の持った依頼書を覗き込んできた。
「げっ。ドブさらいじゃん。ほかになかったのっ?」
「ああ。F級の依頼書はこの一枚だけしかなかったんだよ。俺だって出来ることならやりたくないさ」
俺が選んだ依頼書にはこう書かれていた。
[側溝の中に大事な結婚指輪を落としてしまいました。側溝付近のドブの中から結婚指輪をみつけ出してください。よろしくお願いします]
「ふん、大変だがそれも立派な仕事だ」
エライザが口にする。
「そりゃそうだけどさ……」
「ちなみに報酬はいくらなんだ?」
「銀貨五枚だよ」
「ふっ、そうか」
立派な仕事だと言っておきながら報酬が銀貨五枚と聞くと鼻で笑うエライザ。
「勇者様、これも人助けです。勇者様の名が上がるチャンスですよ」
「ドブさらいくらいで名が上がるとはとても思えないけどな……」
大体俺は名声などにまったく興味はない。
「まあ、これしかないんだからやるしかないよな……」
そう自分に言い聞かせると俺はその依頼書を受付カウンターにいるリムルさんのもとへ持っていく。
「はい、こちらの依頼ですね、かしこまりましたサクラ様。場所などの詳しい詳細は裏面に書かれてありますのでよろしくお願いいたします」
「わかりました」
こうして俺たちは冒険者ギルドをあとにすると依頼主の女性が結婚指輪を落としたという場所へと向かった。
☆ ☆ ☆
ばしゃっ。
ばしゃっ。
ばしゃっ。
俺は裸足になって人通りの少ない田んぼ道の側溝の中から泥水をシャベルですくい外へと出していた。
時折り泥水がはねて服や顔にかかる。
ばしゃっ。
ばしゃっ。
ばしゃっ。
「ふぅ~……」
結婚指輪はまだみつかってはいない。
俺はひたいの汗を服の袖で拭いながら一息ついた。
「……なあ、あんたら手伝おうって気はないのか?」
俺は田んぼ道にレジャーシートを敷いて座り込んでいる三人に声をかける。
「は? なんであたしたちがあんたの依頼を手伝わなくちゃいけないのよっ。あたしたちはA級の冒険者なのよ」
「その依頼はお前が受けたものだろう。だったら責任もってお前がやるべきだ」
「エライザの言う通りよ。こうしてついてきてあげただけでもあたしたちに感謝してほしいくらいだわっ」
ローレルとエライザはビアンキのいれた紅茶を美味しそうに飲みつつ返した。
「なんだよ、てっきり手伝ってくれるんだとばかり思ってたのに……じゃあローレルたちはともかくビアンキは手伝ってくれてもいいんじゃないか?」
ビアンキは俺を勇者様と呼び今後一生仕えると言っている。
つまり俺の従者のはずだ。
だが、
「それは神から勇者様に与えられた大事な試練なのです。ですから申し訳ありませんが私には勇者様の試練に手をお貸しすることは出来ません」
ビアンキはよくわからない理屈を並べて首を横に振る。
そして俺のことなど眼中にないかのごとく、
「さあ、ローレル。クッキーも持ってきたから食べていいわよ。エライザもね」
「わーい、やったーっ。ありがとうビアンキっ」
「じゃあいただくとするかな」
ビアンキたち三人は声を弾ませ十時のおやつの時間を楽しんでいた。
「あんたら何しについてきたんだ……これじゃあ一人の方がまだましだぞ」
俺がこぼした愚痴ははしゃいでいる三人の耳には届かない。
「……ったく」
仕方ないので俺は黙々と作業を進めるのだった。
☆ ☆ ☆
「あった! これだろ絶対っ」
俺は三時間かけてドブから指輪をみつけ出した。
水で泥水を洗い流し太陽にかざしてみる。
「よし、こいつで間違いないぞっ」
依頼書の裏面に書かれていた指輪の特徴とも完全に一致する。
これで今回の依頼は無事終了ってわけだ。
「ぅん? なに、指輪……みつかったの?」
寝ぼけまなこでビアンキを見るローレル。
ローレルはおやつを食べたあとずっと寝ていたのだった。
「ええ、そうみたい」
「だいぶ時間がかかったな」
そう言うエライザは待っている間田んぼ道で大剣をずっと素振りしていた。
「あんたらが手伝ってくれてればもっと早く終わったはずだけどな」
俺は皮肉まじりにつぶやくと三人のもとへと近付いていく。
「あーよく寝たわぁ――っていうかあんた臭うわよ。あんまり近寄らないでくれる。しっしっ」
「しょうがないだろ。こちとら三時間もドブさらいしてたんだから」
俺はミネラルウォーターで足と顔を洗い流した。
「ふひゅ~、気持ちいいっ」
「勇者様、お疲れさまでした」
「ああ」
俺は不思議な袋の中から取り出したタオルで顔を拭きながら返す。
「じゃあ冒険者ギルドに戻るか」
報酬を受け取るためそう声をかけると、
「あんた一人で行きなさいよ」
ローレルが面倒くさそうに口にした。
「いや、俺はそれで別に全然構わないけどビアンキは俺についていないといけないんだろ?」
「いえ、私は勇者様にお仕えするとは言いましたが常に一緒にいなければいけないわけではありません」
「え、そうなの?」
「はい」
ビアンキは淡々と答える。
「先ほど私たち三人で話し合った結果、勇者様にはとりあえずA級の冒険者になってもらうということで話がまとまりました」
「ん? どういうことだ?」
「あのね、あたしたちはA級の冒険者、そんであんたはF級の冒険者。ランクが全然違うのに一緒に行動するのは何かと不便なのよねぇ。どうせなら同じ依頼を一緒にこなした方が楽だしさ」
「まあ、それはそうかもしれないが……」
「わたしたちだって暇じゃないからな。お前の依頼に毎回付き合うわけにもいかんしな」
大剣を鞘に納めながらエライザ。
「じゃあなんで今回はついてきたんだよ」
「お前の仕事ぶりを一度見ておこうと思っただけだ。特に深い意味はない」
「それと休息を兼ねてです」
「あんたのおかげで久しぶりに休めたわ」
エライザもビアンキもローレルもすがすがしい顔で言った。
「ってことは俺がA級の冒険者になるまでは別行動ってことか?」
「はい、そうなります」
「そっか……まあ、ビアンキがそれでいいなら全然いいけど」
もとより俺は一人の方が気楽でよかったわけだからな。
「ですが勇者様、勝手に町を出たりしないでくださいね。依頼でどうしても町を出なければいけない時は一言声をかけてください」
「え~……面倒だなぁ」
「わたしたちはいつもムーンフェイスって旅館に泊まっているからフロント係に伝言を残しておいてくれればいいさ」
「一人当たり一泊金貨十枚の超高級旅館だから来る時はきれいな恰好で来なさいよねっ」
一人当たり一泊金貨十枚だと……。
こいつらいいところに泊まってるんだなぁ……。
「……わかったよ。じゃあ俺は冒険者ギルドに行くからここでお別れだな」
「はい。勇者様、A級目指して頑張ってくださいね」
「はいはい」
俺はビアンキたちに別れを告げると一人冒険者ギルドへと戻るのだった。
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