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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第285話 酒場での喧嘩

「お待たせいたしましたー。こちらビールになりますっ」
店員さんがビールジョッキを三つ持ってやってきた。


待ってましたと言わんばかりにローレルがジョッキを手に取って飲み始める。
ビアンキとエライザも目の前に置かれたジョッキに口をつけた。


「お客様、ご注文は何になさいますか?」
メニューを開く店員さんに、
「えっと、おすすめの料理と飲み物をお願いします」
とにかくなんでもいいから早く食事を済ませたかったのでそう返しておく。


「かしこまりました」
店員さんはテーブルの上にあった空のお皿とジョッキを持って戻っていった。


「ぷはぁ~っ。やっぱり冒険のあとのビールは格別よねぇ~」
「ローレルったら口に泡がついてるわよ」
「子ども扱いしないでってばぁ~」


ビアンキが紙ナプキンでローレルの口元を拭いてやっている。
その様子を微笑を浮かべながら見守るエライザ。




しばらくすると俺の目の前に料理が運ばれてきた。
運ばれて来たものはナポリタンスパゲッティとビールだった。


「こちらでよろしかったでしょうか?」
「はい。ありがとうございます」
俺は店員さんにお礼を言うと早速フォークを持ってそれを食べ始める。


うん、美味しいっ。




「おいおい、こんなところに美人の姉ちゃんが二人もいるじゃねぇかっ。ひっく」
「おぉー、こりゃいいや。おい姉ちゃん、こんな弱っちそうな男とじゃなくてオレらと一緒に飲もうぜっ」
「楽しませてやるからよ、げっへっへ」


二口目を口に入れようとした時だった。
顔を朱色に染めた男たちがふらふらっと俺たちのテーブルに近寄ってきた。
腰に剣を差しているところを見ると冒険者だろうか。


「何よ、あんたたち。せっかくの食事の時間を邪魔しないでくれるっ」
「あんっ? なんだてめぇ。オレらはチビに用はねぇ、引っ込んでな!」
「ガキはママのところに早く帰ぇれ!」
「あと十年もしたら可愛がってやるよ、げっへっへ」
「なんですってっ!」


するとローレルを馬鹿にされたことに腹を立てたのかエライザがローレルを手で制すると無言で立ち上がる。
立ち上がってみてわかったがエライザはやはりかなりでかかった。
百九十センチ近くあるかもしれない。


「な、なんだ姉ちゃん、文句でもあんのかっ!」
「ローレルに謝れ」
「謝れ? 女のくせに生意気だぞ、こらっ!」
「女のくせにだと……貴様、死にたいのか?」


俺の頭上でにらみ合う両者。
一触即発の空気が漂う。
喧嘩ならよそでやってくれないかなぁ……。


「ローレル、エライザ、もう出ましょう」
そこでビアンキが口を開いた。


「こんな人たちを相手にする必要はないわ。行きましょ」
立ち去ろうとする。
と、
「待てよ、姉ちゃん!」
「きゃっ」
男のうちの一人がビアンキの腕を掴んで自分のもとに引き寄せた。


「姉ちゃんいい匂いがするなぁ、ひっく」
髪のにおいを嗅ぐ男。


「おい、オレにも嗅がせろよ」
「ちょっと、手を放してくださいっ」
その瞬間だった。
「あんたらっ!」
「貴様らっ!」
ローレルがテーブルの上に跳び乗るとビアンキを掴んでいた男のあごに飛びひざ蹴りをくらわせた。
エライザもビアンキの髪のにおいを嗅ごうとしていた男の顔面を殴り飛ばす。


「「ぐはぁっ……!」」
二人の男は隣のテーブルにぶつかり派手に転がった。
気絶したのか二人の男は床に倒れたまま動かない。


「て、てめぇらっ!」
それを見た残る一人の男が腰に差していた剣を抜く。


「オレらにこんなことしやがってただじゃおかねぇぞっ!」
「剣を抜いたな。つまり死ぬ覚悟があるってことだな」
エライザは背中の大剣を掴んで引き抜いた。
そして重そうなその大剣を片手で軽々と一振りしてから構える。
その姿はかなり様になっていた。




「くっ……こ、こいつがどうなってもいいのかっ!」
エライザに気圧された男は何を思ったか突然俺の背後に回りこんで剣を俺の首に当ててくる。
俺はそこでフォークを動かす手を止めた。


「ん、なんのつもりだ貴様?」
「その剣を置けっ! さもないとこいつを殺すぞっ!」
「……好きにしろ」
「なっ!? オレは本気だぞっ!」
「だから好きにしろと言っている。そいつはわたしたちの仲間でもなんでもない」
エライザは男の声にまったく耳を貸さない。


「く、くそがぁっ!」
男は俺の首から剣を離すとやぶれかぶれでエライザに向かっていった。


エライザの目が鋭く光ったような気がした。


俺はエライザが大剣を振り下ろすより一瞬早く、
「スキル、峰打ちっ」
と唱えると男の首筋に手刀を叩き込む。


「がはぁっ……!?」
俺の一撃を受け男が床に膝から崩れ落ちた。


すると、
「どういうつもりだ? わたしは助けなど必要なかった。大体わたしはお前を見殺しにしようとしたんだぞ」
大剣を肩に担いでエライザは俺を見下ろす。


「わかってるけど俺が止めなかったらあんたはこの男を殺すつもりだっただろ。この男に殺す価値なんてないよ」
「……ふんっ。余計なことを」


とその時だった。


ピイィィィー! ピイィィィー!


外からけたたましい笛の音が聞こえてきた。


「警備隊だっ! 警備隊が来たぞっ!」
誰かがそう叫ぶ。
そしてその直後だだだだだだっと軍人のような恰好をした大男たちが店内になだれ込んできた。


「おい主人、ここで喧嘩があったそうだなっ」
男たちの中でもひときわ大きな男が店の主人に呼びかけた。


「は、はいっ」
「どいつが主犯だっ?」
「は、はいっ。その四人の男たちですっ」
店の主人はあろうことか倒れている三人の男と俺を指差す。


「よしっ。こいつらをひっとらえて牢屋にぶち込んで置けっ」
「「「はっ」」」


大男たちが倒れている三人の男と俺をひょいと持ち上げた。


「えっ? ちょっと待って。俺は違いますって」
「ええい、うるさいっ」
「ちょっと、あんたたちからもなんとか言ってくれ……ってあれっ!?」
「何を言ってるんだっ。黙っていろっ」


気付くとエライザたち三人は店内から忽然と姿を消していた。
そして俺はベスパの町の地下牢へと担ぎ込まれることとなった。

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