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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第281話 初めての報酬

「はい、間違いありませんよ。サクラ様は今日初めて冒険者登録されたのでF級冒険者様になります」
「なっ、マジかよっ……」


冒険者ギルドにて受付嬢のリムルさんの口にした言葉に絶句するガイさん。


「ほらみなさいよガイ。サクラくんが嘘つくわけないじゃない」
「信じられない……マジでF級だったのかお前?」
ガイさんは俺に向き直る。


「だからそう言ったじゃないですか」
「だったらインペリアルベヒーモスを一発で倒せるような実力があるくせに今まで一体どこで何をやってたんだお前はっ?」
「ええっと、それは……」
記憶がないからわからないのだが……。


「そんなことどうでもいいじゃないの。それよりさっさと依頼の報酬受け取っちゃいましょ」
俺が話しにくそうにしていたのを察してかエレナさんが俺とガイさんの間に割って入った。


「じゃあ先にわたしたちからでいい? サクラくん」
「あ、どうぞ」
俺がうなずくとエレナさんは、
「わたしたちインペリアルベヒーモスを退治してきましたっ」
言ってリムルさんに依頼書を手渡す。


「はい、かしこまりました」
リムルさんはすんなりとエレナさんの言葉を信じて受け入れた。
やはりS級の冒険者ということで実績もあるから信頼されているのだろう。


「では報酬の金貨三百枚ですがどうしたしますか? いつものようにお預かりいたしましょうか?」
「うーん、ちょっと待ってくださいね」
そう言うとエレナさんはミコトさんに「ねえミコト、今いくらくらい持ってたっけ?」と話しかけた。


するとミコトさんは肩にかけたバッグの中を確認して、
「えっと……金貨が五枚と銀貨が二枚、銅貨が十枚くらいです」
と答える。


それを受けてエレナさんは、
「金貨五枚か~、じゃあとりあえず金貨十枚だけください。残りはいつものように預けます」
リムルさんに向かって言った。


「かしこまりました……それではこちらが金貨十枚になります。ご確認ください」
「はーい、ありがとうございますっ」
「それからエレナ様宛に手紙が届いていましたのでこちらもお持ちください」


十枚の金貨と一通の手紙を受け取ったエレナさんは俺を見る。


「お先にありがとねっ。じゃあ次はサクラくんの番だよ」
「はい、わかりました」


俺はエレナさんと入れ替わりにカウンターの前に出るとリムルさんに依頼書を差し出した。
それと一緒に不思議な袋の中から麻酔草を取り出してカウンターの上に出していく。
「F級の依頼の麻酔草五十枚採ってきました」
「はい、数えさせていただきますね」


俺が不思議な袋の中から麻酔草を掴んで出して、それをリムルさんが丁寧に一枚一枚数えていると、
「ねえねえサクラくん、さっきも思ったんだけどそれって不思議な袋だよねっ?」
目をきらきらさせながらエレナさんが話しかけてきた。


「あ、はい、そうですけど」
「それってどこで手に入れたのっ? モンスタードロップ? わたしも欲しいんだけどなかなかみつからないのよね~」


どうでもいいが顔がかなり近い。
エレナさんのきれいな顔を前にして少しだけ緊張してしまう。


「そうなんですか……」
返しつつ俺はどう答えようかと逡巡した。
記憶がない以上どこで手に入れたのかさっぱりわからない。
気付いたら腰にぶら下がっていただけなのだから。


答えに詰まっていると、
「サクラ様、確認いたしました」
リムルさんが数え終えたようだった。


俺はエレナさんとの会話もそこそこに前を向く。


「はい、たしかに麻酔草五十枚ありますのでこちら成功報酬の金貨一枚と銀貨五枚になりますね」
リムルさんは優しく俺の手を取ると合計六枚のコインを俺の手の上に置いた。


「あ、ありがとうございます」
「いいえ、こちらこそありがとうございました。今回のように実績を積んでいかれるとE級、D級とランクが上がっていきますのでこれからもよろしくお願いいたしますね」
微笑むリムルさん。


「はい、こちらこそお願いします」


俺は頭を下げると後ろで待ってくれていたエレナさんたちに振り返る。


「終わりました」
「サクラお前、なに金貨一枚程度で浮かれてるんだ?」
「え、だって初めてお金を稼いだんですよ。なんか嬉しいじゃないですか」
本当に初めてかどうかは疑わしいが嬉しいことは事実だ。
思わず笑みがこぼれる。


「はあ? そういうもんかね」
ガイさんは眉をひそめて俺を見るが、
「わかるわその気持ちっ。わたしも初めて依頼をこなして報酬を受け取った時は跳び上がるくらい嬉しかったもの」
エレナさんが同意してくれた。


「わ、わたしもわかります」
ミコトさんも続いて口を開く。


「わたしその時の金貨、お守りとして肌身離さず持ってますから」
そう言ってミコトさんはぴかぴかの金貨を取り出して見せてきた。


「へー、そうなんですね」
「ミコトそんなの持ってたんだぁ~。知らなかったわ」
「おいお前ら、無駄話はそこまでにしろ。あとがつかえてるぞっ」


ガイさんの言う通り俺たちの後ろには依頼書を手にした冒険者たちが列を作っていた。
俺とエレナさんとミコトさんは背中を丸めて「すみませんっ」と言いながらその場を離れるのだった。

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