最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~
第280話 麻酔草の木
「まったく、なんでS級のおれが麻酔草探しなんか……」
先頭を歩くガイさんはぶつぶつ文句を言いながら茂みをかき分けていく。
「もとはと言えばガイがインペリアルベヒーモスをとり逃がしたのが悪いんだからいつまでもぐちぐち言わないでよねっ」
ガイさんの妹のエレナさんがガイさんの背中に向かって声を飛ばした。
「お前が変な安請け合いするからだろうがっ」
「何よ、サクラくんは私たちのミスをカバーしてくれた恩人でしょ。お返しにサクラくんの依頼を手伝うくらい当然じゃないっ」
「けっ。大体おれはな、そいつがF級の冒険者だなんてこれっぽっちも信じてないからな。インペリアルベヒーモスを倒せるF級の冒険者なんかいるわけないだろ」
「そうやってガイがいっつも人を疑ってばかりいるからわたしたちのチームはいつまで経っても三人のままなんだからねっ」
兄妹喧嘩が続く。
「この間だってわたしたちと組んで一緒に依頼を受けないかって誘いを勝手に断ってたし」
「あいつらはお前が目当てだったたけだっ。そんなことにも気付かないからお前はガキなんだっ」
「何よそれっ。わたしは充分大人ですっ、独りよがりのガイの方がよっぽど子どもじゃないのっ」
「あの、大丈夫ですか? あの二人。なんか俺のせいで険悪な感じになってますけど……」
後ろを歩く俺は前を行くミコトさんに小声で話しかける。
「あ、き、気にしないでください。ガイさんとエレナさんはいつもあんな感じですから」
「え、そうなんですか?」
「は、はい。だから、サクラさんのせいじゃないですよ」
ミコトさんは振り返りながら小さく返した。
ミコトさんはエレナさんに比べると背も低く髪の色も服装も性格も落ち着いた感じであまり強そうには見えないが、S級冒険者ということなので実際はかなり強いのだろう。
「あーもう、こんな建設的じゃない話はおしまいっ。それよりも……ねえサクラくん、サクラくんって年いくつっ?」
エレナさんが大きく声を張り上げて振り返る。
「多分ミコトと同い年くらいかなぁって思ってたから今までタメ口で話しちゃってたけど、もしかしてわたしより年上ってことはないわよね?」
まいったぞ……記憶がないから自分が何歳かもよくわからない。
記憶喪失だ、なんて言ったら余計な心配させるだけだし……。
「えっと、エレナさんたちは何歳なんですか?」
「わたしは十九歳よっ。それでガイが二十歳。ミコトは十八歳」
「あー、そうなんですか」
相槌を打ちつつ俺は考える。
俺は今三人全員に対して敬語を使っているからこのままの関係性を通すなら三人よりも年下に設定した方が何かと都合がよさそうだ、と。
その結果、
「俺は十七歳ですっ」
と自分の年齢を適当に答えていた。
「あっそうなんだ。やっぱり年下だったんだね、よかったぁー。実は年上でしたじゃなんか気まずいもんね」
「そ、そうですね」
その可能性もなくはないのだが俺の記憶が戻らない限り真相は分からない。
とその時だった。
「エレナ、無駄話はそこまでだっ。サクラ、あったぞっ」
一番前を歩いていたガイさんが立ち止まると上を指差した。
俺たちはガイさんのもとまで歩くと目の前にあった大木を見上げる。
「ほんとだ、麻酔草の木だわっ」
「大きいですね~」
「これが麻酔草の木かぁ……」
よく見るとかなり高い位置にハートの形をした葉っぱが沢山生い茂っていた。
「サクラくんは麻酔草の木を見るのは初めてなの?」
「はい」
記憶がないので断定はできないが多分初めて……だと思う。
「もしかしてミコトも初めて?」
エレナさんが俺と同様に麻酔草の木を物珍しそうに眺めていたミコトさんにも訊くと、
「あ、はいそうです。麻酔草ってこんな風に木になっていたんですね~」
ミコトさんは何度かうなずいてみせる。
「ほら、早いとこ採っちまおうぜっ。五十枚だったか?」
ガイさんが木の枝に手をかけ登ろうとし出したので、
「すみません、ガイさん。あとは俺一人でやるんでもういいですよ」
俺はそんなガイさんの背中に声をかけた。
「あ? なんだよ、人がせっかく手伝ってやろうって言ってんのに」
「いや、いちいち登るのも大変かなぁと思って……」
「は? 登らなきゃ採れないだろうが」
「スキル、飛翔魔法ランク10っ」
俺は唱えると宙に浮き上がる。
「なっ!? サクラ、お前っ!?」
「すっごーい! サクラくん、飛翔魔法なんて使えるのっ」
「そ、それもランク10ですよ……」
「ちょっと採ってきますねっ」
三人が驚きの表情を浮かべる中、俺は高い位置まで飛び上がると麻酔草を摘み取って不思議な袋の中に入れていった。
☆ ☆ ☆
「……四十八枚、四十九枚、五十枚っと。これでおしまいだな」
依頼内容の麻酔草五十枚を採りきった俺は三人の待つ地面に下り立つ。
「お待たせしました」
「サクラ、お前マジで何もんなんだ……?」
「え? どういうことですか?」
「飛翔魔法なんてレアな魔法、しかもランク10なんてF級の冒険者じゃ絶対あり得ないぞっ。お前やっぱりおれらが知らないだけでS級の冒険者なんだろっ」
ガイさんがまたしても詰め寄ってきた。
「いや、だからさっきも言いましたけど違いますって」
「いいや、信じられんっ。こうなったら一緒にギルドに行ってお前が本当にF級の冒険者かどうかたしかめてやるっ!」
鼻息荒くガイさんが言う。
そしてすたすたと森の出口に向かって一人で歩き出した。
「まあ、別にいいですけど……」
苦笑しながら返す俺に、
「サクラくん、うちのバカ兄貴がごめんね」
こそっと耳打ちしてくるエレナさん。
「でも、あれで結構機嫌いいんだよっ」
「そうなんですか?」
「うんっ」
そう言うエレナさんもどこか楽しそうだ。
「おいサクラ、早く来いっ! エレナもミコトもぼさっとするな、置いてくぞっ!」
ガイさんが振り向いた。
「あ、はいっ」
「今行くわよっ!」
「あ、待ってくださ~い」
こうして俺たちは四人でベスパの町に戻るのだった。
先頭を歩くガイさんはぶつぶつ文句を言いながら茂みをかき分けていく。
「もとはと言えばガイがインペリアルベヒーモスをとり逃がしたのが悪いんだからいつまでもぐちぐち言わないでよねっ」
ガイさんの妹のエレナさんがガイさんの背中に向かって声を飛ばした。
「お前が変な安請け合いするからだろうがっ」
「何よ、サクラくんは私たちのミスをカバーしてくれた恩人でしょ。お返しにサクラくんの依頼を手伝うくらい当然じゃないっ」
「けっ。大体おれはな、そいつがF級の冒険者だなんてこれっぽっちも信じてないからな。インペリアルベヒーモスを倒せるF級の冒険者なんかいるわけないだろ」
「そうやってガイがいっつも人を疑ってばかりいるからわたしたちのチームはいつまで経っても三人のままなんだからねっ」
兄妹喧嘩が続く。
「この間だってわたしたちと組んで一緒に依頼を受けないかって誘いを勝手に断ってたし」
「あいつらはお前が目当てだったたけだっ。そんなことにも気付かないからお前はガキなんだっ」
「何よそれっ。わたしは充分大人ですっ、独りよがりのガイの方がよっぽど子どもじゃないのっ」
「あの、大丈夫ですか? あの二人。なんか俺のせいで険悪な感じになってますけど……」
後ろを歩く俺は前を行くミコトさんに小声で話しかける。
「あ、き、気にしないでください。ガイさんとエレナさんはいつもあんな感じですから」
「え、そうなんですか?」
「は、はい。だから、サクラさんのせいじゃないですよ」
ミコトさんは振り返りながら小さく返した。
ミコトさんはエレナさんに比べると背も低く髪の色も服装も性格も落ち着いた感じであまり強そうには見えないが、S級冒険者ということなので実際はかなり強いのだろう。
「あーもう、こんな建設的じゃない話はおしまいっ。それよりも……ねえサクラくん、サクラくんって年いくつっ?」
エレナさんが大きく声を張り上げて振り返る。
「多分ミコトと同い年くらいかなぁって思ってたから今までタメ口で話しちゃってたけど、もしかしてわたしより年上ってことはないわよね?」
まいったぞ……記憶がないから自分が何歳かもよくわからない。
記憶喪失だ、なんて言ったら余計な心配させるだけだし……。
「えっと、エレナさんたちは何歳なんですか?」
「わたしは十九歳よっ。それでガイが二十歳。ミコトは十八歳」
「あー、そうなんですか」
相槌を打ちつつ俺は考える。
俺は今三人全員に対して敬語を使っているからこのままの関係性を通すなら三人よりも年下に設定した方が何かと都合がよさそうだ、と。
その結果、
「俺は十七歳ですっ」
と自分の年齢を適当に答えていた。
「あっそうなんだ。やっぱり年下だったんだね、よかったぁー。実は年上でしたじゃなんか気まずいもんね」
「そ、そうですね」
その可能性もなくはないのだが俺の記憶が戻らない限り真相は分からない。
とその時だった。
「エレナ、無駄話はそこまでだっ。サクラ、あったぞっ」
一番前を歩いていたガイさんが立ち止まると上を指差した。
俺たちはガイさんのもとまで歩くと目の前にあった大木を見上げる。
「ほんとだ、麻酔草の木だわっ」
「大きいですね~」
「これが麻酔草の木かぁ……」
よく見るとかなり高い位置にハートの形をした葉っぱが沢山生い茂っていた。
「サクラくんは麻酔草の木を見るのは初めてなの?」
「はい」
記憶がないので断定はできないが多分初めて……だと思う。
「もしかしてミコトも初めて?」
エレナさんが俺と同様に麻酔草の木を物珍しそうに眺めていたミコトさんにも訊くと、
「あ、はいそうです。麻酔草ってこんな風に木になっていたんですね~」
ミコトさんは何度かうなずいてみせる。
「ほら、早いとこ採っちまおうぜっ。五十枚だったか?」
ガイさんが木の枝に手をかけ登ろうとし出したので、
「すみません、ガイさん。あとは俺一人でやるんでもういいですよ」
俺はそんなガイさんの背中に声をかけた。
「あ? なんだよ、人がせっかく手伝ってやろうって言ってんのに」
「いや、いちいち登るのも大変かなぁと思って……」
「は? 登らなきゃ採れないだろうが」
「スキル、飛翔魔法ランク10っ」
俺は唱えると宙に浮き上がる。
「なっ!? サクラ、お前っ!?」
「すっごーい! サクラくん、飛翔魔法なんて使えるのっ」
「そ、それもランク10ですよ……」
「ちょっと採ってきますねっ」
三人が驚きの表情を浮かべる中、俺は高い位置まで飛び上がると麻酔草を摘み取って不思議な袋の中に入れていった。
☆ ☆ ☆
「……四十八枚、四十九枚、五十枚っと。これでおしまいだな」
依頼内容の麻酔草五十枚を採りきった俺は三人の待つ地面に下り立つ。
「お待たせしました」
「サクラ、お前マジで何もんなんだ……?」
「え? どういうことですか?」
「飛翔魔法なんてレアな魔法、しかもランク10なんてF級の冒険者じゃ絶対あり得ないぞっ。お前やっぱりおれらが知らないだけでS級の冒険者なんだろっ」
ガイさんがまたしても詰め寄ってきた。
「いや、だからさっきも言いましたけど違いますって」
「いいや、信じられんっ。こうなったら一緒にギルドに行ってお前が本当にF級の冒険者かどうかたしかめてやるっ!」
鼻息荒くガイさんが言う。
そしてすたすたと森の出口に向かって一人で歩き出した。
「まあ、別にいいですけど……」
苦笑しながら返す俺に、
「サクラくん、うちのバカ兄貴がごめんね」
こそっと耳打ちしてくるエレナさん。
「でも、あれで結構機嫌いいんだよっ」
「そうなんですか?」
「うんっ」
そう言うエレナさんもどこか楽しそうだ。
「おいサクラ、早く来いっ! エレナもミコトもぼさっとするな、置いてくぞっ!」
ガイさんが振り向いた。
「あ、はいっ」
「今行くわよっ!」
「あ、待ってくださ~い」
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