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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第278話 F級の依頼

「F級、F級っと……」


俺はしゃがみ込んで壁に貼られた百枚近い依頼書の中からF級の冒険者でも受けられる依頼を探す。
時間をかけて目を皿のようにしつつ探すも結局みつかったのは二枚だけだった。


俺はその二枚の依頼書を見比べる。


一つ目の依頼はベスパの町のドブさらい。
側溝の中に結婚指輪を落としてしまった中年女性からの依頼で落とした側溝付近のドブをさらって結婚指輪をみつけ出してほしいのだそうだ。
依頼料は銀貨五枚。


二つ目の依頼は麻酔草の採取。
男性教師からの依頼で学校の実験で使う生き物に食べさせると麻酔効果のある草を五十枚採ってきてほしいということだった。
依頼料は金貨一枚と銀貨五枚。


「まあ、普通に考えればこっちかなぁ」
俺は麻酔草採取の依頼書を手に取ってじっくり見る。


「依頼料もこっちの方が高いし……そもそもドブさらいとかしたくないからな」
俺は一つうなずくとその依頼書を壁からはがした。
そして立ち上がると受付カウンターに持っていく。


「これ引き受けたいんですけど」
カウンター越しにリムルさんに言うと、
「はい、かしこまりました……詳しい説明や地図などは裏面に書いてあるので確認してください。それでは期限は一週間以内でお願いいたします」
リムルさんは手元の用紙に何やら書き込んでから俺に一礼した。


俺はその依頼書を持って冒険者ギルドをあとにする。




☆ ☆ ☆




依頼書の裏面に書かれていた説明文と地図を頼りに俺はベスパの町から少し離れたところにある森の入り口までやってきていた。


「ここだよな……麻酔草が自生している森っていうのは」
俺は手に持った依頼書と目の前の森を交互に見てつぶやく。


裏面に書いてある説明文によるとこの森にはゴブリンが現れるらしいが俺のレベルならばゴブリン程度何も問題はないはずだ。
俺は平常心のまま森の中へと入っていった。




麻酔草の木は太く大きな木で葉っぱはハートの形をしているということなので俺はそれらしい木を探しながら森の中を歩いていく。


「うーん……ないなぁ」


森に足を踏み入れてから五分くらい経った頃だろうか、ガサガサッと前方の茂みが揺れた。


「ん?」
すると次の瞬間、
『ギギギッ』
ナイフを持ったゴブリンが茂みから姿を見せる。


「なんだ、ゴブリンか……」
『ギギギッ!』
ゴブリンはたたたっと駆けてくると俺の心臓めがけてナイフを突き出してきた。


……遅い。遅すぎる。


俺はゴブリンの腕を掴む。


『ギギギッ!?』


ゴブリンの腕を少しだけひねり上げようと俺が手に力を入れた途端『ギィィッ……!』とゴブリンが悲鳴を上げた。
俺は力加減を間違いゴブリンの腕を引きちぎってしまっていたのだった。


「あ、悪い」
『ギギギギィィッ!!』
ゴブリンは怒り狂ったように緑色の顔を真っ赤にして残ったもう片方の腕で殴りかかってくる。


ぱしっ。


俺の頬にゴブリンのこぶしが当たった。
だがまるで蚊が止まったような感触しかしない。


「弱いっ」
俺は手を水平にして真横に振り抜くとゴブリンの体を上下真っ二つに斬り裂いた。
地面にどさどさっと落ちた肉の塊が消滅していく。


「弱すぎてレベルも上がらないか……」


獲得経験値が少なすぎるせいか、それとも俺のレベルが高すぎるのが原因か、ゴブリンを倒しても俺のレベルは一つも上がらなかった。


俺はタオルで手を拭きながら、
「次からはなるべく魔法で倒すかな」
レベルも上がらないのに返り血を浴びるのも嫌なので魔物が出たら距離をとって魔法で倒すことに決める。




とそんな時、
『グオオオオォォォーッ!!』
魔物の咆哮が聞こえた。


さらに「おいっ、お前逃げろっ!!」と若い男性の声が耳に飛び込んできた。


「ん?」
振り返ると四足歩行の大きな黒い魔物がこっちに向かって駆けてきている。
その後ろには魔物を追いかけながら必死に手を振り声を上げる男性の姿があった。


「魔物か……スキル、電撃魔法ランク10っ」
俺は先ほどの経験を活かして素手ではなく魔法で撃退することに。
差し出した手からバリバリバリィィィ!!! と高電圧の雷撃が飛び出し大きな黒い魔物に命中する。


だが大きな黒い魔物はその足を止めることはなく突進してきて長い牙で俺をはじき飛ばした。
地面に転がる俺。


「おいっ、お前生きてるかっ!」
そんな俺に男性の声が届く。


俺はズタボロに引き裂かれた服のまま起き上がると大きな黒い魔物を識別魔法で確認した。




*************************************


インペリアルベヒーモス――ベヒーモスの最上位種。全身を黒い体毛に覆われた筋骨隆々な魔物。電撃魔法を無効化する。弱点はない。


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「なんだ、電撃魔法が効かないのか……」
てっきりレベル十一万超えの俺より強い魔物がいたのかと思いびっくりして損した……。


「だったら……スキル、火炎魔法ランク10っ」
俺はインペリアルベヒーモスに手を伸ばすと火炎魔法を唱えた。
その瞬間巨大な炎の玉がインペリアルベヒーモスに飛んでいきぶつかる。


『グオオオオォォォーッ……!!』


燃え盛る巨大な炎に包まれてインペリアルベヒーモスが悲鳴にも似た雄たけびを上げた。
火だるまになったインペリアルベヒーモスは我を忘れ辺り構わず周りの大木や大岩に突進を繰り返す。
だがついに力尽き地面に倒れ込むと炎とともに消滅していった。


《佐倉真琴のレベルが213上がりました》


「おっ、レベルが一気に上がったぞ」


ゴブリンを倒した時とはわけが違う。
やはり見た目通りそれなりに強い魔物だったってことかな……。


「……それにしても服がボロボロだ」
インペリアルベヒーモスの鋭い牙によって斬り裂かれた服を見下ろしていると、
「おいお前……な、何もんなんだっ」
さっきの男性が信じられないものを見たような顔で近付いてくる。


「え?」
「さ、さっきのインペリアルベヒーモスはS級案件だぞ。それをお前はたった一人で……」


S級案件……?
あれ? この人よく見るとさっき冒険者ギルドでエレナさんと一緒にいた――


「おーいガイーっ! 大丈夫ーっ?」
「ガイさーんっ」


二人の女性が茂みの中から飛び出てきた。
その二人もまたさっき冒険者ギルドで見た二人だった。
エレナさんともう一人はたしか……ミコトさんだったか。


「ってちょっとガイっ、何があったのよ、木が燃えてるじゃないっ!」
エレナさんは俺に気付くこともなく前方を指差し声を上げた。


その場にいた全員がエレナさんの指差した方を見る。
すると倒れた木々から飛び火して森に炎が燃え広がっている光景が目に入った。

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