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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第274話 記憶喪失?

「……おい、お前っ。何があったんだっ。起きろっ、おいっ、魔物に襲われたのかっ」


男性のしゃがれた声が聞こえてくる。


「おい、しっかりしろっ」


肩を揺すられている感覚もある。


「おいっ。おいったら!」
「……ぅん」
俺はそこで意識を取り戻した。


「おおっ大丈夫だったかっ。何があったんだ一体っ」
目の前には口ひげをもじゃもじゃと生やした四十歳くらいの男性がいた。
いや、ひげのせいでそう見えるだけで実際はもっと若いのかもしれない。


「え、何がって……?」
草原の真ん中で横になっていた俺は上半身を起こすと辺りを見渡す。
一面原っぱで遠くには山々がある。見覚えのあるようなないような景色が広がっていた。


「お前、なんでこんなところに倒れてたんだっ? 魔物か盗賊にでも襲われたのかっ?」
「えっーと……」


俺はなんで草原なんかで寝ていたのだろう……?
記憶を手繰り寄せるが自分でもわからなかった。


俺は立ち上がると、
「……すみません、よく憶えていなくてわかりません」
「あん? なんだそりゃあ。もしかして酔っ払ってんのか?」
「酔っ払って……はいないと思うんですけど」
俺は首をひねりながら答える。


「お前名前は? ちなみにおれはブライドっつうんだが」
「名前ですか……? あれ? 俺の名前ってなんだったっけ……?」


思い出そうとするも思い出せない。
どうなってるんだ俺は……。


「はあ? お前大丈夫か? もしかして記憶喪失ってやつか?」
「記憶喪失……もしかしたら、そうなのかもしれません」


記憶喪失という言葉は知っているのに自分の名前はまるで出てこない。


「おいおい、マジかよっ」
ブライドさんは困ったように頭をかきむしった。


「こういう時はどうしたらいいんだ……あっ、そうだ! ステータスボード見りゃわかるじゃねぇか。おい、ステータスボード開いてみろっ」
「ステータスボード……ってなんですか?」
「おい嘘だろ、そんなことも忘れちまったのかっ?」
ブライドさんは「こりゃ医者に診せた方がいいかもしれねぇな……」とつぶやく。


「お前、とりあえずステータスオープンって言ってみな。そうすりゃあステータスボードが出るからよ」
「はあ……わかりました」
本当は全然わかってはいなかったがあごをしゃくって俺に指示するブライドさんの手前一応うなずいてみた。


そしてよくわからないまま「……ステータスオープン」と口にする。


すると俺の目の前に文字と数字が浮かび上がった。




*************************************


名前:佐倉真琴


レベル:117641


HP:406273/406273 MP:381364/381364


ちから:392107


みのまもり:379558


すばやさ:346321


スキル:経験値1000倍
   :レベルフリー
   :必要経験値1/4200
   :魔法耐性(強)
   :魔法効果10倍
   :状態異常無効
   :即死無効
   :火炎魔法ランク10
   :氷結魔法ランク10
   :電撃魔法ランク10
   :飛翔魔法ランク10
   :転移魔法ランク10
   :識別魔法ランク10
   :生成魔法ランク10
   :帰還魔法ランク10
   :浄化魔法ランク10
   :回復魔法ランク9
   :レベル消費
   :峰打ち


*************************************




「おおっ、なんか出たっ」
「その画面の一番上に名前が載ってるだろ」
「あ、名前ありますっ。佐倉真琴ですっ、俺の名前」
「サクラ・マコトか。どれ、ちょっと見せてみろ」
そう言うとブライドさんは回り込んで俺のステータスボードとやらに目を向ける。


すると突然、
「ってうおぉい!? なんだこりゃっ!」
ブライドさんは跳び上がって声を大にした。


「え、どうかしましたか? ブライドさん」
「どうかしましたか、じゃねぇよ! なんだこの数値はっ!? でたらめじゃねぇかっ!」
「でたらめ? ちょっとよくわかんないんですけど……」
「サクラ、お前一体なにもんだっ……?」
驚愕の表情を浮かべたブライドさんがおそるおそるといった感じで俺と目を合わせる。


「いや、そう言われても自分でもさっぱりなんで」
俺は苦笑いをしつつ肩をすくめてみせた。


「おれでさえレベル58なのによ……と、とにかくだサクラ。そのステータス画面を見る限りお前はおれが今まで出会った誰よりも圧倒的に強い。というかはっきり言ってバケモンだ」


ブライドさんは俺の両肩に手を置いて続ける。


「だからお前もおれが知らないだけでかなり名のある冒険者なのかもしれないぞっ。それこそS級冒険者って可能性も充分あるなっ」
「すみません、S級冒険者って?」
「あー、冒険者っていうのはギルドっつう組織に登録している何でも屋みたいなもんだな。実績に応じていくつかにランク分けがされててS級が一番上って話だ」
ブライドさんは「まあ、おれは冒険者じゃねぇから詳しいことは知らねぇけどよ」と付け加えた。


「はあ……そうなんですか」


俺が冒険者?
う~ん……駄目だ、やっぱり何も思い出せない。


「名前がわからなかったってことはなんにも憶えてないってことだよな?」
「えっと、どうなんでしょう。普通に会話するくらいは問題ないんですけど。自分でも何を憶えていて何を忘れているのかわからないです」
「そっかぁ。じゃあやっぱりベスパの町にでも行って医者に診てもらった方がいいかもしれねぇな。もしくはギルドに顔を出してみるって手もあるけどよ」
ブライドさんは口ひげを撫でながら言った。


「ベスパの町ですか?」
「ああ、ここから一番近くにある町だ。もしかしたらお前の知り合いがいるかもしれねぇし行ってみる価値はあるんじゃねぇか」
「ブライドさんもその町に行くんですか? あ、もしかしてその町の住人だったりして」
「まあ、町には行くが住人じゃねぇよ。おれは行商人だからな、ベスパにはこいつを売りに行くだけだ」
そう言ってブライドさんは背中に背負ったカゴを親指で指差す。
カゴを覗き込むと中には沢山の葉っぱが入っていた。


「それ、なんですか?」
「こいつはおれが村で育てた薬草だ。薬草くらいわかるだろ?」
「えっと、体力を回復する草ですよね」
多分。


「まあ、そんなとこだ。それよりどうする? おれと一緒にベスパに行くか? おれも暇じゃねぇから町の中の案内は出来ねぇけどベスパに連れてってやるくらいなら構わねぇぜ」


俺は一瞬考えるがほかにいい案も浮かばないので、
「はい、お願いしますっ」
と返事をする。


「よっしゃ。おれとしても手練れの同行者がいるのは心強いからな、魔物が出たらよろしく頼むぜっ」


俺の背中をばしっと叩くと笑顔のブライドさんは太陽が昇っている方角に向けて意気揚々と歩き出したのだった。

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