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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第264話 即死魔法

「それにしても佐倉くんだってなかなかやるじゃないか。わたしを殴り飛ばしてしまうんだからね」
「あ……それは本当にすみませんでした」


俺が頭を下げると、
「そんなことは全然気にしてないよ。それよりどうだい、一緒にこのダンジョンを探索するっていうのは?」
ショーンさんが笑顔で返した。


「佐倉くんはお金を稼ぎにダンジョンに潜っている口だろう? だったら利害は一致するはずだよ」
「利害ですか?」
「わたしはこのダンジョンでみつけたアイテムの中から今身につけている装備品より優れたものがあったら佐倉くんからダンジョンセンター以上の値段で買い取ってあげるよ。もしみつけたアイテムがエクストラゲインだった場合は一つにつき一億円払ってもいい。どうだい、悪い話ではないだろう」
ショーンさんは手振りを交えて話す。


「それはそうですけどショーンさんならわざわざ俺と一緒に行動しなくても一人でも問題ないんじゃないですか?」


さっき見せてもらったステータスとスキルならショーンさんはソロでこのダンジョンをクリアできるような気がするのだが……。


「うん。そう考えるのはもっともだね。でもわたしは人との争いを好まないんだ」
「はあ……」
「一人でランクCのダンジョンに来るくらいだから佐倉くんも自分の腕にかなり自信があるのだろう」
『おいらもいるってば!』
「ああ、ごめんごめんキューンくん。二人だね」


ショーンさんはキューンに顔を向けてから俺に向き直る。


「そんな実力者の佐倉くんと張り合ってアイテムをどっちが先にとるか、みたいなことで神経をすり減らしたくないんだよ。だったらいっそのこと一緒に行動してわたしが欲しいアイテムだけわたしが佐倉くんから買い取るという形にした方が私の心の安定は保たれるんだ。わかるかな?」
「はい」


俺も性格的に争いは好きではない。
ここで断ってショーンさんと競争するような形になるくらいならこの話に乗った方が俺も気持ちが楽だ。


「魔物は基本わたしが倒してあげるよ」
「え、いいんですか?」
「ああ。わたしは即死魔法を覚えているからね、どんな魔物でも魔法一発で倒すことが出来るんだ」
「なるほど……でもMPがすぐになくなってしまうんじゃないですか?」


即死魔法はランク10だったからおそらく消費MPは100。
いや【消費MP半分】っていうスキルがあったから50か。


だがそんな俺の心配は必要なかった。


「わたしは吸収魔法という魔法も覚えている。この魔法はHPとMPを魔物から吸い取って回復することが出来る魔法なんだよ。これさえあればわたしは半永久的に魔物を倒し続けることが出来るというわけさ」
「へー。便利な魔法ですね」
「ただ即死魔法も吸収魔法も単体にしか効果がないから、もし魔物が複数で襲ってきた時は佐倉くんにも戦ってもらうけどそれでいいかな?」
「はい、構いませんよ」


もとよりそのつもりだった。
ずっと守られてばかりでは気が引けるからな。


「じゃあそういうことでよろしく、佐倉くん。キューンくん」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
『よろしくショーン』


俺たちは互いに握手し合うと目の前の三つの分かれ道から真ん中の道を選んで歩き出した。




☆ ☆ ☆




黒い雪のダンジョン地下二階。


『グオオオォォーッ!!』


通路の先からキングベヒーモスが鳴き声を上げながら突進してくる。
見るとショーンさんは任せろと言わんばかりの顔でうなずいた。


そしてキングベヒーモスに手を向けて、
「スキル、即死魔法ランク10っ!」
と叫ぶ。


するとキングベヒーモスが何の前触れもなく突如消滅していった。




「……今のが即死魔法ですか?」
「ああ、そうだよ」
「あんなに簡単に倒せるんですね……」
「まあ、そういう魔法だからね」


即死魔法か……危険な魔法だ。
というかあの魔法をキューンに使おうとしていたんだよな、この人。
力づくで止めておいてよかったな。




このあと突き当たりは袋小路になっていたので来た道を戻ると今度は分かれ道の一番左の通路を選んで進んだ。




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大賢者の杖――持ち主の最大MPを1000アップさせる杖。


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そしてその先で大賢者の杖を手に入れる。


「佐倉くん、それわたしが買い取るよ。今わたしが装備している賢者の杖が買い取り価格五百万円だったから多分その大賢者の杖はダンジョンセンターだと一千万円くらいだと思うんだ。そこでだ、二千万円でどうかな?」
「え、はい。俺は全然いいですけど……」
「じゃあこのダンジョンを出たらちゃんと払うからとりあえずそれくれるかい」
「はい、どうぞ」
俺は大賢者の杖をショーンさんに手渡した。


それにしても二人でみつけたアイテムなのに二千万円も払ってくれるのか。
この人、本当に金持ちなんだなぁ。


「じゃあこっちの賢者の杖はいらないからここに置いていくか」
「あ、それ捨てるんでしたら俺貰ってもいいですか?」
「ん? 構わないけど、佐倉くんが使うのかい?」
「いえ、あとでダンジョンセンターで買い取ってもらおうかなぁと……駄目ですか?」
ちょっと図々しかったかな。と反省。


「いや、いいよ。でも邪魔にならないかい?」
「あ、それは大丈夫です。俺不思議な袋を持っているんで」
そう言うと俺は腰に下げた不思議な袋の口を開けて賢者の杖をするするするっと入れていく。


「おおっ、なんだいその袋はっ?」
『それは不思議な袋っていってなんでもいくらでも入れることが出来る袋なんだよっ』
キューンが代わりに答えた。


「それわたしに譲ってもらえないかな? 二千万、いや三千万円出すからさっ」
と目の色を変えるショーンさん。


「三千万円ですかっ!?」
悪くないなぁ……。


でも……。
「いや、すみません。これは食べ物とか衣類とかテントとか必要なものが沢山入っているのでこればっかりは……」
「そっか~。残念だけど仕方ないね。でもその代わりエクストラゲインをみつけたら必ずわたしに売ってくれよ。一億円はらうからさ」
「はい、わかってます」


ショーンさんとのこのダンジョン探索でもしかしたら俺は生涯賃金を超える額を稼げるかもしれない。
そんな思いに胸を高鳴らせながら俺はキューンとショーンさんとともに通路を突き進んでいくのだった。

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