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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第244話 SSTの竹原さん

「……スキル、回復魔法ランク7っ」


俺との腕相撲で怪我を負った竹原さんだったが回復魔法を使って自らの傷をいやして立ち上がった。


「あの、大丈夫ですか?」
「あ、ああ。おれは全然大丈夫だから、気にするなっ」


どうやら竹原さんは問題なさそうなので俺は話を進める。


「一応俺が勝ったので合格ってことですかね?」
「いや、まだだっ。さっきのはデモンストレーションに過ぎないっ。大体おれも本気を出してはいなかったしなっ!」
「あ、そうなんですか」


あれ? おかしいな。
竹原さんに腕相撲で本気を出させたらSSTに入れてもらえるって話だったはずなのだが……。


「佐倉真琴、次は追いかけっこだっ! いいか、スキル犯罪者を捕まえるためにはスピードが大事なんだっ。そこでおれがこの広いスペースの中を逃げ回るからお前はおれにタッチすればそれで見事合格だっ。わかったか!」
「はい、わかりました」


俺が返すと竹原さんは周りにいた人たちに大声で呼びかけた。


「おーい、お前らっ! これからおれとこの佐倉真琴で追いかけっこをする! 邪魔にならないようにみんな端にどいていろっ!」


「「「わかりましたっ!」」」
指導教官たちやプレイヤーたちSSTの所属メンバーが威勢のいい返事をする。




「よーし、佐倉真琴っ。おれがよーいドン! と言ったらスタートだっ。遠慮はいらない、本気でおれを追いかけて捕まえてみろっ!」
「はあ、わかりました」


腕相撲の時は俺が合図を言わせてもらったのに今回は違うのか……まあ、どうでもいいけど。


「佐倉さん、頑張ってください」
と神代がどこか楽しそうに言う。


「ああ、合格してみせるよ」
「はっ。佐倉真琴っ、その意気やよしっ! ではいくぞ」
竹原さんは息を大きく吸って集中すると次の瞬間、
「スキル、パラメータ3倍化っ!」
と唱えた。


そして、
「よーいドンっ!」
自らの合図で駆け出した。
あっという間に遠くにある向こう側の壁に移動する竹原さん。


「神代、俺あの人捕まえちゃっていいんだよな?」
「はい、もちろんですよ」
と神代。


「おーい! 何やってる佐倉真琴っ! おれのスピードに臆したのかっ! 諦めずに俺を捕まえようとする努力くらいみせろっ!」
「はーい! 今行きますっ!」
言うと俺は床を強く蹴った。


だがズボッと床が抜けて足がはまってしまう。


「ヤベっ、壊れた……」
「佐倉真琴、早く来ーいっ!」
「はいっ!」
俺は今度はそっと床を蹴って足を踏み出した。


そして竹原さんのもとへ高速で向かう。


「っ!?」
それを見た竹原さんが慌てて走り出した。


うーん……竹原さん、本気で走ってるのかなぁ。
すごく遅いけど。


俺はかなり加減して走っていたがあっという間に竹原さんの背後につくとその勢いのまま竹原さんの背中にタッチした。


どんっ。


俺がタッチした衝撃で竹原さんは壁に顔から突っ込んでいってドカンっと激突してしまう。
床に倒れ込む竹原さん。


シーンとする館内。
固唾を飲んで見守る指導教官とプレイヤーたち。


「あの、だ、大丈夫ですか? 竹原さん」
「う、うぐっ。だ、だいじょぶ……だいじょ~ぶっ……」


倒れて顔を伏せながらも指でオーケーサインを出してみせる竹原さんであった。




☆ ☆ ☆




「……スキル、回復魔法ランク7っ!」


再び自らに回復魔法を施して立ち上がる竹原さん。
何事もなかったような顔をして服をパッパッとはたく。


「佐倉真琴っ、お前なかなかやるじゃないかっ」
「それはどうも……じゃあ今度こそ合格でいいんですかね?」
「ばかやろっ! 試験はあと一つ残っているんだっ。気が早いぞ、佐倉真琴っ」
「え、でも追いついてタッチしたら合格って――」
「黙れぃっ!」
竹原さんが声を大にして言った。


「今のは準備運動だっ。お前まさかおれが本気を出してたなんて思っていないよなっ!」
「あ、えーっと本気じゃなかったんですか?」
「当たり前だっ! 俺がSSTでもないただの一般プレイヤーに本気を出すわけがないだろうがっ」
「はあ……そうですか」


神代を含め周囲にいる人たちが俺と竹原さんのやり取りを注視している。


「よっし、それじゃあ最後の試験だっ。次が本番だから気張っていけよ佐倉真琴っ!」
「はいっ」
「最後の試験は……おれとのタイマン勝負だっ!」


竹原さんはこぶしを握り締め力強く言い放った。

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