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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第236話 ウロボロス

温い無のダンジョンの最深階である地下十階に下り立った俺たちはうすら寒さを肌で感じていた。


「ここですね。マリアたちが捕まっているのは」
「はい。この通路を真っ直ぐ行った先にある広い空間にマリア様たちはいるはずです」


このダンジョンのフロアボスにとらわれているマリアたちがこの先にいるということは当然ボスもそこにいる。


俺は唯一そのボスについて知っているマヤさんにボスの特徴を訊いてみた。


「ここのボスってどんな奴なんですか?」
「ウロボロスといって蛇とドラゴンが合わさったような見た目の大きな魔物です。口からシャボン玉のような球体を発射して触れた者をその球体に閉じ込めてしまうのです」
「シャボン玉、ですか?」
「はい。閉じ込められると自力で割って出るのは不可能なようです。なのでウロボロスの吐く半透明な球体には絶対に触れないようにしてください」
マヤさんが念を押す。


「わかりました。じゃあ俺が行ってくるのでマヤさんはここで待っていてください」
「そうですね。わたしもついていきたいのですがおそらく佐倉様の足手まといになってしまうでしょうからそうさせていただきます」
「キューン、マヤさんと一緒にいてくれ。頼むぞ」
『わかったよっ』
キューンはポンと自分の胸を叩いた。


「佐倉様」
とマヤさん。


「はい」
「マリア様をどうかよろしくお願いいたします」
「はい……任せてください」
そう返すと俺はマヤさんとキューンをその場に置いて前へと歩を進めていく。




曲がりくねった通路を道なりに進んでいくと前方に部屋が見えてきた。


あそこか……。


俺は中の様子をうかがうため慎重に近付いていく。


するとたしかにマヤさんの言う通りシャボン玉のような半透明のそれでいて直径二メートルくらいの球体が沢山浮かんでいて、その中に人間が閉じ込められているのが目に入ってきた。


そして沢山の人間の中にマリアの姿もみつけた。


「マリアっ!」
俺は思わず部屋に足を踏み入れる。


「あっ! 真琴様っ!」
マリアが俺に気付いて声を上げた。
マリアは球体の内側を力強くどんどんと叩くが球体はびくともしていない様子だ。


とそこには沢山の球体に混ざって細長いドラゴンのような魔物も宙に浮かんでいた。




*************************************


ウロボロス――温い無のダンジョンのボス。硬い皮膚を持ち防御力が恐ろしく高い。口から吐き出すバブルガムボールに触れた相手をその中に閉じ込めて捕獲することが出来る。


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「あいつがウロボロスかっ」


『フシャアアァァーッ!!』
俺と目が合ったウロボロスは口を大きく開けて威嚇してくる。


そして直後ボウッと口から半透明の球体を吐き出し飛ばしてきた。


「真琴様っ、避けてくださいませっ!」


事前情報がなかったら俺は手で払いのけていたかもしれないが触れてはまずいということは承知していたので俺はそれを素早くかわすとジャンプしてウロボロスに接近する。


「おりゃっ」
ウロボロスの目の前まで跳び上がると胴体部分を殴りつけた。


ドゴーンッ!!


と壁に激突するウロボロス。


そのまま地面に落下していくかと思いきやウロボロスは天井付近まで一気に舞い上がる。


「あれ? 思ったより硬いな」


ウロボロスはそれこそシャボン玉のように今度は口から小さな球体を無数に吐き出してきた。
それらの球体は俺に向かって近付いてくるにつれ直径二メートルほどに大きくなって迫ってくる。


「おっとっ……」
俺はそれらを難なくかわすと飛翔魔法で飛び上がった。
そしてウロボロスを正面から見据えると顔面めがけて殴りかかる。


がその時だった。


ドンッ。


俺の背中に何かが当たった。
振り返るとそれは半透明の球体だった。


「な!?」


なんで後ろから球体が襲ってきたのか。
よく見るとウロボロスは細長い尻尾をカーブさせ俺の背後に回りこませていた。
しかも尻尾だと思っていた部分には蛇のような顔があった。


球体はその蛇の口から発射されていたのだった。


「真琴様っ!」


次の瞬間、俺は背中からどぷんっと吸い込まれるように球体の中に閉じ込められてしまったのだった。

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