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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第231話 VIPルーム

「はぁ~、緊張した」
『有希のお父さんかっこよかったね』
「そうか? ありがとうなキューン」


俺とキューンと有希さんはつい先ほど有希さんの家を出たところだった。
家を出る時俺は「ここでいいです」と断ったのだが有希さんは見送りのためわざわざ外までついてきてくれていた。


「有希さん、あの、本当に貰っちゃってよかったんですか? これ」
俺は手に持った二つのジュラルミンケースに目を落とし言う。


「ああ、当然だ。約束だからな」
「はあ……」


ジュラルミンケースの中には合計二億円もの金が入っているのだった。


「あ、じゃあ有希さん。せめてダンジョン内で拾ったアイテムは全部有希さんが貰ってください」
「ん? それは駄目だ。そのアイテムも真琴が拾ったんだから真琴のものだぞ」
「でもそれはさすがに――」
「あたしは受け取る気は一切ないからな」
そう言うと受け取る気はないという意思表示のつもりか有希さんは腕を組んで仁王立ちをしてみせる。


『マスターよかったじゃんっ』
と俺に寄り添うキューン。


有希さんの性格は一緒にいてなんとなくわかっているのでこうなったら俺の言うことなど聞かないのだろう。
そう思い俺は、
「わかりました。じゃあ全部俺が貰っていきますけどいいんですね?」
と最後の確認だけした。


「ああ、もちろんだ。そうしてくれ」
「ありがとうございます」
「なあに、礼を言うのはこっちの方だ。真琴、キューン、世話になったな」
『全然いいよ』


一拍あってから、
「じゃあ二人とも元気でな」
「はい。有希さんもお元気で」
『ばいばい有希っ』
別れの挨拶を交わすと俺とキューンは有希さんに見送られながら有希さんの家をあとにしたのだった。




☆ ☆ ☆




俺たちは稚内駅に隣接されたダンジョンセンターにやってきていた。
もちろん深い魔のダンジョンで手に入れたアイテムを売るためだ。


ダンジョンセンターに入ると大きな電光掲示板がすぐ目の前にあったので俺はふと気になって覗いてみた。
すると獲得賞金ランキングが前回見た時よりもかなり変動していることに気付く。
見知らぬ名前が上位を占めていて神代やマリアたちの名前はなくなっていた。
そして俺の名前も十四位まで下がっていたのだった。


「へー、一億円プレイヤーがいつの間にか増えていたんだなぁ」
俺が見上げながらつぶやくとそばにいた女性の職員が、
「買い取り価格の高騰が主な要因だと思いますよ」
と話しかけてきた。


「買い取り価格の高騰ですか?」
「はい。実は前々からプレイヤーたちの間では買い取り価格が安すぎるといった声が上がっていたんです。その声を政府も無視できなくなったのでしょうね、つい先日から全アイテムの買い取り価格が一気に跳ね上がったんですよ」
「そうだったんですか」
全然知らなかった。


「まあたしかにプレイヤーの方たちは命をかけてダンジョンに潜っているわけですからね。私個人としましても今回の政府の対応には大賛成です。それとダンジョンクリアの際の報酬も三千万円に引き上がったんですよ」
「三千万円っ? それはまたすごいですね」
これまでの十倍の値段だ。


すると女性職員が、
「失礼ですが佐倉真琴様ですよね?」
と訊ねてくる。


「はい、そうですけど……」
「アイテムの買い取りでしょうか?」
「はい、そうです。あとダンジョンクリアの報告も」
「そうでしたか。それではこちらへどうぞ」
「あ、並ばなくていいんですか?」


ここのダンジョンセンターに来たのは当然初めてだったが俺の顔を知っている様子の女性職員は「はい。獲得賞金ランキングに名前が載っている方はVIPルームにご案内しておりますので」と俺を奥の個室に連れていってくれた。


俺はキューンとともにVIPルームなる部屋に通される。


「それではお売りになりたいアイテムをこちらにお出しください」
「はい。わかりました」
ふかふかのソファに座ったまま、俺は目の前の高級そうなテーブルの上にアイテムを並べていった。


「これで全部です」
「はい、では鑑定してまいりますので少々お待ちくださいませ」
アイテムを持って退室していく。


『ふぁ~、このソファ気持ちいいね。柔らかくておいら眠っちゃいそうだよ』
「そうだな」
ソファに寝ころぶキューンを見ながらそう返す俺。




――この五分後、買い取り手続きは無事終了。


ちなみに買い取り金額はこれまでで最高の二千二百四十万円だった。

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