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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第215話 一瞬の出来事

「泰造さん? って誰ですか?」
「この金のネックレスの持ち主だっ! あんたらどうやってこのネックレスを手に入れたんだっ!」
女性は声を荒らげる。


「だからそれはデスアントライオンのドロップしたアイテムで――」
「そんなはずはないっ! 見てみなここっ、泰造へって文字が彫ってあるだろうがっ!」


キューンのぶら下げている金のネックレスをよく見るとたしかに小さいがそのように文字が彫ってあった。


「本当だ……」
『マスター、これどういうことかな?』
キューンが不思議そうに俺を見てくる。


この金のネックレスは蟻地獄の中に落ちていたものだ。それは間違いない。


う~ん、もしかしてだがこのネックレスはデスアントライオンのドロップアイテムなどではなくてその中で死んでいた男性のものだったのか……?


「あの、もしかしたらですけど――」
と俺がそこまで口にした時だった。


「ぐああぁぁーっ!?」
「な、なんだこりゃっ!?」
「何かに引っ張られっ……!?」
三人の男性がほぼ同時に叫び声を上げた。
そして次の瞬間三人全員が地中に引きずり込まれた。


「お前らっ!?」
女性が目を見開き叫んだ。
まさにその刹那――


「「「ぎゃああぁぁーっ!!!」」」


耳をつんざくような男性たちの悲鳴が地中から聞こえてきた。


俺はちょうどその時女性と同じく地面を見回していた。
すると女性の足元からデスアントライオンの前足が伸び出てきたのが見えた。


俺はとっさに、
「スキル、飛翔魔法ランク10っ」
女性を抱きかかえるとキューンとともに天井付近まで飛び上がる。


「ちょっ、何するんだっ、放せったら!」
「落ち着いてください。下を見てっ」
俺の言葉を受け女性は俺に抱きかかえられながら地面を見下ろした。


するとそこには蟻地獄が四つ出来ていてそのうちの三つにはそれぞれ男性たちのばらばら死体が砂に埋もれていた。
そして四つの蟻地獄の真ん中にはそれぞれデスアントライオンがいて『キシャァァァー』と俺たちを見上げている。


「銀次っ、武人っ、龍っ!?」
「……残念ですけど、あの三人はさっきの奇襲攻撃でデスアントライオンにやられてしまったようです」
「そ、そんなっ……」
ショックで茫然自失となる女性。


俺はそんな女性を一旦地面に下ろそうと考えたがデスアントライオンの攻撃がまたいつ来るかわからない。
そこで俺は、
「キューン、この人のこと頼めるか?」
キューンに顔を向けた。


『うんっ、任せてよっ』
言うとキューンは女性の着物の帯の部分を口で噛むと女性を持ち上げてみせる。
そして小さな翼でぱたぱたと宙に浮かび続ける。


だが、任せてと言いながらも見るとキューンは結構重そうにしているので俺は手早く四体のデスアントライオンを退治することした。


「いくぞっ」


俺は蟻地獄の真ん中にいるデスアントライオンに向かって飛び下りるとデスアントライオンの顔面を打ち砕く。
続けて隣の蟻地獄の中に飛び込むとそこにいたデスアントライオンを引っ張り出し腹に一撃をくらわせた。
さらに残る二体のデスアントライオンも同様にそれぞれこぶしを打ち込み粉砕する。


《佐倉真琴のレベルが1642上がりました》


これでとりあえずは大丈夫かな。


「キューン、もうその人下ろしていいぞ」
『んっんー』
多分オッケーとでも言ったのだろう、キューンが女性を口で持ち上げたままゆっくりと下りてきた。


「キューン、ご苦労様」
『へっへーん』


「……」
女性は黙ったまま下を向いている。


「そうだ、キューン。そのネックレスこの人に返そう」
『うん、わかったよ。もとの持ち主の仲間に返すのが一番だもんね』


俺はキューンからネックレスを外すとそれを女性に手渡した。




「えっと、じゃあ俺たちはそろそろ……」
冷たいようだが仲間が死んでしまった女性に俺たちはどうすることも出来ない。
かける言葉もみつからないのでさっさとその場を離れようと俺はその場を立ち去ろうと――


「待ちなっ!」
その時うつむいたままの女性が俺の服を掴んだ。


「えーっと……何か?」
「あんた、かなり強いな」
「はあ、それはどうも……」
「あんた聞いたことあるか? エクゾディアってアイテムをさ」
「エクゾディアっ?」


磯さんと一緒にダンジョン探索していた時に手に入れたことがあるアイテムだ。
たしかジッポライターそっくりのアイテムでスイッチを押すと炎の精エクゾディアが現れて……。


「そのアイテムはどんな願いでも叶えてくれるって代物らしい」
と女性は言う。


「あー、そうみたいですね」
「知ってるんだな。だったら話は早い」
すると女性は顔を上げて俺を見た。


「あんた、あたしに力を貸しなっ」

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