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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第192話 VSスライム③

『フィキーッ!』


スライムはざざざっと地面を移動して俺の左側に回り込むとジャンプして体当たりを仕掛けてきた。


「おっと」
俺はその攻撃を体をそらして間一髪よける。
そして着地したスライムの背後からスライムをサッカーボールのように蹴り飛ばした。


壁にぽよんと当たって跳ね返る。


『フィキー!』
確実にダメージを負ったはずのスライムだったがそれでも体勢を立て直すともう一回俺に向かって飛びかかってきた。


「遅いぞっ」
やはりダメージがあったのか先ほどより動きが遅いスライム。
俺は飛びかかってきたスライムをカウンターパンチで殴り飛ばしてやった。




『フィキ~』
壁に当たって地面に落ちたスライムは目を回している。


「お兄ちゃん、チャンスだよっ!」
「わかってらいっ」
俺はふらふら状態のスライムを左手で持ち上げると顔面めがけ右ストレートを――


ばちんっ。


叩き込んだ。


俺の目の前で、
『フィキ~……』
スライムが地面に倒れ込んで消滅していく。


《佐倉真琴のレベルが89上がりました》


「よしっ。倒したぞっ」


こうして俺はようやくスライム一匹を倒すことに成功したのだった。




☆ ☆ ☆




レベルが一気に上がった俺はこのあと天童姉妹にはレベルが上がったことを感づかれないように手加減しつつスライムを狩っていった。


そしてスライムを十匹ほど倒したところで、
「お兄ちゃんそろそろレベル上がったんじゃないっ?」
瑠璃ちゃんが訊いてきたので俺はそこで初めてレベルが上がったことにして、
「ああ。ちょうど今上がったよ」
と答えた。


「これでレベル2になったからあとはもう俺一人でも大丈夫だよ。ありがとう瑠璃ちゃん、琥珀ちゃん」
早く一人になりたかった俺は大嘘をついて二人と別れようとする。


だが、
「お姉ちゃん、今何時?」
「ちょっと待って。えっとね、今一時半」
「じゃあ待ち合わせまでにはまだ十分くらい時間あるねっ」
言うと瑠璃ちゃんは俺に向き直り、
「レベル上げ手伝ったんだからキューンちゃんと遊ばせてっ」
言い放った。


「え……」
『キュイイィィーッ!?』




☆ ☆ ☆




ダンジョンを一旦出た俺は出入口付近で瑠璃ちゃんがキューンと遊ぶ様子を琥珀ちゃんと一緒に眺めていた。
瑠璃ちゃんはとても楽しそうにキューンと追いかけっこをしている。


『キュイイィィーッ』


キューンはというと遊んでいるというよりは瑠璃ちゃんに捕まりたくないから逃げているといった感じだがあと少しの辛抱だ、キューンには頑張ってもらおう。


すると、
「あのう、佐倉さん。わたしたち迷惑じゃなかったですか?」
俺の横で瑠璃ちゃんを見守っていた琥珀ちゃんが振り向いて言う。


「ん? 別にそんなことないよ」
「本当ですか? もしかして佐倉さん一人になりたかったんじゃないかなって思って……」
と心配そうな顔で琥珀ちゃん。
鋭い。


「い、いや、そんなことないって。二人と一緒にいられて楽しかったしキューンもああやって喜んでいるからさ」
「そ、そうですか」
琥珀ちゃんは俺の言葉を受けてほっとしたように顔がほころぶ。


「逆にこっちこそ俺のために時間さいてもらって悪かったね。琥珀ちゃんたち誰かと待ち合わせしてたんでしょ?」
「あ、全然大丈夫です。わたしたちも楽しかったですから。それに待ち合わせにはまだ時間があったので」
「そう。それならいいけど」


『キュイイィィ~ッ』
とそこへ瑠璃ちゃんから逃げたキューンが俺たちの方へ向かってきた。
そして俺の頭の上に乗っかる。


「はぁっ、はぁっ。あー楽しかったっ」
瑠璃ちゃんもやってきて満足げに声を発した。


「瑠璃、そろそろ時間になるから映画館の中に入って待ってようか」
「はーい。春子お姉ちゃんもう来てるかなー?」
「そうかもね。春子さん待たせたら悪いからわたしたちも行こ」
「うん。じゃあキューンちゃんまた遊ぼうねー」
『キュイイィィ~ッ』
顔を横にぶんぶん振るキューン。
だがそんなことはお構いなしに瑠璃ちゃんは笑顔でキューンに手を振った。




ダンジョンのすぐ横にある映画館に入っていく二人。
俺はそれをちゃんと見送ってからダンジョンに戻るためきびすを返した。


すると女の子とぶつかりそうになる。
「おっと、ごめんっ。大丈夫?」
「……大丈夫」
その女の子は顔を上げた。


その顔を見てびっくり。


「――ってお前、斎藤じゃないかっ」


その女の子は格闘大会で一戦交えた相手、斎藤春子だった。

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