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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第172話 隠し通路

高野が透明なボタンを押した直後、


ゴゴゴゴゴ……。


壁に亀裂が入ったかと思うとその亀裂が左右に裂けてどんどんと広がっていき――新たな通路が俺たちの目の前に現れたのだった。


「真琴さん、なんか道が出来ましたけど……」
「ああ……そうみたいだな」
と返すが俺も事態がよく飲み込めてはいない。


ただ壁の側面にさっきまではなかった通路が出来上がっていることだけはたしかだ。


すると高野が思いついたかのように声を上げた。
「あっ、真琴さん。これってもしかして隠し通路なんじゃないですかっ」
「隠し通路?」
「はいっ。このボタンがきっと隠し通路を開けるためのボタンだったんですよっ」
自信満々に言う。


「この通路の先には何かすごいレアアイテムとかがあるに違いないですって」
「そうか~?」
と言いつつ俺も少しわくわくしてきた。


「早速入っていってみましょうよ」
「じゃあ俺が先に行ってみるよ」


人一人がやっと通れるくらいの狭い通路だったので俺が先頭に立って中へと足を踏み入れる。
中は幾分薄暗かったがなんとか視界は保たれていた。




☆ ☆ ☆




先へ行けば行くほど道幅は狭くなっていき、また天井も低くなっていく。
そのため俺は途中からしゃがんではいはいするような恰好で進んでいった。


「高野、ついてきてるかー?」
「はーい」
高野の声が狭い通路内に響き渡る。




しばらくはいはいの状態で進んでいくと前方に明かりが見えた。


「おっ、なんか向こう明るいな」


俺は手足を動かすスピードを速めると明かりに向かっていく。
少し地面が濡れてきているのが気になるが今さら後戻りはできない。
俺はぬかるんだ地面にしっかりと手と膝をつきながら服が汚れるのも構わずに一心不乱に前へと進む。


そして、
「おおーっ」
俺たちは通路を抜け出て開けた場所に出た。


そこは四畳半くらいの狭い空間で泥水が浸水しており、水に半分ほど浸かった宝箱が壁の四隅に一つずつ、合計四つ並んでいた。


「宝箱ですよっ。きっと中にレアアイテムが入ってるんですよっ!」
宝箱を見て高野が声を上げた。
テンション高くはしゃいでいる。


「わたし、大活躍じゃないですかっ?」
「本当にレアアイテムが入っていたらな」


俺はダンジョンに潜って一年近くになるが宝箱を目にしたのはこれが初めてだ。
だから中にアイテムが入っているかどうかもわからない。


「わたしがみつけたんですからわたしが開けてもいいですよねっ」
「好きにしろよ」
「いぇーい、じゃあ開けますよ~。まずはこれから……」
そう言った途端透明化が切れた高野は一番近くにあった宝箱に手を伸ばしていた。


縁に手をかけ、
「ぅん? んん~! はぁっ、あ、あれ? なんですかこれ、全然開かないんですけど……」
俺を見上げる。


「なんだそれ……もしかして鍵がかかってるのか?」
「わからないですけどすごい硬くって、全然、んん~っ! はぁっ、はぁっ……開かないです」


宝箱には開けるための鍵が必要なのか、それとも鍵を開ける魔法みたいなものでもあるのか、とにかく高野は宝箱に惨敗し息を切らしながら立ち尽くしていた。


「……ちょっと、真琴さんもやってみてくださいよっ」
不機嫌そうにあごをしゃくる高野。


「ん、ああ、わかった」


俺は高野が開けようとして開けられなかった宝箱に手をかける。
そして少しずつ力を入れてこじ開け――
『ギャギャギャギャッ!!』
「うおぉっ!?」
刹那、突如として宝箱が動き出し牙をむいて襲い掛かってきた。


完全に油断して気を抜いていた俺の腕に宝箱がガリッとかみつく。
だがやはり俺の桁外れな防御力の前ではそんな攻撃も無に等しく宝箱のとがった牙の方が逆に欠けた。


『ギャギャギャギャッ!?』
ひるんだ宝箱が壁の隅に飛び退ける。


「スキル、識別魔法ランク10っ」
俺はその隙に動く宝箱に向かって識別魔法を唱えた。


すると動く宝箱の情報が目の前にぱっと表示される。




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キラーボックス――宝箱そっくりの見た目をした魔物。鋭い牙が最大の武器。倒すと必ずアイテムをドロップする。


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「キラーボックスか……」
説明文を見る限り特に危険な魔物でもなさそうだ。
最大の武器と書かれている牙も俺にとってはまったくのノーダメージだしな。


「じゃあ遠慮なく殴って倒す」


ボゴオォォーン!


次の瞬間俺はキラーボックスを木っ端微塵に粉砕していた。

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