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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第143話 準決勝開始

自らの聖光魔法によって気絶した鎌田さんを横目で見ながら俺はリングを下りた。


「真琴様~、やりましたわねっ」
「ああ、ありがとう」
笑顔で飛び跳ねるマリアに迎えられる。


だが海道は、
「手加減しやがって。本当なら最初の一撃で決まってたはずだぜっ」
不満気に口にした。


「しょうがないだろ。無防備すぎて逆に本気で攻撃できなかったんだから」
「はっ、甘い奴だな。そんな性格じゃそのうち痛い目見るぜ」
「かもな」
そう言われてもこれが俺の性格なんだから変えようがない。


「まあ、とにかくこれでお互い次の試合を勝てば決勝でやりあえるってわけだな。今から楽しみだぜっ」
と海道。


「気が早いんじゃありませんこと? 真琴様はともかく海道様は次の試合勝てるかどうか」
「馬鹿言えっ。おれが負けるわけねぇだろうが」
海道がマリアを見下ろし言ったところで、
「これより準決勝第一試合を始めたいと思います! 海道選手、栗田選手、どうぞリングの上にお上がりください!」
川尻さんに呼ばれた。


「見てろよ、二人とも。速攻で決勝行きを決めてきてやるからなっ」
「よ~く見ていますわ」
「ああ、わかったよ」


海道はやる気をみなぎらせてリングへと向かっていく。
反対方向からは栗田さんがリングに上がるところだった。


「さあ、それでは準備はよろしいですねっ!」
リング上で視線を交わす海道と栗田さんに声をかける川尻さん。


「いいぜっ」
「もちろんですっ」
「では……準決勝第一試合、始めっ!」


「スキル、火炎魔法ランク10っ!」
開始の合図と同時に海道が先手必勝とばかりに魔法を唱えた。
大きな炎の玉が海道の手より発射される。


だが栗田さんも、
「スキル、複写魔法ランク10っ!」
素早くやり返した。
栗田さんの手から海道が放った炎の玉と同等の大きさの炎の玉が飛び出す。


ドオオォォーン!


空中でお互いの炎の玉がぶつかり合って相殺された。




熱風が吹きすさぶ中、海道は続けて、
「スキル、ちから3倍化っ!」
ちからの数値を一定時間3倍にするスキルを発動させると栗田さんへと向かっていく。


栗田さんも負けじと、
「スキル、複写魔法ランク10っ!」
発して海道を迎え撃った。


がしっと海道と栗田さんが両手を組み合う。


「うおおおぉぉーっ!」
「はあぁぁーっ!」


パワーアップした海道に引けを取らない栗田さん。
ランク10というものがどの程度反映されているのかはわからないが栗田さんも複写魔法とやらで相当パワーアップしているようだった。




ぐぐぐぐっと徐々に海道が圧され始めた。
すると海道は栗田さんに前蹴りをくらわせ距離を取った。
そして腰に差していた大きな剣を抜いた。


「この猿真似野郎がっ!」
「ふんっ、これがおれの戦い方だっ」
受けて立つとばかりに栗田さんも背中のなぎなたのような長い刀を掴む。


「行くぜっ!」
「来いっ」


ガキィン!
ガキィン!
ガキィン!
  ・
  ・
  ・
剣と刀が火花を散らし両者互角の攻防が続いた。


「スキル、ちから3倍化っ!」
「スキル、複写魔法ランク10っ!」


お互いにスキルを常時使用し続けることで二人はパワーアップした状態を維持しつつ戦い続ける。
結果として二人の勝負は熾烈を極め長時間に及んだ。




そして――


「はぁっ、はぁっ……スキル、ちから3倍化っ……!」
海道が幾度目かの【ちから3倍化】を発動しようとした時、
「っ!? くっ……くそっ」
海道は力なくもらす。


「はぁっ、はぁっ……ふははっ。MPが切れたみたいだな。はぁっ……」
「それはてめぇだって同じだろうがっ……」
「はっ、違うね……おれはほらっ」
栗田さんはどこに隠し持っていたのか魔草を取り出した。


「なっ!? て、てめぇ……!」
「はぁっ、この大会はなんでもアリだ……」
そう言うと息を切らしながらも栗田さんは魔草を口に運ぶ。


もぐもぐ……。




「ふぅ~……これであと一回は魔法が使えるぞ。スキル、複写魔法ランク10っ……!」
「くっ、くそがぁっ……!」




……どさっ。




「しょ、勝者、栗田選手っ!」


川尻さんが高らかと勝利者を伝えるさなか、場外にはじき飛ばされて地面に仰向けになって倒れていた海道はただ真っ青な空を見上げていた。

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