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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第126話 高レベルプレイヤーたちの祭典

『おっす佐倉、元気にしてたかっ!』


スマホを耳に当てると開口一番海道の暑苦しい声が聞こえてくる。


「……海道、なんか用か?」
『なんだ佐倉、元気ねぇなぁ。そんなことじゃすぐ追い抜いちまうぞ』
「追い抜く? ……あー、ランキングのことか」


海道はつい先日発表されたばかりの獲得賞金ランキングのことを口にした。
俺は六位で海道はたしか十一位だったはず。


『佐倉、お前もう五千万も稼いでるんだな。高校行ってない奴は暇でいいよな』
「ほっとけ。それよりマジでなんの用なんだ? そんなこと言うためにわざわざ電話してきたわけじゃないだろ」
もしそうだとしたら海道も充分暇人だ。


『おっと、そうだった。ころっと忘れてたぜ。じゃあ早速本題だが次の日曜日空けとけよ』
「次の日曜日? なんでだよ」
『やっぱり知らなかったか。ほら見ろ、こいつなんにも知らないみたいだぜっ』
海道はそう言って誰かに声を飛ばしたようだった。


「ん? そこに誰かいるのか?」
『ああ、神代と長澤と水川がいるぜ。今朝練が終わったところでな、ちょうどみんな剣道場の前に集まってるんだ』
剣道の朝練か……朝早くからご苦労なこった。


「それで次の日曜日に何があるんだ? みんなで遊びにでも行くのか?」
『んなわけねぇだろ。お前ダンジョンに潜りすぎで最近のニュース全然見てねぇな』
「うっ……」
たしかにこのところテレビも一切観てはいないので最近のニュースには疎いが……。


『いいか? ここにきて全体的にプレイヤーたちのレベルがだいぶ上がってきてるだろ。だがそれでもランクF以上のダンジョンは未だに誰も攻略できてはいない。かといって低ランクのダンジョンのアイテムはほどんど取りつくされちまってて魔物からのドロップを期待するしかないって状況だ、だからプレイヤーたちのやる気もだんだんなくなってきちまってるっていう話がちょっと前から出てただろ……それくらいは聞いたことあるよな?』
「ん、あー、まあな」
初耳だ。


『そこでだ、そんなプレイヤーたちの憂さ晴らし兼賞金稼ぎの場を国が設けることにしたってわけだ』
「ふーん」
まだ話がよく見えないな。


『これから毎月末の日曜日に全国から東京に高レベルのプレイヤーたちを集めて国主催の格闘大会を開くんだそうだ。そんで優勝者には国からかなりのレアアイテムが渡されるらしい。その激レアアイテムはもちろん使ってもいいしその場ですぐに換金してもいいんだそうだ。まあおれなら強力な武器以外は速攻で金に換えるけどなっ』
「なるほど。でその格闘大会に海道たちも参加するから俺にも出ろってことか」
『へへっ。まあ、そんなとこだ』
「断る」
『だろ。当然出るよな――ってなんだとっ!? 断るだって!?』
俺の答えが予期していないものだったようで海道は大声を張り上げる。


「うっさいな……ああ。俺は出ないよ」
『なんでだっ! 激レアアイテムが貰えるんだぞっ!』
「いいよ別に。俺はもう五千万円は稼いでるし……」
金はあるに越したことはないが悪目立ちはしたくない。


『強い奴らと本気で戦えるんだぞっ、絶対楽しいだろうがっ!』
「うーん……東京行く金ももったいないし……」
っていうのは建前で本当は俺が本気で戦ったりなんかしたら間違いなく相手を殺してしまうからなのだが。


すると電話の向こうで『海道さん、僕に代わってもらえますか』と声が聞こえた。


そして、
『……もしもし、佐倉さんですか。お久しぶりです、神代です』
海道に代わって神代の落ち着いた声が届いてくる。


「ああ、久しぶり。言っとくけどお前が何を言っても俺は出ないからな」
『その件なのですが実は海道さんは佐倉さんに一つとても重要なことを言い忘れていたのでそれをお伝えしますね』
「なんだよ」
……なんか嫌な予感。


『海道さんはてっきり佐倉さんも出るものだと思って楽しみにしていたのですでに佐倉さん、あなたの分のエントリーも済ませてしまっているのですよ』
「はぁっ!? なんだよそれっ?」
俺の分のエントリーを済ませているだって? 何を勝手なことを……。
というか本人以外がエントリーできるってどんな大会なんだよ。


『もし今から不参加ということになりますとペナルティとしてダンジョンセンターの使用が一定期間制限されるのだそうです』
「おい、嘘だろっ……」
『残念ながら本当です。なので佐倉さんには出て――』
「ちょっと待て神代っ。お前は俺が本気を出したりしたらどうなるかわかってるだろ」
電話の向こうにいるであろう海道たちには聞こえないように俺は小声で神代に呼びかけた。


神代は俺のレベルがとんでもない数値であることを知っている。実際に手合わせしたこともある。
なので当然俺が格闘大会に出たら相手がどうなってしまうかもよくわかっているはずだ。


だが、
『そのことでしたら問題ありませんよ。今は詳しくは話せませんが僕に考えがありますから』
神代は至って冷静に返してくる。


『あっ、すみません。もう朝のホームルームが始まるので一旦切りますね、詳しいことはお昼にでもまた……』
「ちょ、ちょっと待てって」
『ではすみません、失礼します』


プツッ。プー、プー、プー、プー……。
……話の途中だったのに一方的に切られてしまった。

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