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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第111話 ステータスボードを見せられない理由

長い砂のダンジョン地下十三階。


「スキル、発破魔法ランク5っ!」
「はあっ!」


綾子さんと人志さんが二人で協力してゴブリンより二回りほど大きなマスターゴブリンを打ち倒す。
俺は相変わらずそれをふたりの後ろで見守るだけ。


さすがにそれでは気が引けるので消滅していくマスターゴブリンをみつめながら、
「今度魔物が出てきたら俺も戦いましょうか?」
訊いてみるが、
「まだ佐倉くんにはちょっと荷が重いんじゃないかな」
人志さんはやんわりと否定した。


「そういえば佐倉くんてレベルいくつなの? 訊いてなかったわよね」
「えーっと、レベルですか?」


うーん……なんて答えようか。
本当は38027だけど正直に言うわけにはいかないし、となるとやっぱりここは……。


「俺のレベルは……99ですけど」
最高値である99と答えておく。


「えっ!? レベル99っ!?」
「うっそーっ!?」
自分たちのレベルよりも俺のレベルが高いことが信じられないといった顔をする二人。


「本当ですよ。だから俺も少しは魔物退治に協力させてください」
「し、信じられないなぁ」
「そうよ。レベル99のプレイヤーがナスビモドキに簡単にやられちゃうとは思えないわ」
それは油断していただけなんですよ、綾子さん。


「ねえじゃあ、佐倉くんのステータスボード見せてくれる? そうしたら信じるわ」
「え……ステータスボードですか」
それを見せたらすべてを知られることになってしまうので元も子もない。


「いや、それはちょっと……」


俺が難色を示すと人志さんと綾子さんはお互いに目配せをして優しく微笑んだ。
そして、
「ふふっ。強がらなくていいのよ佐倉くん。レベルが低くても別に恥ずかしいことじゃないんだから」
「そうだよ。誰だって初めは弱いんだから徐々に強くなっていけばいいんだよ」
二人は訳知り顔で俺の肩に手を置く。


どうやらレベルが低いのを隠すために俺がステータスボードを見せまいとしているのだと誤解したようだった。


「いえ、そうじゃなくて、俺だって魔物と戦えるんです」
「その気持ちだけありがたく受け取っておくよ。ありがとう佐倉くん」
「そうそう。だから魔物との戦闘はわたしたちに任せて。アイテムはあとでちゃんと三等分するから安心してね」
「いや、だから……」
「さっ、先を急ぎましょう」




……まいった。
ステータスボードを見せないという行為が裏目に出て俺は二人からレベルの低いことにコンプレックスを抱えたシャイボーイだと勘違いされてしまったらしい。

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