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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第78話 磯さん、みたび

青い洞のダンジョン地下二十一階に下り立った俺と磯さんだったが俺の懸念は杞憂に終わり磯さんは、
「助けてくれてありがとうございましたぁ」
とお辞儀をすると俺とは別方向に歩き出していく。


厄介払いではないが一人になれたことにほっとすると同時に少しだけ磯さんを見捨ててしまったような罪悪感を覚えながらも俺はフロアの探索を進めていった。




道中、鋼鉄の鎌と幸運のイヤリングを拾うと鋼鉄の鎌は不思議な袋の中に入れ、幸運のイヤリングは試しに装着してみた。
スマホでイヤリングを身につけた自分の姿を確認するが中性的な顔立ちがあだとなり女性に間違われかねない見た目になってしまったので俺はすぐにこれを外すとやはり不思議な袋の中にしまい込んだのだった。




☆ ☆ ☆




上級ゾンビたちの首を素手ではね飛ばしながら通路を進んでいたところ前方に黒光りする物体を目にする。


「おっ、アイテムかな」


俺は近付いていくと手を伸ばしそれを拾った。


「なんだろうこれ……ただの石か?」
触った感じただの石ころのようだが周りの地面の色とは少し違う。
俺はステータスボードを開くとアイテム名を確認した。




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爆弾石


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「爆弾石か……名前からすると投げたら爆発するってとこだろうな、多分」


水川のように識別魔法を覚えていればもっと詳しい情報を知ることが出来るのだが名前で大体の見当はつくからまあよしとしよう。


俺は拾った爆弾石を不思議な袋に入れようと――


「誰か~、助けてくださ~い」


したところで女性の弱々しい声を耳にした。


舌っ足らずなその口調で俺は声の主が誰だかすぐにピンとくる。


「はぁ~……またかよ」


無視してやろうかとも思ったが俺は人に対して甘い性格なのか声のする方へと急いで駆け出していた。




☆ ☆ ☆




「やっぱりあなたでしたか、磯さん」
「あっ、佐倉さんだぁ~!」
磯さんは体長一メートルほどのポイズンリザード二体に囲まれて長い舌でベロベロと顔をなめられていた。
俺がその場に到着すると磯さんはポイズンリザードの唾液でべたべたになった顔を上げ声を弾ませる。


「何しているんですか?」
俺は倒れている磯さんに声をかけた。
磯さんはスキル【物理攻撃無効化】と【魔法無効化】のおかげで無敵状態なはずだが。


「ここにいる魔物さんたちに顔をなめられたら急に体の力が抜けちゃって……それに全身きしむように痛いんですぅ~」
と涙目で訴える磯さん。


「それきっと毒ですよ。相手はポイズンリザードですからね、そいつらになめられたから多分毒をくらっちゃったんでしょうね」
「え~っ、そんなぁ~」
磯さんは悲しげな顔で声を上げた。


うーん、ポイズンリザードって名前からして戦う前に毒があることくらい予想がつきそうなものだが……。


「とりあえずこいつらをまず倒しちゃいますね」
そう言うと俺はポイズンリザードたちの尻尾を掴むと磯さんから離れたところに投げ飛ばす。
そして、
「スキル、火炎魔法ランク10っ」
手のひらから巨大な炎の玉を放つとポイズンリザード二体をまとめて飲み込んだ。
スキル【魔法効果3倍】のおかげでこれまでの火炎魔法の3倍の威力のある炎の玉がポイズンリザードたちを一瞬で跡形もなく焼き尽くしこの世から葬り去る。


《佐倉真琴のレベルが2上がりました》
いつものように脳内で機械音がレベルアップを告げる中、
「ふぇ~ん、助けてください佐倉さ~んっ」
すがるような目で俺を見上げてくる磯さん。


「助けてって言われても俺、解毒魔法使えないですよ……」
「えぇ~っ、どうしましょう~」


困ったなぁ、と頭を抱えた矢先俺はあることを思い出す。


「あっそうだ。さっき毒消し草を拾ったんだったっ」
善は急げ。早速不思議な袋の中から毒消し草を取り出し倒れている磯さんにこれを食べさせた。


もぐもぐ……。


「うぇ~、苦いですぅ~」
「それは我慢してください」


毒消し草の効き目はすぐにあらわれ磯さんはこのあとすぐに立ち上がることができた。

「最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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