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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第58話 来訪者

ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン……。


土曜日の朝からチャイムの音が鳴り続けている。
俺はその音でベッドからむくりと起き上がった。


「義母さーん! 誰か来たみたいだよー! ……っていないんだっけか」
義母さんは父さんと無事病気が治ったことを祝して旅行に出かけているのだった。


ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン……。


「はいはい、今出ますよー!」
俺は寝癖を手ぐしで整えつつ玄関へと向かっていく。


それにしても誰だまったく、ピンポンピンポンあほみたいに鳴らしまくって……。


「はい、どちら様――」
俺は玄関ドアを勢いよく開けた。
すると、
「真琴様、お久しぶりですわ~っ!」
満面の笑みを浮かべたドレス姿の美少女が玄関の前に立っていた。
そして俺を見るなり飛びついてくる。


「マリアっ!? 何してんだこんなところでっ!?」


マリアとはロシア系ユダヤの血を引く大金持ちの家の十二歳の女の子である。
つい三週間ほど前に知り合い、その時からどうやら俺になついているようなのだが。
一時は喧嘩別れのような状態になってしまっていたがその後電話で俺が謝罪し仲直りを済ませている。


「ふふふ~ん、遊びに来てしまいましたわ」
「遊びにって、なんでお前俺ん家知ってるんだよっ。教えてないはずだぞ」
「真琴様、今の時代お金さえあれば大抵のことは出来るんですのよ」
なにげに怖いことを言うなこいつ。


「とりあえずひっつくな」
俺はマリアを引きはがすとマリアの後ろに目をやった。
「なんだ、今日はマヤさんたちはいないんだな」
いつもはマリアの後ろにずらっと並んでいる黒服たちの姿が見えない。


「はい、今日はマヤたちはお留守番ですの。でもその代わりにわたくしの付き添いの方を二人お連れしてきましたわ」
「付き添い? 二人?」


するとドアの陰から、
「佐倉久しぶりーっ」
長い髪をポニーテールにした活発そうな女子が顔を出した。


「長澤っ!?」
「おはよ佐倉。それにしても佐倉ん家ってド田舎だったのね。あたしたちここまで来るのにだいぶ時間かかったんだからね」
「いきなり来ておいて勝手なこと言うな」


長澤は有名なプレイヤーのチームである閃光の紅蓮団のメンバーの一人だ。
俺にはとあるいきさつで閃光の紅蓮団と行動を共にした過去がある。


「ん? じゃあもう一人の付き添いっていうのはもしかして……」
「す、すみません。連絡もせずに突然押しかけてしまって……」
長澤の後ろからおずおずと顔を覗かせたのは眼鏡をかけた小柄な女子だった。


「やっぱり水川か」
水川も長澤と同じく閃光の紅蓮団のメンバーの一人だ。
長澤と仲がいいからもしやとは思ったが。


「何よその顔、美少女が三人も訪ねてきたのに嬉しくないわけっ?」
「今が朝の七時じゃなけりゃ嬉しかったかもな」
そう。現在の時刻はまだ午前七時。
いつもの俺なら間違いなく熟睡中なのである。


「す、すみません佐倉さんっ。ほら、やっぱり朝の七時は非常識だって言ったでしょ紅ちゃんっ」
「そうかなぁ、あたしはいつも五時には起きてるわよ」
「それは紅ちゃんが剣道の早朝練習してるからでしょっ」
「わたくしも最近は閃光の紅蓮団の皆様を見習って剣道の練習を始めたんですわよっ」
「おい三人とも静かにしてくれ。まだ七時だぞ」
たしかにうちはド田舎だが、ド田舎にはド田舎なりのルールがある。
近所迷惑になることは避けたい。


「マジで何しにきたんだお前たち? 本当にただ遊びに来ただけじゃないよな?」
俺は今にも閉じそうな目を必死で開きながら三人に小声で問いかけた。


すると、
「遊びに来ただけですわよ」
マリアは何を言っているんだと言わんばかりに口にする。


そして長澤は、
「ねえ佐倉、立ち話もなんだしそろそろ中入ってもいい?」
「え……」
「入れてくれないともっとここで騒ぐわよ」
俺を見てにやりと笑った。


……悪夢だ。

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