最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~
第28話 二尾(七か月前)
一人ボスのもとへと駆け出した海道を俺たちは追ったが姿が見えない。
とそこへ――
「うがあぁーっ……!」
海道の声だ。
俺たちは声のもとへと急ぐ。
通路を走り、突き当たりの丁字路を右に曲がると広い空間に出た。
っ!?
そこで目に飛び込んできたのは異様に長く大きな尻尾が二股に分かれたキツネのような魔物だった。
そして壁際には海道が立て膝をついている。
すぐにステータスボードをスクロールして確認すると魔物の名前は二尾だとわかった。
やはりこのダンジョンのボスのようだ。
「海道さんっ」
「だ、大丈夫だっ。ちっと油断しただけだぜっ」
神代の声に海道が返す。
「こいつはおれがやる。お前ら絶対に手出すなよっ」
そう言うと二尾に向かっていく海道。
「うおおおーっ!」
木刀を大きく振りかぶってから一閃。二尾の横っ腹に強烈な一撃をくらわせた。
もし今のが木刀ではなく真剣だったなら勝負は決まっていただろう。
そんな一撃だった。
だが二尾は倒れかけたものの体勢を立て直すと攻撃直後の海道の首に噛みついた。
「ぐああぁぁー!」
海道の首から血がブシュゥッと噴き出る。
「まずいっ」
神代のつぶやきにいち早く反応したのはなんと水川だった。
水川は危険をかえりみず二尾と海道の間に割って入ると下から剣道の突きのような型で二尾の首を打ち抜いた。
二尾はたまらず後ろへ飛び退く。
首を手で押さえながらうめく海道に向き直ると、
「スキル、回復魔法ランク2っ」
水川が海道に手を向けた。
青白い光が海道を包む。
「僕たちもいきましょうっ」
「ええ!」
神代と長澤は二尾に向かって駆け出した。
俺もあとに続こうと足を踏み出そうとした矢先、
『グォォォーン!』
二尾が天井を見上げ体を震わせた。
すると次の瞬間二尾の体が炎に覆われた。
さながら炎の化身のように変化した二尾は神代と長澤を飛び越えるといまだ海道に回復魔法をかけていた水川めがけて落下。
「蓮華、危ないっ!」
長澤の叫び声が部屋中にこだました。
「スキル、氷結魔法ランク3っ!」
俺は水川を今にも自らの炎で燃やし尽くさんとする二尾の動きを止めるため氷結魔法を放った。
二尾の周りに氷の結晶が現れ二尾の燃え盛る体を覆う。
だが相手は炎の塊のようなもの。氷は蒸発し二尾は水川へとそのまま向かっていく。
まさに水川の目の前に二尾が迫った瞬間俺はとっさに、
「スキル、電撃魔法ランク1っ!」
いちかばちか覚えたばかりの電撃魔法を唱えた。
初めて使う魔法、さらにランクは1。なのでこれは賭けだった。
すると――
バリバリバリィィィッ!
俺の手から飛び出したバレーボール大の電気の球体が二尾にぶち当たりこれをはね飛ばしたのだった。
地面に落ちた二尾はぷすぷすと焦げたにおいを部屋に充満させている。
そして……。
『グォォォーン……!』
倒れながら最後にひと鳴きしたかと思うと直後消滅した。
☆ ☆ ☆
なぜランク1の魔法で倒せたのかはわからない。
もしかしたら電気が弱点だったのかもしれないし電撃魔法はランク1でも強力な魔法だったのかもしれない。
まあ、そんなことはどうでもいい。水川を助けることが出来たのだからよしとしよう。
《佐倉真琴のレベルが61上がりました》
「おおっ、レベルが上がった」
期せずして俺のレベルは36から97にまで跳ね上がった。
とその頃ようやく水川によって傷を治してもらった海道が起き上がる。
「海道さん大丈夫ですか? ……海道さん?」
神代の問いかけを無視して俺のもとへつかつかやってくる憮然とした表情の海道。
別に礼ならいいのだが。そもそも水川を助けようとしてやったまでだし。
「海道、別に気にすることぐふぅっ……!?」
「海道さんっつ」
「海道っ!」
「っ!」
あろうことか海道は正面に立つなり俺の腹にボディーブローを打ち込んできた。
「海道っ、あんた何を――」
「お前は黙ってろっ! おい、佐倉! 手ぇ出すなって言ったよなっ!」
長澤の制止を遮り海道は大口を開けほえる。目は怖いくらいに血走っていた。
「おれの獲物を横取りしやがって、くそがっ」
「げほっ……ごほっ……くっ……お、俺は別にそんなつもりじゃ――」
「おい、神代っ。ダンジョンは攻略したんだ、おれは先に帰るぜっ」
そう言うと海道は一人でもと来た道をさっさと戻っていってしまった。
「なによあいつっ。助けてもらっといてっ」
長澤がイラ立ち交じりに舌打ちをする。
「佐倉さんすみませんでしたっ。まさか海道さんがあんなことをするなんて……」
「い、いいよ別に。もう大丈夫だから」
殴られる直前にレベルが上がっていたのが幸いした。
そうでなければ海道のパンチを受けてノックダウンしていただろう。
「ふぅ~」
やっぱり一人で行動すべきだったのかな……。
「……じゃあ、俺ももう行くよ」
「佐倉さん、待ってくださいっ……」
「佐倉っ」
俺は神代と長澤二人の声にこたえることなく出入り口に向かう。
「……さ、佐倉さん。さ、さっきは助けていただいてありがとう、ございました……あ、あの……」
「無事でよかったな」
まだ何か言いたげな顔をした水川の肩にぽんと手を置くと俺はそのままダンジョンをあとにしたのだった――
===== ===== ===== =====
「はっくしょんっ! ……うー、なんか寒くなってきたな」
フェリー乗り場のそばの公園のベンチで物思いにふけっていた俺はくしゃみを一つするとスマホに視線を落とす。
「六時か……」
現在時刻は午前六時。沖縄行きのフェリーの出発時刻は午後六時。
「十二時間か~……寝るかな」
何もすることがない俺は自身初の十二時間連続睡眠に挑戦するのだった。
とそこへ――
「うがあぁーっ……!」
海道の声だ。
俺たちは声のもとへと急ぐ。
通路を走り、突き当たりの丁字路を右に曲がると広い空間に出た。
っ!?
そこで目に飛び込んできたのは異様に長く大きな尻尾が二股に分かれたキツネのような魔物だった。
そして壁際には海道が立て膝をついている。
すぐにステータスボードをスクロールして確認すると魔物の名前は二尾だとわかった。
やはりこのダンジョンのボスのようだ。
「海道さんっ」
「だ、大丈夫だっ。ちっと油断しただけだぜっ」
神代の声に海道が返す。
「こいつはおれがやる。お前ら絶対に手出すなよっ」
そう言うと二尾に向かっていく海道。
「うおおおーっ!」
木刀を大きく振りかぶってから一閃。二尾の横っ腹に強烈な一撃をくらわせた。
もし今のが木刀ではなく真剣だったなら勝負は決まっていただろう。
そんな一撃だった。
だが二尾は倒れかけたものの体勢を立て直すと攻撃直後の海道の首に噛みついた。
「ぐああぁぁー!」
海道の首から血がブシュゥッと噴き出る。
「まずいっ」
神代のつぶやきにいち早く反応したのはなんと水川だった。
水川は危険をかえりみず二尾と海道の間に割って入ると下から剣道の突きのような型で二尾の首を打ち抜いた。
二尾はたまらず後ろへ飛び退く。
首を手で押さえながらうめく海道に向き直ると、
「スキル、回復魔法ランク2っ」
水川が海道に手を向けた。
青白い光が海道を包む。
「僕たちもいきましょうっ」
「ええ!」
神代と長澤は二尾に向かって駆け出した。
俺もあとに続こうと足を踏み出そうとした矢先、
『グォォォーン!』
二尾が天井を見上げ体を震わせた。
すると次の瞬間二尾の体が炎に覆われた。
さながら炎の化身のように変化した二尾は神代と長澤を飛び越えるといまだ海道に回復魔法をかけていた水川めがけて落下。
「蓮華、危ないっ!」
長澤の叫び声が部屋中にこだました。
「スキル、氷結魔法ランク3っ!」
俺は水川を今にも自らの炎で燃やし尽くさんとする二尾の動きを止めるため氷結魔法を放った。
二尾の周りに氷の結晶が現れ二尾の燃え盛る体を覆う。
だが相手は炎の塊のようなもの。氷は蒸発し二尾は水川へとそのまま向かっていく。
まさに水川の目の前に二尾が迫った瞬間俺はとっさに、
「スキル、電撃魔法ランク1っ!」
いちかばちか覚えたばかりの電撃魔法を唱えた。
初めて使う魔法、さらにランクは1。なのでこれは賭けだった。
すると――
バリバリバリィィィッ!
俺の手から飛び出したバレーボール大の電気の球体が二尾にぶち当たりこれをはね飛ばしたのだった。
地面に落ちた二尾はぷすぷすと焦げたにおいを部屋に充満させている。
そして……。
『グォォォーン……!』
倒れながら最後にひと鳴きしたかと思うと直後消滅した。
☆ ☆ ☆
なぜランク1の魔法で倒せたのかはわからない。
もしかしたら電気が弱点だったのかもしれないし電撃魔法はランク1でも強力な魔法だったのかもしれない。
まあ、そんなことはどうでもいい。水川を助けることが出来たのだからよしとしよう。
《佐倉真琴のレベルが61上がりました》
「おおっ、レベルが上がった」
期せずして俺のレベルは36から97にまで跳ね上がった。
とその頃ようやく水川によって傷を治してもらった海道が起き上がる。
「海道さん大丈夫ですか? ……海道さん?」
神代の問いかけを無視して俺のもとへつかつかやってくる憮然とした表情の海道。
別に礼ならいいのだが。そもそも水川を助けようとしてやったまでだし。
「海道、別に気にすることぐふぅっ……!?」
「海道さんっつ」
「海道っ!」
「っ!」
あろうことか海道は正面に立つなり俺の腹にボディーブローを打ち込んできた。
「海道っ、あんた何を――」
「お前は黙ってろっ! おい、佐倉! 手ぇ出すなって言ったよなっ!」
長澤の制止を遮り海道は大口を開けほえる。目は怖いくらいに血走っていた。
「おれの獲物を横取りしやがって、くそがっ」
「げほっ……ごほっ……くっ……お、俺は別にそんなつもりじゃ――」
「おい、神代っ。ダンジョンは攻略したんだ、おれは先に帰るぜっ」
そう言うと海道は一人でもと来た道をさっさと戻っていってしまった。
「なによあいつっ。助けてもらっといてっ」
長澤がイラ立ち交じりに舌打ちをする。
「佐倉さんすみませんでしたっ。まさか海道さんがあんなことをするなんて……」
「い、いいよ別に。もう大丈夫だから」
殴られる直前にレベルが上がっていたのが幸いした。
そうでなければ海道のパンチを受けてノックダウンしていただろう。
「ふぅ~」
やっぱり一人で行動すべきだったのかな……。
「……じゃあ、俺ももう行くよ」
「佐倉さん、待ってくださいっ……」
「佐倉っ」
俺は神代と長澤二人の声にこたえることなく出入り口に向かう。
「……さ、佐倉さん。さ、さっきは助けていただいてありがとう、ございました……あ、あの……」
「無事でよかったな」
まだ何か言いたげな顔をした水川の肩にぽんと手を置くと俺はそのままダンジョンをあとにしたのだった――
===== ===== ===== =====
「はっくしょんっ! ……うー、なんか寒くなってきたな」
フェリー乗り場のそばの公園のベンチで物思いにふけっていた俺はくしゃみを一つするとスマホに視線を落とす。
「六時か……」
現在時刻は午前六時。沖縄行きのフェリーの出発時刻は午後六時。
「十二時間か~……寝るかな」
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