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最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第23話 閃光の紅蓮団(七か月前)

スーパーで一番安い服を買いカプセルホテルに一泊して身も心も新たにすると翌日俺はランクSの浅い凪のダンジョンに向かった。
ダンジョンに着くとその入り口で男女混合の四人組のチームに出会う。
見た感じ同年代くらいのようだ。


遠慮して先に行かせようとするもソロのプレイヤーは珍しいらしく彼らの方から話しかけてきた。


「あなたもプレイヤーですか? ソロとは珍しいですね。あ、失礼しました。僕は神代閃一といいます。高校一年です、どうぞよろしく」
神代と名乗った長身爽やか系イケメンは手をスッと差し出してくる。


「あ、えっと、俺は佐倉真琴です、十六歳です。よろしく」
「同い年でしたか。でしたら敬語は必要ありませんよ、タメ口でどうぞ」
「いやでも、そっちも敬語使ってますし……」
「僕のは癖みたいなものですから気になさらないでください」
そう言うと神代はファサッと長い前髪をかき上げた。
その仕草はどこぞのアイドルのようで様になっている。


「僕たちは入矢高校の剣道部員なんです。全員一年です」
言いながら広げた手を後ろの部員たちに向け神代は全員の紹介を始めていった。


入矢高校だって? 入矢高校といえば剣道の超名門校じゃないか。
剣道にまったく興味のない俺でも毎年全国各地から有望な選手を集めて全国大会で何年も連覇してるって話は知っている。
でもなんでそんな奴らがチームを組んでダンジョンなんかに……?


と、そんなことを考えていたせいで俺は神代の話を聞き逃していた。
気付けば神代による部員全員の紹介は終わっていたようだった。
俺はとりあえず申し訳程度にほかの三人の顔を順々に見ながら会釈をする。


「……とまあそんなところです。要するに僕たちがプレイヤーになったわけは精神修行の一環みたいなものですね……というのは建前で本当は練習ばかりでバイトも出来ない部員たちのお小遣い稼ぎってところです」
訊いてもいないのにダンジョンに潜る理由を説明する神代。


「あー……そう、なんだ」
「あなたはなぜプレイヤーに?」
「俺? 俺は……必要に迫られてかな」
最近ではダンジョン暮らしの方が妙に落ち着くという理由もあるが変に思われるのもあれなので黙っておく。


「そうですか。ちなみにレベルはおいくつですか?」
「26だけど」
「「「26っ!?」」」
神代の後ろでただ黙っていただけの部員たちが驚きの声を上げた。


「え、何? 何かおかしなこと言ったか?」
「え、ええまあ」
さっきまで涼しい顔をしていた神代も少しだけだが動揺しているように見える。


「僕たちは緊急事態宣言が解除されてからすぐにチームを組んでダンジョンに潜り始めました。これは自慢などではありませんが僕たちは剣術の心得があるのでランクVのダンジョンでも難なく攻略することができたんです」
ランクVといったら俺がさっきまで潜っていたダンジョンよりも2ランク上のダンジョンか。


「その後も僕たちはそのダンジョンに潜って襲い来る魔物たちを連携して確実に仕留めてレベルを上げていきました。そのおかげで僕たちは今現在全員がレベル20です」
「へー」
四人全員がレベル20ってことは相当数の魔物を倒したんだろうな。


「僕たちはついさっきまで少なからず自分たちがこのダンジョン攻略のトップを走っていると思っていたんですよ。しかしあなたは僕たちよりも高レベルのソロプレイヤーだった。そこで僕たちは驚いたわけです」
「ふーん、そうだったのか」
まあこっちはこの一か月ずっとダンジョンにいたんだし【経験値1000倍】のスキルもあるからな、当然といえば当然なのだが。


「そんなにお強いのでしたら……もしよろしかったらどうでしょう。僕たちとご一緒してくれませんか?」
「え? それって一緒にダンジョンを攻略しようってことか?」
「はい。みなさんもいいですよね?」
神代は後ろの部員を振り返り訊いた。


「まあいいんじゃねぇか」
「あたしは構わないわよ」
「は、はい。大丈夫です」


口々に神代に賛同する部員たち。
結局全員が俺を受け入れてくれた。


「ということでいかがでしょうか?」
「……うーん」
俺は頭を悩ませる。


俺を必要としてくれるのはありがたいが一人の方が気楽でいいのだけれど……。


ただどちらにしろ俺も神代たちも今からこのダンジョンに潜るわけだし断ったらあとが気まずいよな。


神代の後ろで部員たちが俺をじっとみつめている。


……仕方ないか。
「……わかった。世話になるよ」
「ありがとうございます、佐倉さん。あ、そうだ。僕たちのチーム名をまだ言っていませんでしたね」


そう言うと神代は俺の目をしっかりと見据えてからうやうやしく頭を下げた。


「僕たちは閃光の紅蓮団です。どうぞよろしくお願いします」

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