Sランクパーティーを追放された鍛冶職人、世界最強へと至る ~暇になったおっさんは気晴らしに作ったチート武器で無双する~

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第65話 マリアとの別れ

無事錬金素材を集めた俺とマリアは二日かけてカジカ村の冒険者ギルドまで戻ってきていた。


「ダイダラボッチを倒して金貨六枚じゃ割に合わないよなぁ」
「ふふっ、そうですね」


今は受付カウンターの前で報酬が支払われるのを待っているところだ。


「バラン団のバラン様、こちらが報酬の金貨六枚になります」


ダイダラボッチを倒すことは依頼に含まれてはいなかったので初めの約束通り俺は金貨六枚を受付の女性から受け取る。
そしてそのうちの三枚をマリアに手渡す。
「ほらこれ、マリアの分」


「えっ、受け取れませんよ。ダイダラボッチを倒したのはバランさんですよ。わたし何もお役に立てなかったですし……」
「それを言うなら俺の方こそ何もしてないぞ。錬金素材を二つとも手に入れてくれたのはマリアだろ」
今回の依頼はあくまで錬金素材を集めること。
俺はそれに関しては何も出来ていない。


「でも……」
「俺が言うのもなんだけどここは半々でいいんじゃないか」
「……そうですか? じ、じゃあわかりました」
マリアは首を小さく縦に振ると俺の手から三枚の金貨を受け取った。




☆ ☆ ☆




ギルドを出るとバラン村まで馬車で帰路についた。
馬車で揺られている道中俺たちの間には一言も会話はなかった。
だが不思議と以前のように、いや以前よりもずっと打ち解け合えたような気がしていた。


マリアもそんな気持ちだったとしたら嬉しいのだが。




☆ ☆ ☆




そして馬車は夕方頃バラン村に着いた。


馬車を降りたマリアは意を決したように俺を見上げ重い口を開いた。


「……わたし、明日みんなのところへ戻ろうと思います」
「そっか……それがいい」
マリアがいないとあのパーティーは殺伐としてそうだからな。


「すみません、いろいろ勝手なこと言って……」
「マリアがそうしたいならそうすればいいさ」
「……はい」


そうして俺たちはガゼフさんたちの待つ家へと戻ったのだった。




☆ ☆ ☆




翌朝。


「本当に行ってしまうのかのう? なんならずっとおってもよいのじゃぞ、マリアちゃん」
「そうですよ。マリアさんがいるとバランさんもなんだか楽しそうですし」
ガゼフさんとリエルが家の前までマリアを見送りに出ていた。


「ありがとうございます……」
「おいチビ、また遊びに来いよ」
「はい、ガジュウさん」
ガジュウは照れくさそうに鼻をかきながら言うと一人家の中へと入っていく。


「みなさんお世話になりました。みなさんと一緒に生活できてとても楽しかったです。よかったら今度はわたしのいる街に遊びに来てください。その時にはわたしが案内しますから」
「おお、それは楽しみじゃのう」
「そうねおじいちゃん」
ガゼフさんとリエルが嬉しそうに微笑む。


「じゃあ俺はそこまでマリアを送ってくるから」
「頼みましたぞバランどの。マリアちゃん元気でな~」
「マリアさん、また来てくださいね~」
「はいっ」
手を振るガゼフさんとリエルに見送られ俺とマリアは村の入り口まで歩いて向かった。




「ここでいいです」
村の入り口に着くとマリアが俺に顔を向ける。


「うん、じゃあここで」


マリアは唇をかみしめながら、
「バランさんお世話になりました」
深々と頭を下げた。


そしてその状態のまま話し続けた。


「わたしバランさんにひどいことしたのにバランさんはそんなわたしを受け入れてくれて……わたし……わたし……本当にごめんなさい」


地面にぽたぽたとしずくが落ちる。


「マリア……」




ごしごしと服の袖で目元を拭うとマリアは顔を上げた。


今度は晴れやかな顔で、
「久しぶりにバランさんと一緒に冒険出来てすごく楽しかったです……今は紅の旅団はバラバラになってしまってますけどわたしやっぱりまた五人で冒険がしたいです。そのために私に何が出来るかわかりませんがわたしなりに頑張ってみるつもりです」
そう宣言した。


「そうか」
ゾーンはともかくセフィーロとランドルフは難しそうだがな。
まあ、せっかくのマリアの決意に水を差すのも悪いし黙っておくが。


『自分で追い出しといてよく言うわね、この――』
お前も黙ってろ。


「じゃあ……わたし行きますね」
「ああ、元気でな。あまり気負うなよ」
「はいっ」


最後にとびきりの笑顔を俺に見せるとマリアは仲間たちのもとへと戻っていったのだった。

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