Sランクパーティーを追放された鍛冶職人、世界最強へと至る ~暇になったおっさんは気晴らしに作ったチート武器で無双する~
第57話 闇夜の洋館
夜になり俺とマリアは村はずれの洋館へと向かっていた。
夜になると現れるという首なし騎士のモンスター、デュラハンを退治するためだ。
「マリア、心の準備はいいか?」
俺は隣を歩くマリアを見下ろし言うと、
「……は、はい……が、頑張りますっ」
マリアはふぅと一つ息を吐いてからやる気をみなぎらせた声を発した。
実力は申し分ないがモンスターとの戦闘を恐れているマリアがどこまでやれるかどうかが気がかりだ。
ちなみにエクスカリバーは現在『……すぅすぅ』と熟睡中である。
別にエクスカリバーが眠っていても必殺技は使えるので問題は一切ない。むしろうるさい奴がいなくて好都合である。
☆ ☆ ☆
しばらく歩くと俺たちは月明かりに照らされた不気味な洋館に到着した。
「ここが例の場所だな……」
大きくて立派な洋館だが屋根にはカラスが群れをなし壁にはツタが絡まっており庭は草木が生い茂っていてまったく手入れがされていないようだった。
昔はホテルだったらしいが今は空き家だというのもうなずける。
「じゃあ行くか」
「はい」
俺たちは大きな扉を開け洋館の中へと入っていった。
「暗いな……」
中は月明かりも入ってこず真っ暗だった。
俺は廊下の明かりのスイッチを手探りでみつけ出し押してみるがどうやら電気は通っていないらしく明かりはつかない。
するとマリアが、
「ホーリーライト!」
声を上げる。
その瞬間マリアの持つ杖の先端がぱあっと光り出し建物の中を明るく照らした。
目が暗さに慣れていたのでまぶしすぎるぐらいだ。
「これで見えますね」
「ああ、ありがとうなマリア」
それから俺たちは建物中をくまなく歩いてデュラハンを探して回った。
各寝室に大浴場、食堂に大広間、果てはトイレの中まで。
だがデュラハンはおろか猫一匹みつけることは出来なかった。
「いないなぁ……」
「いませんね」
夜な夜な洋館に出没するということ以外わかっていないためどうしようもない。
俺たちはひとまず大広間に腰を落ち着かせることにした。
「今夜は現れないのかもしれないな」
俺は年季の入った椅子に腰かけながら言う。
「それかもしかしたらデュラハンなんて本当はいないのかも……」
マリアは窓の外を眺めつつ返した。
「いないって?」
「だってデュラハンてダンジョンに出てくる結構強いモンスターですよ」
その強いモンスターをお前たちがいともあっさり倒していたのを俺は何度も遠くから見ていたが。
「そのモンスターがどうして地上にいるんでしょうか?」
「うーん……あっそういえばミノケンタウロスが話していたんだが召喚術でダンジョンのモンスターを呼び寄せることの出来る人間がいるらしいぞ」
「召喚術師のことですか? 召喚術師ってそんなことも出来るんですか?」
「俺も詳しくは知らないけどな……俺たちのパーティーには召喚術師なんていなかったし」
召喚術師はレアな職業のため高いお金で誰かに雇われているケースがほとんどなのだ。
「なるほど……そういう理由でダンジョンにいる強力なモンスターが地上にいることがあるんですね」
「ああ。俺が倒したミノケンタウロスも誰かが召喚した奴だったらしいからな」
「そうなんで――」
その時だった。
「か~え~れ~……か~え~れ~」
おどろおどろしい声が建物内に響いた。
「きゃあっ!」
マリアが俺の腕に飛びつきしゃがみ込む。
「か~え~れ~……か~え~れ~」
その声はだんだんと廊下から大広間に近付いてきているように聞こえる。
「な、なんですかこの声っ!? デュラハンですかっ!?」
そう言われても俺にわかるはずもない。
というかデュラハンて喋れるのだろうか?
いつも戦闘中は遠くから眺めているだけだったからそれもわからない。
「か~え~れ~……か~え~れ~」
声は大広間の扉の前で止まったようだった。
「ちょっと見てくるから手、放してくれないか?」
「え……あ、ああっ、すみませんっ」
マリアはふと俺の腕にしがみついていたことに気付くと慌てて俺から距離をとった。
……そこまで急いで離れなくても。
椅子から立ち上がると扉の前へと進む。
「か~え~れ~……か~え~れ~」
やはり扉の向こう側から声がする。
俺はゆっくりドアノブを掴むと、次の瞬間意を決して扉を大きく開け放った。
バンッ。
「いてっ!」
?
扉が何かに、いや誰かにぶつかったようだ。
俺は扉の陰から裏側を覗き込んだ。
「っ!?」
するとそこには懐中電灯片手に顔を押さえてうずくまる小汚い恰好をしたおじさんがいた。
夜になると現れるという首なし騎士のモンスター、デュラハンを退治するためだ。
「マリア、心の準備はいいか?」
俺は隣を歩くマリアを見下ろし言うと、
「……は、はい……が、頑張りますっ」
マリアはふぅと一つ息を吐いてからやる気をみなぎらせた声を発した。
実力は申し分ないがモンスターとの戦闘を恐れているマリアがどこまでやれるかどうかが気がかりだ。
ちなみにエクスカリバーは現在『……すぅすぅ』と熟睡中である。
別にエクスカリバーが眠っていても必殺技は使えるので問題は一切ない。むしろうるさい奴がいなくて好都合である。
☆ ☆ ☆
しばらく歩くと俺たちは月明かりに照らされた不気味な洋館に到着した。
「ここが例の場所だな……」
大きくて立派な洋館だが屋根にはカラスが群れをなし壁にはツタが絡まっており庭は草木が生い茂っていてまったく手入れがされていないようだった。
昔はホテルだったらしいが今は空き家だというのもうなずける。
「じゃあ行くか」
「はい」
俺たちは大きな扉を開け洋館の中へと入っていった。
「暗いな……」
中は月明かりも入ってこず真っ暗だった。
俺は廊下の明かりのスイッチを手探りでみつけ出し押してみるがどうやら電気は通っていないらしく明かりはつかない。
するとマリアが、
「ホーリーライト!」
声を上げる。
その瞬間マリアの持つ杖の先端がぱあっと光り出し建物の中を明るく照らした。
目が暗さに慣れていたのでまぶしすぎるぐらいだ。
「これで見えますね」
「ああ、ありがとうなマリア」
それから俺たちは建物中をくまなく歩いてデュラハンを探して回った。
各寝室に大浴場、食堂に大広間、果てはトイレの中まで。
だがデュラハンはおろか猫一匹みつけることは出来なかった。
「いないなぁ……」
「いませんね」
夜な夜な洋館に出没するということ以外わかっていないためどうしようもない。
俺たちはひとまず大広間に腰を落ち着かせることにした。
「今夜は現れないのかもしれないな」
俺は年季の入った椅子に腰かけながら言う。
「それかもしかしたらデュラハンなんて本当はいないのかも……」
マリアは窓の外を眺めつつ返した。
「いないって?」
「だってデュラハンてダンジョンに出てくる結構強いモンスターですよ」
その強いモンスターをお前たちがいともあっさり倒していたのを俺は何度も遠くから見ていたが。
「そのモンスターがどうして地上にいるんでしょうか?」
「うーん……あっそういえばミノケンタウロスが話していたんだが召喚術でダンジョンのモンスターを呼び寄せることの出来る人間がいるらしいぞ」
「召喚術師のことですか? 召喚術師ってそんなことも出来るんですか?」
「俺も詳しくは知らないけどな……俺たちのパーティーには召喚術師なんていなかったし」
召喚術師はレアな職業のため高いお金で誰かに雇われているケースがほとんどなのだ。
「なるほど……そういう理由でダンジョンにいる強力なモンスターが地上にいることがあるんですね」
「ああ。俺が倒したミノケンタウロスも誰かが召喚した奴だったらしいからな」
「そうなんで――」
その時だった。
「か~え~れ~……か~え~れ~」
おどろおどろしい声が建物内に響いた。
「きゃあっ!」
マリアが俺の腕に飛びつきしゃがみ込む。
「か~え~れ~……か~え~れ~」
その声はだんだんと廊下から大広間に近付いてきているように聞こえる。
「な、なんですかこの声っ!? デュラハンですかっ!?」
そう言われても俺にわかるはずもない。
というかデュラハンて喋れるのだろうか?
いつも戦闘中は遠くから眺めているだけだったからそれもわからない。
「か~え~れ~……か~え~れ~」
声は大広間の扉の前で止まったようだった。
「ちょっと見てくるから手、放してくれないか?」
「え……あ、ああっ、すみませんっ」
マリアはふと俺の腕にしがみついていたことに気付くと慌てて俺から距離をとった。
……そこまで急いで離れなくても。
椅子から立ち上がると扉の前へと進む。
「か~え~れ~……か~え~れ~」
やはり扉の向こう側から声がする。
俺はゆっくりドアノブを掴むと、次の瞬間意を決して扉を大きく開け放った。
バンッ。
「いてっ!」
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扉が何かに、いや誰かにぶつかったようだ。
俺は扉の陰から裏側を覗き込んだ。
「っ!?」
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