Sランクパーティーを追放された鍛冶職人、世界最強へと至る ~暇になったおっさんは気晴らしに作ったチート武器で無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第40話 村にやってきた兵士たち

山道を下りていくとバラン村が見えてきた。
だが何か様子がおかしい。


「バランさん、あの方たち誰でしょうか?」


俺たちの視線の先には甲冑を身に纏った兵士たちが十数人いてその代表者らしき人物とガゼフさんとが話をしているようだった。


と次の瞬間ガゼフさんの前にいた兵士がガゼフさんを突き飛ばした。


「!」
「おじいちゃんっ!?」
リエルが駆けだす。
俺も薬草の入ったかごを放って後に続く。


ガゼフさんの横に立っていたガジュウが「貴様っ!」と怒鳴り声をあげその兵士を殴った。
よろけた兵士は、
「こいつをひっとらえろっ!」
と周りの兵士に命令する。
十数人の兵士たちがガジュウを取り囲む。


ガジュウは激しく抵抗し一人二人と投げ飛ばしていたが多勢に無勢すぐに地面に押し倒されてしまった。




「おじいちゃん!」
リエルと俺は二人のもとに駆けつけるとガゼフさんを起き上がらせた。


「ガジュウが……」
「俺に任せてください」
ガゼフさんとリエルの視線を背中に受けつつ俺は兵士たちのもとへ進む。


「そいつを放してやってくれませんか」
「それは出来んな」
ガジュウに殴られた兵士が口元の血を拭いつつ答えた。


「兵士長であるこのオレを殴ったのだ、死刑は免れん」
「「死刑!?」」
ガゼフさんとリエルが声を揃える。


「そうだ。オレたち兵士はお前たち庶民のために日夜体を鍛え、命懸けで敵と戦ってやってるんだぞ。そんなオレたちにたてついてただで済むわけなかろう」
「でも最初に手を出したのはあなたでしょう」
この兵士長がガゼフさんを突き飛ばしたからガジュウは殴りかかっていったように見えた。


「ふん。そこのじじいが歯向かうから悪いのだ」
「そ、それはお主たちが村の女を差し出せと命令したからじゃろうがっ」
リエルに支えられたガゼフさんが悲痛な声を発した。


「お前たち庶民はオレたちによって生かされているんだ、当然の務めを果たせと言ったに過ぎん!」


『こいつらクズじゃん。殺しちゃお』
エクスカリバーが俺の頭の中に直接話しかけてくる。
お前はいつもそれだな。


「あなたたちがこんなことをしているのをベルーガ国王は知っているんですか?」
「知るわけあるまいこんなド田舎のことなど。それでなんだ? 国王に直訴でもするか? はっ、こんな辺ぴな村の住民の言うことなど国王の耳に届くわけあるまい」
「いや、別に直訴するつもりはありませんよ。ベルーガ国王の手をわずらわせるまでもない、俺があなたたちを処分します」
「……おい、聞いたかお前ら? このおっさんがオレたちを処分するんだとよ」
兵士長は後ろを振り返り部下の兵士たちに笑みを向けた。


「そりゃおっかねぇなぁ」
「処分ねぇ……オレたちを?」
「兵士長、こいつ殺してもいいすか?」
「ひゃははっ、面白れぇおっさんじゃないですか兵士長」
「はっはっは、ぜひ処分してもらおうじゃないか、なあみんぶべへぇっっ!?」


俺は隙だらけだった兵士長の横顔を殴り飛ばしてやった。


レベル150の鍛冶職人の本気パンチによって兵士長は村の外まで吹っ飛んだ。
「「「……っ!?」」」
兵士たちから笑みが消える。


「て、てめぇ!」
「やりやがったな、こらっ!」
「よくも兵士長を!」
ガジュウを取り押さえていた兵士たちも含め全員が剣を抜いた。


「死ねぇっ!」
斬りかかってくる兵士たち。
俺はその剣をかわしつつ兵士たちの顔面に拳を叩きこんでいく。


「ぶはぁっ!」
「ぐあっ!」
「ぶぉっ!」


次々と村の外に倒れている兵士長の周りに飛んで転がっていく兵士たち。


そして全員に拳をくらわせた後、
「エクスカリバー、力を借りるぞ」
俺はエクスカリバーを天高く振り上げた。


『えっアレ使うの? やっと殺す気になったのね』


俺は持ち手部分のボタンを押す。
金色の光が伸びて大きな剣の形を成す。


そして、


「エクスカリバー!」


俺は剣を振り下ろした。


ズズンッと光の剣が地面に激突してまばゆい光が地面をえぐる。


金色の光が消えても砂煙がまだ舞い上がっていて周りがよく見えない。


そしてだんだんと砂煙が落ち着いてきて初めて視界が開けた。




兵士長たちは無事だった。
だがそのすぐ十センチ横の地面には大きな割れ目が確認できないくらい深く遠くまで開いていた。


「「「ひ、ひぃぃぃっ!?」」」
底が見えない割れ目を目にして驚愕の表情を浮かべる兵士長と兵士たち。


俺はテレポートで彼らに近付くと、
「今日限りで兵士を辞めてください。そして真面目に生きてください。万が一あなたたちがまだ兵士をやっているのを見かけたら今度は容赦しませんから」
見下ろしながら言い捨てた。


「「「は、は、は、はいぃぃっ!」」」
兵士たちが悲鳴の混じった返事をして逃げ去っていく。
そんな中腰が抜けたのか兵士長は立ち上がることさえ出来ないでいた。




『なあんだ、つまんないの』
「何、俺が本当に殺すと思ったのか?」
『……さあね』


ぎゅるるるる~。


『今の音、何?』
「俺のお腹の音だ」


俺は空腹だったことを思い出すとガゼフさんたちのもとへと急ぐのだった。

「Sランクパーティーを追放された鍛冶職人、世界最強へと至る ~暇になったおっさんは気晴らしに作ったチート武器で無双する~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く