レベリング・マーダー ~一週間に一回人を殺さないと自分が死んでしまうのでそれならいっそ勧善懲悪したいと思います~
第20話 同盟
ドアを開けると細谷さんがぶすっとした表情で玄関前に立っていた。
「遅かったですね。てっきり来ないのかと」
時刻は夜八時半。
約束の時間を三十分も過ぎている。
「正直すごく悩んだわ」
罠だと疑っているのか細谷さんはじぃっと俺を見上げる。
「それで話ってなんなの?」
「まあ、とりあえず上がってください。話はそれからです」
手を部屋の中に向け促すと細谷さんは不承不承それに従った。
「適当に座ってくつろいでてくださいね、今紅茶でも淹れますから」
「くつろげるわけないでしょ、まったく」
ぼそっとつぶやきながらもコートを脱ぐとクッションに腰かける細谷さん。
ボディラインを強調するかのようなジーンズとピンク色のタイトなフリースが普段の細谷さんとはギャップがあって目を奪われそうになる。
俺は一人キッチンに向かうとお湯を沸かしながら棚の奥から未開封の紅茶のティーパックを取り出した。
三分後――
部屋の中央にあるテーブルの上に紅茶の入ったマグカップを置く。
「どうぞ」
すると細谷さんは自分の前に差し出された紅茶を指差し一言。
「……これ、毒とか入ってないでしょうね」
「入ってませんて」
やはりかなり警戒しているようだ。
「じゃあ一口飲んでみてよ」
「いや、俺紅茶はあまり好きじゃないんで」
「だったらなんで紅茶なんてあるのよ、変じゃない。やっぱり毒が入ってるんでしょっ」
「入ってませんよ。この紅茶はただの貰いものです」
女性はコーヒーより紅茶の方が好きなのかなとよかれと思って紅茶にしたのにここまで勘繰られるとは。
「悪いけどこれは遠慮するわ。鬼束くんのことそこまで信用してないもの」
「細谷さんがそれで安心するなら別にいいんですけどね」
言いながら俺は細谷さんを凝視する。
「……何よっ?」
「いや、細谷さんの印象が昨日からだいぶ変わったなぁと思って……」
「鬼束くんにはもう猫被る必要なくなったんだから当然でしょ」
「はぁ……」
清楚で上品な女性だと思っていたのはすべて演技だったということだろうか。
「それより話があるなら早くしてちょうだい。私このあとデートなんだから」
「え、細谷さん彼氏いたんですか?」
もう恋心はなくなったはずだが何故かちょっとだけショックを受ける俺。
「当たり前でしょ。私クラスのいい女がフリーでいるわけないじゃない」
「いい女って……」
自分で言うかね。
まあ今更どうでもいいけどさ。
女性を見る目のなさに多少辟易しつつも俺は話を切り出した。
「細谷さんは殺人者を感知する呪文が使えるんですよね。いつ使えるようになったんですか?」
「一か月前。初めて人を殺した時に覚えたわ」
誰を殺したのか興味はあるがそれはまたあとで訊くとして。
「それって具体的にはどうやって感知するんですか?」
「大体数百メートル以内に殺人者がいるとなんかこう悪寒が走るっていうか嫌な感じがするのよね」
自分の腕で体を抱きしめるようにして細谷さんが答える。
俺の悪人感知の呪文と似たようなものかな。
「これまでに何人くらいの殺人者を感知したんですか?」
「鬼束くんを除けば七人よ」
「七人!? そんなにっ」
このエリアに俺と細谷さん以外に七人も殺人者がいるっていうのか。
……これは予想外だ。
ますますこの人が必要になってくるな。
「では本題に入りますね……細谷さん、俺と同盟を結びませんか?」
「遅かったですね。てっきり来ないのかと」
時刻は夜八時半。
約束の時間を三十分も過ぎている。
「正直すごく悩んだわ」
罠だと疑っているのか細谷さんはじぃっと俺を見上げる。
「それで話ってなんなの?」
「まあ、とりあえず上がってください。話はそれからです」
手を部屋の中に向け促すと細谷さんは不承不承それに従った。
「適当に座ってくつろいでてくださいね、今紅茶でも淹れますから」
「くつろげるわけないでしょ、まったく」
ぼそっとつぶやきながらもコートを脱ぐとクッションに腰かける細谷さん。
ボディラインを強調するかのようなジーンズとピンク色のタイトなフリースが普段の細谷さんとはギャップがあって目を奪われそうになる。
俺は一人キッチンに向かうとお湯を沸かしながら棚の奥から未開封の紅茶のティーパックを取り出した。
三分後――
部屋の中央にあるテーブルの上に紅茶の入ったマグカップを置く。
「どうぞ」
すると細谷さんは自分の前に差し出された紅茶を指差し一言。
「……これ、毒とか入ってないでしょうね」
「入ってませんて」
やはりかなり警戒しているようだ。
「じゃあ一口飲んでみてよ」
「いや、俺紅茶はあまり好きじゃないんで」
「だったらなんで紅茶なんてあるのよ、変じゃない。やっぱり毒が入ってるんでしょっ」
「入ってませんよ。この紅茶はただの貰いものです」
女性はコーヒーより紅茶の方が好きなのかなとよかれと思って紅茶にしたのにここまで勘繰られるとは。
「悪いけどこれは遠慮するわ。鬼束くんのことそこまで信用してないもの」
「細谷さんがそれで安心するなら別にいいんですけどね」
言いながら俺は細谷さんを凝視する。
「……何よっ?」
「いや、細谷さんの印象が昨日からだいぶ変わったなぁと思って……」
「鬼束くんにはもう猫被る必要なくなったんだから当然でしょ」
「はぁ……」
清楚で上品な女性だと思っていたのはすべて演技だったということだろうか。
「それより話があるなら早くしてちょうだい。私このあとデートなんだから」
「え、細谷さん彼氏いたんですか?」
もう恋心はなくなったはずだが何故かちょっとだけショックを受ける俺。
「当たり前でしょ。私クラスのいい女がフリーでいるわけないじゃない」
「いい女って……」
自分で言うかね。
まあ今更どうでもいいけどさ。
女性を見る目のなさに多少辟易しつつも俺は話を切り出した。
「細谷さんは殺人者を感知する呪文が使えるんですよね。いつ使えるようになったんですか?」
「一か月前。初めて人を殺した時に覚えたわ」
誰を殺したのか興味はあるがそれはまたあとで訊くとして。
「それって具体的にはどうやって感知するんですか?」
「大体数百メートル以内に殺人者がいるとなんかこう悪寒が走るっていうか嫌な感じがするのよね」
自分の腕で体を抱きしめるようにして細谷さんが答える。
俺の悪人感知の呪文と似たようなものかな。
「これまでに何人くらいの殺人者を感知したんですか?」
「鬼束くんを除けば七人よ」
「七人!? そんなにっ」
このエリアに俺と細谷さん以外に七人も殺人者がいるっていうのか。
……これは予想外だ。
ますますこの人が必要になってくるな。
「では本題に入りますね……細谷さん、俺と同盟を結びませんか?」
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