俺【死神】になりました ~喧嘩もしたことない俺の、選べる職業が【死神】だった!?~

伝説の孫の手

第64話 戦闘終結

 朧台駅大規模戦闘が終息し、あたり一面には亡骸となったスケルトンたちの残骸である骨が散らばっているという見方によれば、かなりショッキングな情景が広がっている。

 さすがに初めからノンステップで動きつづけていた俺も、後半になったら体力が切れてきており、何度か格下のスケルトン相手に攻撃をもらってしまうという失態を冒してしまった。

 そのせいで体にはいくつかの擦り傷が浮かんでいるが、特に問題はない程度だ。

 全体を通しても幸い死人は出なかった。徹底して集団での戦闘を意識したことが良かったらしく、重傷を負ったものはいた様なのだが、すぐさま後方に避難し、配布してあったポーションを使用することで何とか一命をとどめた様だ。

 しっかりとした安全マージンを取っておくことで、このような戦いでも死人を出さなかったというのはいい経験になったと思う。

 この戦いでよかった点は、このような経験を得れたこともそうなのだが、やはり戦闘員のレベルアップにつながったということが一番だと思う。

 ここまで大規模な戦闘を経験したことにより、参加したものすべてがレベルアップをしたようで、中には一気に複数レベルアップをしたものまで存在する。

 戦闘力の底上げは【KUROGAMI】ギルドにとってプラスでしかなく、本人は勿論のこと、非戦闘員の生存率を高める。

 また、この戦闘で多くのポイントを手に入れることができたのもよかった点だ。

 抱えている人数の多いうちのギルドは、今のところただ物資を切り崩している状態だ。

 ここに戦闘で得ることできたポイントが加わることで、少しでも今の状態を長く維持できるようになり、ひいてはこの状況下での運営を可能にする猶予が生まれる。

 結果として、大きい障害を排除できた今回の戦闘は、大成功といって良いものになっ思われる。

 今回多くの魔物を殲滅し、叔父さんと勝負もしていた俺は、今回の戦闘でしっかりと大量の経験値を獲得し、レベルアップをしている。

 いまの俺のステータスはこちらだ。
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 名前:黒神(くろがみ) 色人(しきと)
 種族:人族
所属ギルド:【KUROGAMI】/役職:サブリーダー
 職業:死神
 ジョブレベル:13
 必要経験値:1031/1400
 【ステータス】
 M  P:10+10×0.9×13+(10×0.1×17)=98/144
 攻撃力:8+8×1.2×13+(8×0.4×17) =187
 耐久力:8+8×0.5×13+(8×0×17)  =60
 速 度:13+13×1.2×13+(13×0.4×17)=298
 知 力:10+10×0.8×13+(10×0.1×17)=131
 【所持スキル】
 暗殺術 レベル 4 【属性付与(毒)1MP】【切れ味強化 1MP】【無詠唱 1MP/m】【無音 1MP/30s】
 鑑定 レベル 4 【物品鑑定 1MP】【魔物鑑定 1MP】【人物鑑定 1MP】【目利き】
 鎌術 レベル 3 【スラッシュ 4MP】【切れ味強化 1MP】【属性付与(無)2MP】
 【所持SP】
892,720P
 【装備品】
 死神の短剣 レベル 17 【形態変化《フォルムチェンジ》 短剣・鎌
 【その他】
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 叔父さんと勝負もあるので、今回倒した魔物の数をステータスボードのポイント付与のタイムログを確認すると、スケルトン×119、スケルトソードマン×13、スケルトシャーマン×5、スケルトアーチャー×3、アッシュスケルトン×1で、合計141体だった。

 叔父さんの倒した数はわからないが、速度に物をいわせて乱獲したので勝てたと思っている。

 またレベルアップによってステータスが強化されたのだが、それよりもスキルがレベルアップしていくつか新しいアビリティを使用できるようになった。

 まず鎌術がレベル3になり新しい【属性付与(無)】のアビリティが使用できるようになった。

 これはどういうものかというと、鎌に無属性の魔力を持たせるもののようで、これにより魔法攻撃を行うことができるようになったということだ。

 そうすると、先ほどのアッシュスケルトン戦での魔術などもゆくゆくは切る割くことが可能になったり、今は出会ったことがないが物理攻撃のきかない魔物などに対する攻撃手段として使うことができるようになる。

 これで戦いの幅が広がった。

 また鑑定のレベルが4に上がり【目利き】のアビリティを使用することができるようになった。

 これをステータスボードで見たときは、文字が間違えているのではないかと疑った。なぜなら使用に必要なMPが記載されていなかったからだ。

 しかし説明などを見ると、間違いではないことがわかった。

 説明によると、この【目利き】というアビリティは、いわゆるパッシブアビリティであり、MPを使用せずにこのスキルがある限り永久的に効果を発揮しているもののようだ。

 内容は補助的なものになるが、多くの物の中から自分の探しているものが見つけやすくなったり、視界の中の違和感などに敏感になるという効果の様だ。

 パッシブということで、MPを使用しないで効果を発揮してくれるのはとても助かるのだが、その代わり効果はそこまで劇的なものではないということのようだ。

 しかし、何もしなくてもプラスな効果を発揮するパッシブアビリティの存在は、長い目で見たらかなり使えるのではないか、そう考えると今後覚えるアビリティの種類にも注目していく必要がある。

 と、今回のレベルアップでの収穫はこんなものだが、俺が今一番気になっているのは叔父さんの倒した魔物の数だ。

 急遽決まった勝負だったが、やるからには負けたくないという気持ちが強いし、勝ったら負けた方に何でも一つ願い事をしていい権利を得るというアバウトなものだが、これはもらうと嬉しいが、負けたときはかなりうざい内容だ。

 考えれば考えるほど負けたくない。

 そう思い結果を聞くべく戦後の処理を今まさに指揮している場所へと向かう。

 そこには各隊長の二人と叔父さん、そして清水さんが今回の戦闘の振り返りと、現場の指揮を行っていた。

「おお色人!今回はご苦労だった。お前もかなり活躍したって聞いてるぞ」

 そう開口一番、俺に気づいて叔父さんが声をかけてきた。

「そうだね、今回は結構頑張ったかも。勝負のこともあったけど、レベルアップ後の体を確かめるためにも全力で戦っていたからね、武器も強化されていることもあってかなり動けたから、単純に楽しかった部分もあるし」

 そう答えると叔父さんは、うれしそうに笑いながら、

「そうか、それはよかった。今回思ったより敵の数が多くて殲滅に時間がかかったからな、お前がいてくれて助かったよ」

 といい、俺の頭をくしゃくしゃにしてくる。この年になってそんなことをされるのは少し気恥しいが、戦闘後の興奮も相まって受け入れられた。

 そして魔物たちの復活現象と、新しい魔物のアイテムを説明しようと思い、簡易アイテムボックスから死霊石を取り出しながら、

「このアイテムで連中のボス的な魔物が、ずっとスケルトンたちを復活させていたからね。実際の数より戦った魔物の数は多いと思うよ」

 そういうと、皆驚いた表情をして、どういうことなのか説明を求められたので、アッシュスケルトンのことや、魔物の復活を見抜いたことなどを説明した。

 そうすると、そんなことがあったのかと皆驚いており、あの清水さんでさえ驚いていたのはとても印象的だった。

「じゃああれだな、今回のMVPは文句なしで色人だな、こんだけ暴れまわりながらもそんなことまでしていたなんて」

 という叔父さんの言葉に、その場みんなが賛成してくれた。とても嬉しかったがまだ一つ気になることがある。

「ありがとで素直にうれしいよ、でももう一つ気になっていることがあるんだけど……叔父さん勝負の結果はどうなった?」

 そういう俺に、叔父さんはいつものいたずら小僧のような表情で、

「お、もうその結果発表と行くか!いいだろう。俺の倒した魔物の合計は139体だ!どうだ結構倒したと思うんだが?」

 そういう叔父さんの表情は勝ち誇っており、もうすでに勝ったつもりでいるようだ。しかし、

「139体か……ふふっ、叔父さん今回は俺の価値みたいだ。今回の俺の倒した魔物の数は、全部でなんと141体です!」

 そういいながら、親指を立てながら勝ち誇ってやった。そうすると叔父さんは悔しそうに、

「なっ、嘘だろ! 絶対勝ったと思ったのに!」

 といいながら頭を抱えて悶絶している。そんな叔父さんを横目に清水さんが、

「何を競い合っているのか、一人でそれだけの数を倒しているのは十分驚異的ですよ。お二人とも人間やめましたね」

 そういって、疲れた様にため息を吐いている。

 隊長二人もそれぞれ同意しながらため息を吐いているが、そんなみんなの表情は生き残ったことを噛みしめるように晴れやかなものだった。

「何お願いしようかな、今のうちに考えとくと叔父さん」

「ぐぬぬぬ、せっかく色人をこき使ってやるつもりだったのに……」

 そう言って、楽しそうに笑いあっている俺たちは、まだ知らない。

 この大規模戦闘とは別の場所で、ある出来事が起こっていたことを……
 

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