俺【死神】になりました ~喧嘩もしたことない俺の、選べる職業が【死神】だった!?~

伝説の孫の手

第40話 ユニークスキル

 「取り合えず、俺の方の話をすると、屋敷のみんなと協力して、屋敷の要塞化をしていたよ。それに屋敷のある山の裏手に魔界があって、山頂にはダンジョンがあったから、俺は基本的にはそこの攻略をしていたね。」

 そう説明すると、皆よくわからないような顔をしていた。

 そんな中、父さんが、

「その魔界ってはあの突如現れた不気味な土地のことか?」

 と聞いてきた。なるほど、魔界などは俺が鑑定を持っているからわかった情報だった。なので俺は鑑定で得た情報をみんなに話したところ。皆一様に驚いたような様子で、納得してくれた。

「じゃあ、そのダンジョンってのを攻略しないと魔界ってのが広がってくるということか?」

 そう父さんに尋ねられたので、うなずくことで返事を返す。そうすると、

「ということは探索班が見つけたという時空の裂け目の正体は、ダンジョンということだったのか。ならば私たちも攻略に向けて動かないといけないな。
 また魔界というものが広がってくる可能性があるというのも問題だ、これらも共有する必要があるな、あとで色人も会議に参加して、私たちの知らない情報を共有してくれ。」

 といわれた、なので「わかったよ」と返事をして、次に進む。

「ダンジョンに関しては詳しくは後で話すとして、屋敷の安全性に関してなんだけど。発電機も井戸もあることから、かなり生きていくには適していたね。
 それにある程度の土地もあるし、作物も育てることができるから、それも視野にいれて準備を進めていたよ。
 魔物も周りに出てくるのはゴブリン種のみなんだけど、そこまで強くないからかなり安全だと思う。ネックとしては近くに魔界が存在するということだね。」

 そこまで話すとおじさんが、

「そうなるとそこまで人数は入らないが、屋敷の方がここより安全だったのかもしれないな。
 ここは人が集まっていたことが原因なのか、何回か魔物の襲撃にあっている。
 ここに出てくるのは、ゾンビやスケルトンといった西洋のお化けみたいな奴らばっかなんだけど、たまに空から鳥型の魔物なんかもやってくるから、警備には気が抜けないんだ。」

 そういって、こちらも大変だったんだなということを感じさせる疲れた表情をしていた。

 おじさんの話では、今はバリケードの中に魔物はいないが、それを駆除するのもかなり大変だったということだ。それにいまだに魔界の方から魔物がやってきており、統治範囲に対して人員が少ないこともあってかなり警備は大変なようだ。

 ほかのところに避難している人たちも戦っているのだろうが、そことの連携もいまだ不十分で、現在交渉中のところもいくつかあるとのこと。

 そんな中、屋敷にあるものをポイントに変換したことを思い出した。

「そういえば、もう爺から聞いているかもしれないけど、いくつか屋敷内の物をポイントに変換しちゃった。事後報告になるけど大丈夫だよね?」

 そういうと、父さんは、

「何の問題もない、それに俺もここのみんなを食べさすためにあるものは一旦、ほとんどポイントに変換した。銀行にあるお金もすべて一旦ポイントに変換してしまったから。傘下の銀行は今一円も置いてない状態だぞ。」

 といってきた、緊急事態だからといって思い切ったことするなと思ったが、元はといえばうちの資本だし、なんとかなるのだろう。

「確かに、お金なら人の物でも自分の物のようにポイントに変換できるシステムだった時、銀行強盗してポイントを稼ぐ輩も出てくるかと思ったけど、まさかうちの親がやっているとは…。」

 そういって冗談を飛ばしたら、

「おいおい、人聞きの悪いこと言わないでくれよ。人命救助のためだし、元はといえばうちの系列の銀行だけだ。個人のために使うわけではないのだし、大目に見てくれるだろう。
 もちろん治安が安定したら、しっかりと返済するしな。国って枠組みのいいところは活用させてくれ。」

 とちょっとグレーな発言を返してきて、なんだか空気が和やかになってきた。いつまでも緊張していても意味がないのだし、少し肩の力を抜こう。

 そうして和やかなムードが漂いだしたとき、おもむろに父さんが話し出した。

「まあお前も大変だったろうが、これからもっと大変になるんだから頼りにしてるぞ。当面は屋敷は飛び地のような扱いになるだろうが、しっかりとまとめてくれ。
 こちらとしてもまずはこちら側の統治範囲を広げることを目標として。いろいろやっていくつもりだ。それはおいおい話すとして、お前におもしろいものを見せてやろう。」

 そういって俺の目をじっと見つめたかと思うと、

「(色人、聞こえるか?)」

 と頭の中に声が響いた。これはフレンドの機能の通話かと思うと、

「(いや通話ではない)」

 と声に出していないのに返事が返ってきた!そのことに驚き、

「どういうこと!?」

 と尋ねると、父さんはいたずらが成功した子供のような顔で、

「これは俺のユニークスキル【精神の橋スピリットアーチ】だ」

 と答えてきた、ユニークスキルとは何だろう?そう疑問に思った時にはすでに返事が返ってきた。

「ユニークスキルってのレベルが30を超えると発現する、その人固有のスキルのことだ。俺は最初商人の職業についたのだが、その後多くのポイントをやり取りしたことによって急激に経験値がたまり、かなり早い段階でこのユニークスキルが発現した。
 これは後になって質問訪ねた所、どんな職業の人でもレベルが30に到達すると現れるようだ。このユニークスキルの特徴はレベル表記がなく、完全に使いこなせるかにかかっており。
 普通のスキルのように決まったアビリティしかできないのではなく、いろいろと応用の利くところだ。」

 まさか、レベル30でユニークスキルなるものが手に入るとは、かなりの驚きだったが父さんの話は続く。

「質問によると、そもそもがスキルとはこのユニークスキルを誰でも使えるように改造したもののようで。
 ユニークスキルがもともとの性能だとすると、スキルはその一部分しかできないような感覚だ。それにユニークスキルはMPを使用しない。
 もっと別の何かを使うようで、使いすぎるととても疲れる。ユニークスキルは自分の体そのもので、スキルやMPが外付けのハードディスクみたいな感覚だ。」

 なるほど、スキルやMPを使用しても何かが抜けていく感覚さえあるが、身体的疲労なんかはなかったが、ユニークスキルは異なるらしい。

 新情報が続々出てきて、驚きの連続だが、何とか飲み込めた。

「そうなると、今後誰にでもユニークスキルは発現するってこと?」

 そう聞くと、

「そうだな、現状まだ俺しか30を超えているものはいないけど、今後は出てくるはずだ。」

 と答えてくれた。そうなると、今後はそのユニークスキルというものも使いこなす必要が出てくるというわけか。まあ俺は職業が特殊でレベル30は相当先だろうが…。

 そうすると、父さんは自らのステータスを見せてくれた。

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 名前:黒神 明人くろがみ あきと
 種族:人族
 所属ギルド:【KUROGAMI】/役職:ギルドマスター
 職業:経営者
 ジョブレベル:37
 必要経験値:4427/6500
 【ステータス】
 M  P:10+10×0.4×37=158/158
 攻撃力:10+10×0×37 =10
 耐久力:7+7×0×37 =7
 速 度:6+6×0×37)=6
 知 力:15+15×0.8×37=4,455
 【所持スキル】
 計算 レベル 3 【暗算 1MP】【数値記憶 1MP】【並列思考 1MP】
 収納 レベル 2 【小型アイテムボックス 1MP】【圧縮/解放 1MP】
 鑑定 レベル 1 【物品鑑定 1MP】
 【ユニークスキル】
 精神の橋スピリットアーチ
 【所持SP】
5,458,642,513P
 【装備品】
 なし
 【その他】
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 確かに、ステータスの欄にユニークスキルが追加されている。所持spの値もかなり莫大だが、正直今の状態でここのみんなを賄うのに対して、どこまで大きいのか判断できない。

 新たに判明したユニークスキルスキルの存在、そして現在の世界の状況。まだまだ飲み込むのに時間はかかりそうだが、ゆっくりと理解していこう。

 そうしてある程度情報共有が終わったので、父さんたちはやることがあるのでいったん解散になった。なので夜に行われる会議に参加するまで時間ができてしまったので、その時間母さんと清水さんがここを案内してくれるらしい。

 お言葉に甘えて、取り敢えず夜までの間、実際に目で見て回ろうと思う。




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