俺【死神】になりました ~喧嘩もしたことない俺の、選べる職業が【死神】だった!?~

伝説の孫の手

第16話 二日目の朝と今後の方針

 朝日が部屋の窓のカーテンの隙間から差し込み、まぶしさに目を覚ました。

 まだまどろむ頭で、ここがどこかを確認すると、自室のベットの上だということがわかる。

 服装はボロボロで、寝間着でもない。そこで昨日の出来事と疲れてそのまま寝てしまったことを思いだした。

 思いっきり背筋を伸ばし、体が伸びるのを感じる。その心地よさからこのまま待て寝てしまいたい衝動に駆られるが、体中が汗と泥でべたべただ、さすがにこのまま寝ることなどできないし。こんなに汚れたベットを見たのは初めてだ。

 これを掃除してくれる人に申し訳ないと感じつつ、ぼーっと外お眺めていると、部屋の扉がノックされ。

「坊ちゃま、おはようございます」

 と鈴木さんの声が聞こえてきたので、

「起きてるから、入っていいよ」

 と告げると、中に入ってきて、

「お風呂の準備が整っております、まずは汗を流し、服を着替えてはどうかと」

 と言われた、その誘いにありがたく乗り、まずは風呂に入るとする。

 お風呂で体中の汚れを落としさっぱりすると、外に用意されていた着替えに着替えて、出ると。鈴木さんがいて。

「朝食の準備ができております」

 というので朝食にするとする。

 この一連の流れは今までの世界が変わる前から行っており、そのことが世界が変わってもみんながいるという安心感を俺に与えてくれる。

 大広間で屋敷のみんなと一緒に食事をとる。うちの家系はそこまで厳しくなかったので、使用人と一緒に食事を取ることもなくはなかったが、こういうのは久しぶりだな。ましてや屋敷の人は基本的に俺の後に食事をとることが多かったので全員一緒なんかは初めてだ。

 そんなことに少しうれしく思いながら、朝食を食べるとする。

 今日の食事は、焼き立てのロールパンに、ベーコンエッグ、サラダといった具合だ。飲み物は牛乳でいつもと変わらなくとてもおいしかった。

 こんなにしっかりしたものを食べて大丈夫なのかと思ったが、あとで聞いたら慎太郎さんが調理師になったことによって、今までより比較的安く食材を交換できるようになったようで、今回は少し奮発しているが、この程度なら何とかなるようだ。

 みんなで和気あいあいと、朝食を済ませて。食後のティータイムに入ったところでみんなが静かになったので、朝のミーティングを始める。

「みんな改めておはよう、二日目になったが、これからのことについて本格的に話し合っていこうと思っている。まずは昨日俺が休んだ後のことを聞きたい」

 そういうと、俺の疑問には爺が答えてくれた。

「それでしたら私が説明いたしましょう。あの後ケビンのけがを南さんがみている間に、警備員のみんなと男性陣でシフトを組み、交代制で屋敷の周りを見回りました。
 電気を消した効果なのか、結果として朝になるまで何も現れませんでした。今後の方針としては夜は外に明かりが漏れないところ以外での電気は控えるようにして、また見張りも基本的に24時間体制で行った方がいいでしょう。今は一ノ瀬と加藤が警備にあたっています。」

 そういわれると確かに二人の姿が見えない。爺の言うとおり、魔物はいつ現れるかわからないし、この屋敷は山の中腹に存在するので、周りは森に囲まれているのだ。昨日は日の出ているうちに襲われることはなかったが、まだ魔物が夜行性であるとは決まっていないので、昼間も警備する必要があるだろう。

「なるほど、今後は警備体制も強化する必要があるな。その辺の指揮はケビン、任せる。」

「了解」

 警備についてはケビンに一任、屋敷の中については鈴木さんに一任でいいだろう。もともと今までもそうだったのでこれについてはみんな異論はないだろう。そして爺に関して言えば警備、屋敷内その二つの橋渡しをしてもらい、基本的には俺を含めてケビン、爺、鈴木さんの4人で話し合った内容で進めていくのが組織として最も効率がいいだろう。

 まずはせっかくほとんどの人が集まっているのだから、全体の動きに関して話していこう。

「まずは昨晩の襲撃に関して話したいと思う。正直魔物の脅威は思ったよりも大きい。あれに対抗するにはみんなのレベルアップなどが必要不可欠だと思う。
 昨日の敵は名前をゴブリンといい、おそらく魔物の中では最弱クラスだ。だけど戦闘職でもレベル0では正直厳しいと思う、複数人でだと対抗できるが奴らも群で行動しているので難しい。
 でも朗報なのだがレベルが上がったり、スキルのアビリティをつかうことができたら、一対一でも比較的安全に勝つことができる。
 なので戦闘職の人はまずレベル上げを最優先にしてほしい。できればレベル1以上が最低ラインだ。」

 魔物との戦いに備えて戦闘員の強化は絶対しなくてはいけない、しかも魔物などを殺さないと経験値を得れない俺と違って、ほかの戦闘職は鍛錬をするだけでも経験値を得ることだ可能なのだから、まずはレベルの高い人中心に、みんなの安全マージンを高めなくてはいけないだろう。

 「次に昨日魔物と戦ってみて、魔物を倒すことや、魔物の死体を換金することでspを得ることができた。
 昨日の戦闘で得ることができたのは全部で264p、結構な戦闘だったから割に合うかどうかわからないが、これだけでも最低限食事は何とかなるだろう。
 しかしまだまだ足りないので他にも稼ぐ方法を模索するか、もっと魔物を狩る必要があると思う。」

 spの供給不足はまだまだ深刻だ、じきに解決するとは思うがまだ足りないな。

 個人的には今の現状、俺は雇い主なのだから、しっかりと雇用条件を踏まえたうえで再契約する必要があると思っている。支払方法はspでいろいろな労働条件などの見直しをするのが当たり前だ。

 緊急時とはいえいつまでもただ働きを敷いているような状況は不健全だ。ポーションの配布はそれを見越してのことだったりする。

「魔物を狩るんだったら、この屋敷の周りを調査しないといけないと思っていたのでそこで何とかなるでしょう。この屋敷の安全の確保のためにも、奴らを間引くことができたらいいでしょうし」

 そういったのはケビンだ、俺もケビンも奴らの恐ろしさを身をもって体感しているので警戒度が違う。正直ホブゴブリンは俺かケビン以外が出会っていたら命はなかっただろう。

「そうだな、まずは警備班と調査班に分かれて魔物の警戒に当たろう。そこの人員の選定と、戦闘職の訓練を任せたい。もちろん俺も参加する。」

「わかりました」 

 とりあえず戦闘員に対してはこれでいいだろう。次は非戦闘員だ。

「鈴木さん、非戦闘員なんだけど、屋敷内のインフラ整備と、家事全般を頼んでもいいかな、そしてできれば率先してレベル上げも行ってほしい。非戦闘職もレベルがあるということは、直接戦闘に関与しなくても間接的に助けになるような場面が必ず来ると思う。よろしくお願いします。」

「かしこまりました」

 これでとりあえずは屋敷内のみんなに仕事を割り当てることができた、いやまだ魔法職の三人が残っていたな。

「最後に魔術士、治癒士の魔法系ジョブについた3人なんだけど、基本的には戦闘班ってくくりでいてほしい。
 おそらく魔術士の人は攻撃系の魔術が、治癒士の人は回復系の魔術が使えるようになるのだと思う。
 正直まだ未知数で、どれほど使えるのかわからないけど、スキルの強力さを知っている身としては是非役立ててほしい。
 回復担当はやはり戦闘員に対して必須なのでその辺のサポートもお願いしたい」

 そういうとみんな納得してくれたのでとりあえずは今後の方針を立てることができた。そして最後に昨日の段階から考えていたことを言おうと思う。

「これでみんなの動き方があらかた決まったと思うけど、最後に一つだけ。今現状俺たちは屋敷の中だけで取り残されていて、外部の情報が全くない。
 正直外の世界がどうなっているか想像するだけならできるが、今はまだ何とも言えない。
 とりあえずは生きていくことができるように作戦を立てたが、もしかしたら外の世界はまだ普通に人々が生活しているかもしれない。
 しかし一番考えられるのが緊急事態でみな生きるので精いっぱい、その上魔物が表れて地獄絵図かもしれない。一番最悪なのが政府が全く動いておらず。生き残るために人間同士での争いも起こっていることだ。
 そこで外部の情報を得るために人を派遣したいと思っている。その役には爺が適任だと思っている。爺は護身術も使えるしある程度の脅威なら生き残ってくれると思っている。
 もちろん自分の命を最優先にしてもらいたいが、外部に出て出来れば父たちと連絡を取ってほしい。どうだろうか?」

 正直爺ならやってくれると思うが、どうだろうか…そうすると爺は全く問題がないといった表情で、

「かしこまりました、爺にお任せください」

 といってくれた。この計画はフレンドという機能を見つけてからずっと考えていたのだが、これを成功させることによって、今後の方針を決めることができるし、もしかしたら困っている誰かを助けることができるかもしれない。


 それにあいつが今無事なのかも気になるしな。

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