【第一巻 完結】一閃断空のバーサーカーナイト
第5話 避難所シェルター
「重症一名」
シェルターについたラスターは、待機している避難所リーダーに状態を告げると、相手はテキパキと行動を始める。
「大丈夫ですか? 今こちらで預かりますね」
言うが早いか、何人か集まって――全員女性なのはルーナに対する配慮であろう。
彼女達はラスターの肩からルーナを取り上げる。
「ふぇ!? なに? なに?」
ふにゃふにゃと寝ぼけていたルーナは、突然の拉致行為に目を覚まして飛び上がる。
「お怪我は大丈夫ですか?」
「怪我?」
なんのことかわからないルーナは不思議そうに聞く。
「重症患者はこっちだ」
担いでいた少女ではなく、引き摺っていた男を差し出す。
「えっ……は、早くタンカーを」
棺桶に片腕を突っ込んだ血塗れの男に、職員は大慌てでタンカーを呼ぶ。
「どう言うことですか!」
「まぁ、なんかかんやあって腕を取ったんだよ」
「なんやかんやって、なんです!?」
驚いて相手が聞き返すが、ラスターは住民カードを読み込み機へ触れさせると中へと入っていく。
「えっと……」
訳の分からない受付の女子はルーナへと目を向ける。
「ふぇ……うーん、その……かくかくしかじかです!」
力強く説明すると、ルーナもラスターを追って中に入っていく。
「あの……説明を」
「紆余曲折あったのですよ」
言うが早いかミレアは説明を放棄すると、前の二人と同じく住民カードを取り出してから入っていく。
「あのー」
助けを求めるように見る職員にユリウスも悩む。
「えっと……色々あったんですよ」
前に続くユリウスも、説明は一切せずに入っていく――どう説明すればいいのかよくわからないのと、あまり関わりたくないと言った本音がある。
避難所には少なからず人が集まっており、最初にやるのは自分達の居場所の確保である。
シートを敷き、四人のスペースを早々に確保する。
「ワームビーストの騒ぎなんて、大丈夫かな?」
事前に分かっていれば、時間を潰す道具を用意するものだが、今回のように緊急だとやることがすぐに無くなり、暇になったルーナが心配そうにぼやく。
未だ避難警報の途中であるため、ボランティア精神が豊富でなければ、避難所でやれることもやるべき事もあまりない。
「シェルター内だし、へいきへいき」
「お前なぁ……」
シートの上でダラダラするぐらいしかないラスターはスマホを見ながら楽観的に答えると、ユリウスは呆れるように言う。
「それよかリンゴどうするよ」
しても意味のない心配など、するつもりのないラスターは潰れた予定の……リンゴの行く末の方がよっぽど重要である。
「それよかって……そうだな――」
流石にそこまで割り切れないユリウスだが、実際問題手の出しようがない。
「ユリウスくん、何個持ってきたの?」
「二〇個ぐらい」
ミレアに聞かれて、ユリウスが答える。
「それ、今日の晩飯に使っても消費しきれないだろ……」
絶対食べなきゃダメならラスター一人でも出来なくないが、普通に食べたのでは四人いても厳しい量である。
「別に今日中に食べ切るつもりもなかったからなぁ……」
半分ほど残して、残りは冷蔵庫に入れるつもりだったユリウスも困った顔をする。
「私、とりあえず手伝いの方をしてくるね。このリンゴは使わせてもらうわ」
避難所での快適な生活のためには、ボランティアによって融通を利かせてもらうことが大事だったりする。
その上、ミレアはこの手の交渉に強いので、リンゴを通貨に色々勝ち取ってきてくれるだろう。
「頑張れ~」「がんば~」
ミレアと違ってボランティア精神が死滅しているラスターとルーナは、シートの上でぐうたらとしながら雑な応援をする。
「……ユリウスくん、ちゃんと宿題させといて上げてね」
「はっ!?」「へっ!?」
「了解!」
驚くラスター達を無視して、ミレアはボランティアへと参加しに行く。
「この状況で宿題だと……」
「嘘でしょ……」
「そもそも、その予定でしょ……」
「この状況でやることは想定してねーよ」
リンゴの食べ尽くしを目的とした晩飯後に、宿題をする予定は立てていたが、避難所でする事になるとは思ってもいない。
全く集中ができるはずもない中、ユリウスの指導の元、二人はなんとか答えを埋めていくのであった。
シェルターについたラスターは、待機している避難所リーダーに状態を告げると、相手はテキパキと行動を始める。
「大丈夫ですか? 今こちらで預かりますね」
言うが早いか、何人か集まって――全員女性なのはルーナに対する配慮であろう。
彼女達はラスターの肩からルーナを取り上げる。
「ふぇ!? なに? なに?」
ふにゃふにゃと寝ぼけていたルーナは、突然の拉致行為に目を覚まして飛び上がる。
「お怪我は大丈夫ですか?」
「怪我?」
なんのことかわからないルーナは不思議そうに聞く。
「重症患者はこっちだ」
担いでいた少女ではなく、引き摺っていた男を差し出す。
「えっ……は、早くタンカーを」
棺桶に片腕を突っ込んだ血塗れの男に、職員は大慌てでタンカーを呼ぶ。
「どう言うことですか!」
「まぁ、なんかかんやあって腕を取ったんだよ」
「なんやかんやって、なんです!?」
驚いて相手が聞き返すが、ラスターは住民カードを読み込み機へ触れさせると中へと入っていく。
「えっと……」
訳の分からない受付の女子はルーナへと目を向ける。
「ふぇ……うーん、その……かくかくしかじかです!」
力強く説明すると、ルーナもラスターを追って中に入っていく。
「あの……説明を」
「紆余曲折あったのですよ」
言うが早いかミレアは説明を放棄すると、前の二人と同じく住民カードを取り出してから入っていく。
「あのー」
助けを求めるように見る職員にユリウスも悩む。
「えっと……色々あったんですよ」
前に続くユリウスも、説明は一切せずに入っていく――どう説明すればいいのかよくわからないのと、あまり関わりたくないと言った本音がある。
避難所には少なからず人が集まっており、最初にやるのは自分達の居場所の確保である。
シートを敷き、四人のスペースを早々に確保する。
「ワームビーストの騒ぎなんて、大丈夫かな?」
事前に分かっていれば、時間を潰す道具を用意するものだが、今回のように緊急だとやることがすぐに無くなり、暇になったルーナが心配そうにぼやく。
未だ避難警報の途中であるため、ボランティア精神が豊富でなければ、避難所でやれることもやるべき事もあまりない。
「シェルター内だし、へいきへいき」
「お前なぁ……」
シートの上でダラダラするぐらいしかないラスターはスマホを見ながら楽観的に答えると、ユリウスは呆れるように言う。
「それよかリンゴどうするよ」
しても意味のない心配など、するつもりのないラスターは潰れた予定の……リンゴの行く末の方がよっぽど重要である。
「それよかって……そうだな――」
流石にそこまで割り切れないユリウスだが、実際問題手の出しようがない。
「ユリウスくん、何個持ってきたの?」
「二〇個ぐらい」
ミレアに聞かれて、ユリウスが答える。
「それ、今日の晩飯に使っても消費しきれないだろ……」
絶対食べなきゃダメならラスター一人でも出来なくないが、普通に食べたのでは四人いても厳しい量である。
「別に今日中に食べ切るつもりもなかったからなぁ……」
半分ほど残して、残りは冷蔵庫に入れるつもりだったユリウスも困った顔をする。
「私、とりあえず手伝いの方をしてくるね。このリンゴは使わせてもらうわ」
避難所での快適な生活のためには、ボランティアによって融通を利かせてもらうことが大事だったりする。
その上、ミレアはこの手の交渉に強いので、リンゴを通貨に色々勝ち取ってきてくれるだろう。
「頑張れ~」「がんば~」
ミレアと違ってボランティア精神が死滅しているラスターとルーナは、シートの上でぐうたらとしながら雑な応援をする。
「……ユリウスくん、ちゃんと宿題させといて上げてね」
「はっ!?」「へっ!?」
「了解!」
驚くラスター達を無視して、ミレアはボランティアへと参加しに行く。
「この状況で宿題だと……」
「嘘でしょ……」
「そもそも、その予定でしょ……」
「この状況でやることは想定してねーよ」
リンゴの食べ尽くしを目的とした晩飯後に、宿題をする予定は立てていたが、避難所でする事になるとは思ってもいない。
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