家事代行に来てくれるお兄さんがカッコよくて辛い

スマイレン

6話

 ずっと大人びて見えていた表情が急に変わって、
くしゃっとした笑顔が真夜に向けらた。
その顔にきゅんとして真夜はまた呆然としてしまいそうになったが、
気を取り直して大人の対応をした。
「すみません、迷惑じゃなかったですか?」
「そんな、とんでもない!
沢山もらってしまって、食べきれなかった分を、
友人……にあげたらすごく喜んでくれました。
お母さんによろしく言っておいてください」
"友人"の後に不自然な沈黙があったのが気になったが、
真夜は言及しないことにした。

 のちに会話は掃除機の轟音に吸収されていった。
真夜の家の掃除機は実家から持ってきたもので、
音がうるさいだけでなく、
何年も使い古したために機能さえ衰えヨボヨボになっている。
寿命が尽きるまでは捨てないつもりであったが、
折原と働く掃除機が不釣り合いこの上なく、
申し訳なく思った真夜はいよいよ買い替えを検討しはじめた。
お試し感覚で折原を呼んだことも忘れ、
真夜は既に次の予約をいつにしようか考えていた。

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