家事代行に来てくれるお兄さんがカッコよくて辛い

スマイレン

4話

 折原が埃をはたいている間、真夜は邪魔にならないようにベッドの上に避難した。
 本当は用事があるとか言って外出するのが1番邪魔にならないのだが、折原に了承をもらいここに居させてもらうことにした。

 本棚から取り出した少女漫画を読みつつ、ページの上部から目だけをのぞかせて折原の横顔をこっそり観察する。
 長いまつげと、ラインのまっすぐな形のいい鼻。
 柔らかそうな黒髪は透き通る肌によく似合っていた。
 自分の生きている世界線に、こんなにかっこいい人がいたとは。
 しかも自分と同じ空間にいて、モデルとかホストじゃなく、家政夫??なんでまた…

 真夜が漫画を読むふりをして一人問答していると、どうかしました?という声がした。
 驚いてほぼ反射的に何でもないと返すが、この挙動不審では明らかに怪しまれたに違いない。
 気づかれないようにしたつもりだったが、思った以上に視線を送ってしまっていたのだろうか。それとも心の声が漏れていた?

 とにかくこれ以上変な奴だという印象は持たれたくはない。
 あまりじろじろ見ないようにしよう。
 強く誓った真夜だったが、漫画の内容は全く入ってこなかった。

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