家事代行に来てくれるお兄さんがカッコよくて辛い

スマイレン

2話

 折原は、どうやらフリーで活動している家事代行屋さんらしい。
インターネットで検索しても出てこず、ホームページもない。
母は近所のおばさんに紹介され、折原さんの電話番号を聞いて予約したのだという。
 
 真夜は家事代行サービスを頼む日が来るとは夢にも思っていなかった。
決して家事が行き届いているとは言えないワンルームであるが、別にそれでも不便なく暮らせている。
それでも折原に電話をしたのは、単純な好奇心からだった。
母は小学校の時に出会った父に恋をして以来ずっと父一筋だった。
浮気はおろか好きな男性アイドルすらいない。
そんな母があれほど弾んだ声で折原の話をするのだから、興味を持つなというほうが無理だろう。
いったいどんな男性なのだろうか。
 
 予約したのは明日の11:00。
急にそわそわした真夜は床に転がったゴミを片付け、部屋を見渡した。
綺麗ではないが不潔な感じはしない。これでだらしない女だと思われることはないだろう。…多分……
 もう少し頑張りたいところではあったが、明日起きれないと困るので寝ることにした。
枕の側に置いた目覚まし時計の秒針が、いつまでも音をたてていた。

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