海の街

トキン

昼休み

 学校というのは単純だ。
 多少準備をすれば困ることのない授業、現状維持を心掛ければ失敗しない人付き合い。
 それなりであればいい。慣れれば特に考えない。
 先生の前ではそれなりのやる気を、友達の前ではそれなりの無気力を。求められるままであればいい。
 今日も、気づけば昼になっていた。日に六回の授業、四回の休み時間、一回の昼休み。もはやノルマのようだ。
 いつも通りのグループで昼食をとった。マンネリとか、考えないらしい。別に害がないから、どうでもいい。
   彼女らを好ましくないように言ってはいるが、嫌いではない。親しく付き合うのに面倒とは思わないし、自分に合った人たちだと思う。
 聞くに徹しつつ、ある程度は自分から話題を振った。私は変にコミュニケーションが取れないわけではないから、意識せずともまあまあこなせる。
 自分たち以外のグループからも笑い声が聞こえる。のんびりとした平和な昼下がり。暖かく心地いい時間。
  あれ、みんな油断してる?
 午後には眠るなるかもしれない。大丈夫だろうか。
  今この時間、壊せるかな?
 ほかの3人も同じ心配をしていたが、五限目現文、六限目地理で大丈夫だろうと言い合った。
  どうすればこの空気、変えれる?
 こんなだからテスト取れないなあ、とぼやくと、みんな同意した。特別勉強を頑張りたいわけではないから、あまり不安感はない。
  例えば大声で叫びだす?
 話のネタも尽きてきた。いつかしたような話を繰り返す。
  目の前の子を殴る?
 人気の歌、最近のドラマ、好きな俳優、嫌いな教科。
  思ったこともなかったけど、この場を壊すのなんて簡単なのかな?
 笑いながら無為に時間を過ごした。
  まあでも私は実行しないのかな?
 予鈴が鳴る。
  私が何もしなくてもこの時間が終わる?
 残り二時間。
 午後が始まる。
 席に着く。
 面倒に思う。
 準備をする。
 先生が来た。
 本鈴ももうすぐ鳴る。
 鳴った。
        この日々が続くのだろうか?

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