EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~
034 ASHギルド
翌日。マグとアテラはASHギルドに向かうため、宿泊施設を出た。
時刻は十時前と少し遅い。
施設は八時には開いているとのことだったが……。
この時間になってしまったのは、マグが疲れからか泥のように眠っていたせいだ。
ちなみにこの惑星ティアフロント。公転、自転は地球と近似しているらしい。
日付や曜日、時間の感覚は元の時代とほぼ同じで問題ない。
その辺りは植民に際し、意図して合わせているのだろう。
「ここがそうか」
端末のナビゲーションによって迷うことなく目的地に至り、建物を見上げる。
外観は如何にもライトファンタジーに登場するいわゆるギルドのイメージ通り。
両開きの扉を開けて中に入ると、正面奥に受付と受付嬢の姿が見える。
壁には如何にもな掲示板。
ただし、依頼の紙は貼られていない。
その前に立つと視界に立体映像の形で表示されるらしい。つまり雰囲気だけ。
依頼の受領も受理も端末上でできるそうだ。
だからか建物の中は閑散としている。
こうなると受付や施設そのものの意味を一瞬考えてしまうが、初心者の応対や遺跡から発見された出土品のやり取りが主な役割のようだ。
ともあれ。早速受付の前まで行き、受付嬢に話しかける。
「すみません。街の管理者に言われて来たのですが……」
「マグさんとアテラさんですね。承知しております」
既にマグ達の存在を認識していた彼女は、最初から微笑みを浮かべて応じた。
垂れ目がちでおっとりした印象を受ける顔立ちに柔和な表情。安心感がある。
前髪を一直線に揃えた長い黒髪も相まって、日本人形のようだ。
「私は受付のトリア・アントと申します。よろしくお願いいたします」
「「よろしくお願いします」」
綺麗にお辞儀をして自己紹介したトリアに、アテラ共々自然と頭が下がる。
和やかさで場を支配するような独特の空気感だ。
「今日は探索者登録とのことですが、ASHギルドについての説明は必要ですか?」
「お願いします」
「承知いたしました」
トリアは柔らかい口調で応えると、小さく咳払いをしてから再び口を開いた。
「こちらは世界を巡って未発見の遺跡を探す冒険者、発見された遺跡を探索する探索者、そして遺跡や未踏破領域から現れる外敵を排除する狩猟者のための組織です」
「冒険者、探索者、狩猟者……」
「A・S・Hですね」
「その通りです」
にこやかに首を縦に振ってアテラの確認を肯定するトリア。
ライトファンタジーに造詣があれば、その説明でおおよそ理解できる話だ。
「もっとも、完全に一つの専門という方は多くありません。大体の方は時に冒険者として、時に探索者として、時に狩猟者としてフレキシブルに活動しております」
それはそうだろうとも思うが……あるいは、そうせざるを得ないと認識すべきなのかもしれない。マグはそう頭の中で考えた。
広く浅く活動しなければ食っていけない者が溢れているのではないか、と。
専門職でやっていけるのはトップランナーだけ、ということも十分あり得る。
「マグさんとアテラさんも、ASHギルドに登録していれば探索者だけではなく、冒険者や狩猟者としても活動できますので」
選択肢として頭の片隅に入れておいて欲しいと言うように、トリアはつけ加える。
しかし、聞いた限り、機人になるという望みを叶えるには探索者以外なさそうだ。
クリルの店で働かせて貰えるおかげで生活に困ることはないはずなので、可能な限り専任で行きたいところだとマグは思った。
時刻は十時前と少し遅い。
施設は八時には開いているとのことだったが……。
この時間になってしまったのは、マグが疲れからか泥のように眠っていたせいだ。
ちなみにこの惑星ティアフロント。公転、自転は地球と近似しているらしい。
日付や曜日、時間の感覚は元の時代とほぼ同じで問題ない。
その辺りは植民に際し、意図して合わせているのだろう。
「ここがそうか」
端末のナビゲーションによって迷うことなく目的地に至り、建物を見上げる。
外観は如何にもライトファンタジーに登場するいわゆるギルドのイメージ通り。
両開きの扉を開けて中に入ると、正面奥に受付と受付嬢の姿が見える。
壁には如何にもな掲示板。
ただし、依頼の紙は貼られていない。
その前に立つと視界に立体映像の形で表示されるらしい。つまり雰囲気だけ。
依頼の受領も受理も端末上でできるそうだ。
だからか建物の中は閑散としている。
こうなると受付や施設そのものの意味を一瞬考えてしまうが、初心者の応対や遺跡から発見された出土品のやり取りが主な役割のようだ。
ともあれ。早速受付の前まで行き、受付嬢に話しかける。
「すみません。街の管理者に言われて来たのですが……」
「マグさんとアテラさんですね。承知しております」
既にマグ達の存在を認識していた彼女は、最初から微笑みを浮かべて応じた。
垂れ目がちでおっとりした印象を受ける顔立ちに柔和な表情。安心感がある。
前髪を一直線に揃えた長い黒髪も相まって、日本人形のようだ。
「私は受付のトリア・アントと申します。よろしくお願いいたします」
「「よろしくお願いします」」
綺麗にお辞儀をして自己紹介したトリアに、アテラ共々自然と頭が下がる。
和やかさで場を支配するような独特の空気感だ。
「今日は探索者登録とのことですが、ASHギルドについての説明は必要ですか?」
「お願いします」
「承知いたしました」
トリアは柔らかい口調で応えると、小さく咳払いをしてから再び口を開いた。
「こちらは世界を巡って未発見の遺跡を探す冒険者、発見された遺跡を探索する探索者、そして遺跡や未踏破領域から現れる外敵を排除する狩猟者のための組織です」
「冒険者、探索者、狩猟者……」
「A・S・Hですね」
「その通りです」
にこやかに首を縦に振ってアテラの確認を肯定するトリア。
ライトファンタジーに造詣があれば、その説明でおおよそ理解できる話だ。
「もっとも、完全に一つの専門という方は多くありません。大体の方は時に冒険者として、時に探索者として、時に狩猟者としてフレキシブルに活動しております」
それはそうだろうとも思うが……あるいは、そうせざるを得ないと認識すべきなのかもしれない。マグはそう頭の中で考えた。
広く浅く活動しなければ食っていけない者が溢れているのではないか、と。
専門職でやっていけるのはトップランナーだけ、ということも十分あり得る。
「マグさんとアテラさんも、ASHギルドに登録していれば探索者だけではなく、冒険者や狩猟者としても活動できますので」
選択肢として頭の片隅に入れておいて欲しいと言うように、トリアはつけ加える。
しかし、聞いた限り、機人になるという望みを叶えるには探索者以外なさそうだ。
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