EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~
025 アテラの力の真価
「いきり立つのはいいが、ここがどこか分かっているのか?」
脅すように近づいてくる侵入者達を前に、冷静さを保ったまま問いかけるクリル。
ここは出土品の修復屋。
周りには武器となる先史兵装がいくつも陳列されている。
彼女は最も近い位置にいる男から目を逸らさずに、素早く商品へと手を伸ばした。
しかし……。
「そんなことは重々承知の上だ」
「くっ」
リーダー格の男は一瞬の内に接近してきて、クリルの手首を掴み取ってしまった。
更に腕を捻り上げながら足を払い、彼女の幼さを残した顔を床に叩きつける。
「あぐっ、う……」
「修復能力者の貧弱な身体能力で、俺達に先んじて行動できる訳がない。【アブソーバー】の影響下ならば尚のことだ」
恐らく、本来ならば出土品を遠隔操作することもできたのだろう。
だが、今は端末の通信も妨害されている状態。
直に操作してやらなければ出土品も機能を発揮できない。
たとえ発揮できたとしても、意味をなすのは干渉系の能力のみ。
戦闘に適性のない者が訓練もなく扱い切れるものではない。
見る限り、クリルもそちら方面の技術は持っていないはずだ。
「お前達にあるのは、下らないゴロツキと見下した相手に蹂躙される未来だけだ」
男は彼女を押さえつけたまま、勝ち誇ったように告げる。
倒れ伏す側が幼い容姿をしているだけに、尚のこと卑劣極まりなく感じる。
実際、彼の性根はマグの評価通り歪んだものだろう。
怒りを禁じ得ない。
しかし、マグは身体性能的には平均以下と認定された身。
クリルを救おうにも、行動に出た瞬間に抑え込まれてしまうだけだ。
闇雲には動けない。
そう考えながらマグが打開策を模索していると――。
「アテラ! 使え!」
床に頬を押しつけられたままクリルが声を振り絞るように叫んだ。
一瞬、侵入者達の意識が全て彼女に向く。
その隙をつき、アテラは手に持っていた歯車を回転させて起動させた。
機能の説明を受けてはいないが、状況の打破にはクリルを信じる以外にない。
そう判断しての行動だろう。
「ちっ、抵抗するつもりなら――」
それを目にした男はそう忌々しげに言うと、クリルの腕を圧し折ろうとする素振りを見せて彼女を人質として使おうとした。
しかし、正にその刹那。
マグの視界からアテラの姿がかき消える。
「がっ!?」「ぐ……」「う」
野太い悲鳴が連続し、バタバタと男達が糸の切れた人形のように崩れ落ちていく。
それをマグがワンテンポ遅れて認識する間に。
「な、何、が……」
クリルを押さえつけていた男もまた、驚愕の表情を浮かべながら意識を失って床に顔から無防備に倒れ込んでしまった。
かと思えば、先程までアテラがいた位置に彼女の姿が再び現れる。
「ア、アテラ?」
そのシルエットにマグは違和感を抱いた。
一部、外見が変化しているところがある。
「旦那様は、私が守ります」
赤く染まったディスプレイを侵入者に向けながら、宣誓するように言うアテラ。
その後頭部、ポニーテール風のパーツのつけ根の部分に。
いつの間にか歯車状の装飾が追加されていた。
脅すように近づいてくる侵入者達を前に、冷静さを保ったまま問いかけるクリル。
ここは出土品の修復屋。
周りには武器となる先史兵装がいくつも陳列されている。
彼女は最も近い位置にいる男から目を逸らさずに、素早く商品へと手を伸ばした。
しかし……。
「そんなことは重々承知の上だ」
「くっ」
リーダー格の男は一瞬の内に接近してきて、クリルの手首を掴み取ってしまった。
更に腕を捻り上げながら足を払い、彼女の幼さを残した顔を床に叩きつける。
「あぐっ、う……」
「修復能力者の貧弱な身体能力で、俺達に先んじて行動できる訳がない。【アブソーバー】の影響下ならば尚のことだ」
恐らく、本来ならば出土品を遠隔操作することもできたのだろう。
だが、今は端末の通信も妨害されている状態。
直に操作してやらなければ出土品も機能を発揮できない。
たとえ発揮できたとしても、意味をなすのは干渉系の能力のみ。
戦闘に適性のない者が訓練もなく扱い切れるものではない。
見る限り、クリルもそちら方面の技術は持っていないはずだ。
「お前達にあるのは、下らないゴロツキと見下した相手に蹂躙される未来だけだ」
男は彼女を押さえつけたまま、勝ち誇ったように告げる。
倒れ伏す側が幼い容姿をしているだけに、尚のこと卑劣極まりなく感じる。
実際、彼の性根はマグの評価通り歪んだものだろう。
怒りを禁じ得ない。
しかし、マグは身体性能的には平均以下と認定された身。
クリルを救おうにも、行動に出た瞬間に抑え込まれてしまうだけだ。
闇雲には動けない。
そう考えながらマグが打開策を模索していると――。
「アテラ! 使え!」
床に頬を押しつけられたままクリルが声を振り絞るように叫んだ。
一瞬、侵入者達の意識が全て彼女に向く。
その隙をつき、アテラは手に持っていた歯車を回転させて起動させた。
機能の説明を受けてはいないが、状況の打破にはクリルを信じる以外にない。
そう判断しての行動だろう。
「ちっ、抵抗するつもりなら――」
それを目にした男はそう忌々しげに言うと、クリルの腕を圧し折ろうとする素振りを見せて彼女を人質として使おうとした。
しかし、正にその刹那。
マグの視界からアテラの姿がかき消える。
「がっ!?」「ぐ……」「う」
野太い悲鳴が連続し、バタバタと男達が糸の切れた人形のように崩れ落ちていく。
それをマグがワンテンポ遅れて認識する間に。
「な、何、が……」
クリルを押さえつけていた男もまた、驚愕の表情を浮かべながら意識を失って床に顔から無防備に倒れ込んでしまった。
かと思えば、先程までアテラがいた位置に彼女の姿が再び現れる。
「ア、アテラ?」
そのシルエットにマグは違和感を抱いた。
一部、外見が変化しているところがある。
「旦那様は、私が守ります」
赤く染まったディスプレイを侵入者に向けながら、宣誓するように言うアテラ。
その後頭部、ポニーテール風のパーツのつけ根の部分に。
いつの間にか歯車状の装飾が追加されていた。
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