天地の落とし穴~異世界たちが覚醒し、人類は激動の時代へ~
第108話 想いをつないで
俺たちの元に、アカリとハクアが駆け寄ってくる。
「皆さんご無事ですか!?この場で魔王を倒してしまうとは、さすがです」
魔王が翼を失ってからは一気に片が付いた。
これは、今まで姿消して隠れていたアキラの奇襲攻撃のおかげが大きいだろう。
「アキラの奇襲は見事だったよ。シュウとミアもいてくれたおかげで魔王を倒すことができた」
「それにしても厄介な能力だったね。シンくんとシュウくんが何度もあの能力を使わせてくれたからやっとあの能力の秘密が分かったよ」
アキラの言う能力とは、魔王の姿を消すように瞬間的に移動する能力のことだろう。
「最後はシュウの方に移動してたな。あの能力の秘密、分かったのか?」
「まああくまで僕の予想なんだけどね。おそらくは、あの能力は魔王の影の部分にしか移動できないんだ」
魔王の影という意外な発想に、俺は全く気付いていなかった。
どうりで場面が変わると移動する位置が変わっていたのか。
「そういうことだったんだな。シュウは分かってたのか?」
「ああ、二回連続でお前の横に現れた時から予想はしていた。しかし能力に気づいたことを魔王に悟られないようあえて口にはしなかった」
どうやらシュウも能力に気づいていたようだ。
それに気づかぬまま戦い続けていたことが引っかかるが、結果的に倒せたのだから良しとしよう。
「それでは、これからどうしますか?とりあえずこの大陸に滞在して、ファンディオ皇国に帰る方法を探すのが無難だとは思いますが」
「そうだね。船は帝都アルディムにあるから、まずはファンディオ皇国に戻りたいね」
「シン。ミシャルタ共和国に来て。一緒に行きたいところがあるから」
ミアの突然の発言だったが、俺はミアのミステリアスな思考には興味津々だった。
「分かった、俺もミシャルタ共和国には行ってみたいし。それなら、みんなとは帝都アルディムでも落ち合おうか」
◇
一方その頃ミシャルタ共和国では。
「村長!村の半分が消し飛びました!突如として現れた黒い魔物によって!」
家のドアが開かれると同時に慌てた様子の男が中にいる老人に叫んだ。
「まあ落ち着け。何が起きたのか順序立てて説明するのだ」
「はい、村の南部に現れた黒いドロドロとした魔物を、村人が槍で攻撃したのです。すると突然魔物が爆発して。私は遠くから見ていたので吹き飛ばされるだけで済みましたが、村の建物の半分は消し飛びました」
「これも世界の変動の影響なのかもしれんな。できるだけ少数の者で爆発した地点を調べよ。魔物がもし生存していた場合手出しはせず、距離をとって観察するのだ」
村人たちは怪我人を治療する傍ら、爆発した場所に近づいた。
すると、ドロドロとした黒い魔物はそこから少しずつ移動していたのだった。
そして、そんな村の様子を上空から見ていた少女がいた。
透き通るような白い肌に、左右で結ばれた長い髪。
長く伸ばされた爪は真っ赤に染まっており、全身は黒いドレスを纏っている。
「ランダギウスがいなくなったおかげで私もこちらの世界に来れたみたいね。でも、私が来れるということは、あいつらも同じのはず。これは急ぐ必要がありそうね」
彼女の正体と、その目的とは一体。
天地の落とし穴-完-
「皆さんご無事ですか!?この場で魔王を倒してしまうとは、さすがです」
魔王が翼を失ってからは一気に片が付いた。
これは、今まで姿消して隠れていたアキラの奇襲攻撃のおかげが大きいだろう。
「アキラの奇襲は見事だったよ。シュウとミアもいてくれたおかげで魔王を倒すことができた」
「それにしても厄介な能力だったね。シンくんとシュウくんが何度もあの能力を使わせてくれたからやっとあの能力の秘密が分かったよ」
アキラの言う能力とは、魔王の姿を消すように瞬間的に移動する能力のことだろう。
「最後はシュウの方に移動してたな。あの能力の秘密、分かったのか?」
「まああくまで僕の予想なんだけどね。おそらくは、あの能力は魔王の影の部分にしか移動できないんだ」
魔王の影という意外な発想に、俺は全く気付いていなかった。
どうりで場面が変わると移動する位置が変わっていたのか。
「そういうことだったんだな。シュウは分かってたのか?」
「ああ、二回連続でお前の横に現れた時から予想はしていた。しかし能力に気づいたことを魔王に悟られないようあえて口にはしなかった」
どうやらシュウも能力に気づいていたようだ。
それに気づかぬまま戦い続けていたことが引っかかるが、結果的に倒せたのだから良しとしよう。
「それでは、これからどうしますか?とりあえずこの大陸に滞在して、ファンディオ皇国に帰る方法を探すのが無難だとは思いますが」
「そうだね。船は帝都アルディムにあるから、まずはファンディオ皇国に戻りたいね」
「シン。ミシャルタ共和国に来て。一緒に行きたいところがあるから」
ミアの突然の発言だったが、俺はミアのミステリアスな思考には興味津々だった。
「分かった、俺もミシャルタ共和国には行ってみたいし。それなら、みんなとは帝都アルディムでも落ち合おうか」
◇
一方その頃ミシャルタ共和国では。
「村長!村の半分が消し飛びました!突如として現れた黒い魔物によって!」
家のドアが開かれると同時に慌てた様子の男が中にいる老人に叫んだ。
「まあ落ち着け。何が起きたのか順序立てて説明するのだ」
「はい、村の南部に現れた黒いドロドロとした魔物を、村人が槍で攻撃したのです。すると突然魔物が爆発して。私は遠くから見ていたので吹き飛ばされるだけで済みましたが、村の建物の半分は消し飛びました」
「これも世界の変動の影響なのかもしれんな。できるだけ少数の者で爆発した地点を調べよ。魔物がもし生存していた場合手出しはせず、距離をとって観察するのだ」
村人たちは怪我人を治療する傍ら、爆発した場所に近づいた。
すると、ドロドロとした黒い魔物はそこから少しずつ移動していたのだった。
そして、そんな村の様子を上空から見ていた少女がいた。
透き通るような白い肌に、左右で結ばれた長い髪。
長く伸ばされた爪は真っ赤に染まっており、全身は黒いドレスを纏っている。
「ランダギウスがいなくなったおかげで私もこちらの世界に来れたみたいね。でも、私が来れるということは、あいつらも同じのはず。これは急ぐ必要がありそうね」
彼女の正体と、その目的とは一体。
天地の落とし穴-完-
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