天地の落とし穴~異世界たちが覚醒し、人類は激動の時代へ~
第96話旅は道連れ
-シン視点-
俺たちが帝都アルディムに到着した日の次の朝。
俺たちは、宿屋のロビーでみんなで話をしていた。
火炎斬を使えるキースがいたことをアキラとアカリにも報告すると、二人は喜んでくれた。
「キースくんが火炎斬を練習してくれていて助かったね。これでとりあえずは、ランデリア王国に帰ることができる、ってことかな」
「そうだな。アキラの方は、調べたいことは調べられたのか?」
「それが、どうも僕の尊敬していた教授と彼が研究していた内容については今は国が管理しているらしいんだ。それで、僕には何も伝えてもらえなかったよ」
アキラの言う教授は、俺が戦った黒い炎使いに殺されたと考えて間違いないはずだ。
魔族と関わっているあの男についてファンディオ皇国が調べることができるとは到底思えないが、どういう事情があるのだろうか。
「そうだったのか。それは残念だったな。何か調べたいことがあるなら俺も手伝うけど」
「いや、おそらくこのことについては深く調べない方がいいと思う。僕の憶測だけど、教授の研究を快く思っていなかった人たちが絡んでいると思うんだ」
「ファンディオ皇国にもいろいろあるんだな。それでアカリの方はどうだったんだ?キースが今日会いに宿屋に来るって言ってたけど」
俺の問いかけに、アカリは小さな声で答えた。
「シンさん、実は話しておきたいことがあります。他のみなさんも一緒に話を聞いておいてください」
アカリの突然の呼びかけに、全員が反応した。
「私の知る限りではこのファンディオ皇国においてですが、一つの噂があるんです。それはおそらく、今回の大陸の出現とも関係していると思うのですが」
ファンディオ皇国にある噂と言うのなら、アキラも知っているのだろうか。
俺はアキラの方を見るが、アキラは首を横に振った。
「世界が大きく動く時、魔王が復活する。そして、その魔王を倒すために勇者が立ち上がるというものです」
「確かに、世界が大きく動く時と言うと今だよね。本当に魔王が復活するとしたら、魔族たちが影で動いているはず」
「ええ、それでその勇者についてなのですが。私とシンさんとアキラさんは、足元に大穴が開く天地の落とし穴を経験しましたよね」
「確かにそうだけど。天地の落とし穴って言うの?あれは」
「そうです。そして、天地の落とし穴は、勇者を選別するために発生すると考えられています」
天地の落とし穴というのを最初に経験したのは、おそらくは最初にファンディオ皇国のあったアイルスという名の世界に入った時だ。
となれば、天地の落とし穴というのは俺をこの世界に呼び寄せた存在と関係しているはず。
俺は話そうか迷っていたが、まずはアカリの話を聞いてから決めようと考えた。
「さらに、その天地の落とし穴で別の世界に行ったのは私たち三人以外に知りません。そんな経験をしたのだからこそ、私はシンさんかアキラさんのどちらかが勇者なのではないかと思っています」
俺たちを取り巻く空気に、ピリピリとした緊張感が走る。
俺とアキラは特に頭の中で様々な考えを巡らせているだろう。
「それで、その魔王とやらは復活したのか?そうであれば倒しにいくということか」
「それは、私にもわかりません。しかし、これはあくまでファンディオ皇国での話ですから、シュウさんやハクアさんには関係ないかもしれませんが」
「いや、そんなことはないぞ。魔王とやらと戦うのであればもちろんわしらも協力する。そうじゃろ?シュウ」
「そうだな。だが、魔王の居場所が分かるまでは何もすることはないだろう。まずは魔道具を持ってランデリアに帰りたい」
「それなら、みんなで一緒に魔王を倒しましょう。みなさん、ここに手を重ねてください」
俺たちが立ち上がり、ロビーの中央に集まったその時。
俺たちの足元に、大穴が開いた。
俺たちが帝都アルディムに到着した日の次の朝。
俺たちは、宿屋のロビーでみんなで話をしていた。
火炎斬を使えるキースがいたことをアキラとアカリにも報告すると、二人は喜んでくれた。
「キースくんが火炎斬を練習してくれていて助かったね。これでとりあえずは、ランデリア王国に帰ることができる、ってことかな」
「そうだな。アキラの方は、調べたいことは調べられたのか?」
「それが、どうも僕の尊敬していた教授と彼が研究していた内容については今は国が管理しているらしいんだ。それで、僕には何も伝えてもらえなかったよ」
アキラの言う教授は、俺が戦った黒い炎使いに殺されたと考えて間違いないはずだ。
魔族と関わっているあの男についてファンディオ皇国が調べることができるとは到底思えないが、どういう事情があるのだろうか。
「そうだったのか。それは残念だったな。何か調べたいことがあるなら俺も手伝うけど」
「いや、おそらくこのことについては深く調べない方がいいと思う。僕の憶測だけど、教授の研究を快く思っていなかった人たちが絡んでいると思うんだ」
「ファンディオ皇国にもいろいろあるんだな。それでアカリの方はどうだったんだ?キースが今日会いに宿屋に来るって言ってたけど」
俺の問いかけに、アカリは小さな声で答えた。
「シンさん、実は話しておきたいことがあります。他のみなさんも一緒に話を聞いておいてください」
アカリの突然の呼びかけに、全員が反応した。
「私の知る限りではこのファンディオ皇国においてですが、一つの噂があるんです。それはおそらく、今回の大陸の出現とも関係していると思うのですが」
ファンディオ皇国にある噂と言うのなら、アキラも知っているのだろうか。
俺はアキラの方を見るが、アキラは首を横に振った。
「世界が大きく動く時、魔王が復活する。そして、その魔王を倒すために勇者が立ち上がるというものです」
「確かに、世界が大きく動く時と言うと今だよね。本当に魔王が復活するとしたら、魔族たちが影で動いているはず」
「ええ、それでその勇者についてなのですが。私とシンさんとアキラさんは、足元に大穴が開く天地の落とし穴を経験しましたよね」
「確かにそうだけど。天地の落とし穴って言うの?あれは」
「そうです。そして、天地の落とし穴は、勇者を選別するために発生すると考えられています」
天地の落とし穴というのを最初に経験したのは、おそらくは最初にファンディオ皇国のあったアイルスという名の世界に入った時だ。
となれば、天地の落とし穴というのは俺をこの世界に呼び寄せた存在と関係しているはず。
俺は話そうか迷っていたが、まずはアカリの話を聞いてから決めようと考えた。
「さらに、その天地の落とし穴で別の世界に行ったのは私たち三人以外に知りません。そんな経験をしたのだからこそ、私はシンさんかアキラさんのどちらかが勇者なのではないかと思っています」
俺たちを取り巻く空気に、ピリピリとした緊張感が走る。
俺とアキラは特に頭の中で様々な考えを巡らせているだろう。
「それで、その魔王とやらは復活したのか?そうであれば倒しにいくということか」
「それは、私にもわかりません。しかし、これはあくまでファンディオ皇国での話ですから、シュウさんやハクアさんには関係ないかもしれませんが」
「いや、そんなことはないぞ。魔王とやらと戦うのであればもちろんわしらも協力する。そうじゃろ?シュウ」
「そうだな。だが、魔王の居場所が分かるまでは何もすることはないだろう。まずは魔道具を持ってランデリアに帰りたい」
「それなら、みんなで一緒に魔王を倒しましょう。みなさん、ここに手を重ねてください」
俺たちが立ち上がり、ロビーの中央に集まったその時。
俺たちの足元に、大穴が開いた。
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