天地の落とし穴~異世界たちが覚醒し、人類は激動の時代へ~

天地新生

第94話 孤軍奮闘

 動き始めた私を狙って兵士たちの撃った銃弾が飛んでくる。


 私はすべての銃弾を避けるために空中に跳んだ。


 兵士たちの射撃の音が一度に鳴り止む。


 兵士たちは、私が着地する瞬間を狙って攻撃するつもりなのだろう。


 思考を読むまでもなくそれを理解した私は、能力の発動準備をした。


 私が着地すると、予想通り兵士たちの銃からまた銃弾が放たれ始めた。


 着地した地点からならギリギリ石柱までが能力の発動範囲だ。


 私は能力を同時に二つの目的で発動した。


 一つ目の能力の発動で私の周りに地面から壁が発生し、銃弾を防ぐ。


 さらにもう一つの狙いである石柱を、地面が槍の形になって貫いた。


 石柱の一つは破壊されて崩れた。


 それに伴って二本の石柱の間に発生していた空間の歪みは消えて無くなった。


 これで魔族の侵入は止めることができた。


 しかし、私が石柱を破壊するより前に二体の魔族と一人の人間がすでに洞窟内に侵入している。


 そのうちの赤い肌をした小さな一体の魔族が私の能力を見て口を開いた。


「なるほど、石柱を壊されてしまいましたか。ですがワタクシたちの計画に変更はありません」


 敵の数は多く、魔族たちの強さは未知数だ。


 能力をすでに見せた私は一気に敵の数を減らすため、荒業を使うことにした。


 私が両手を地面につけるが、その様子は私の周囲に壁を発生させたため敵からは見えない。


 少しの時間が経過して、地面全体が揺れ始める。


 私を囲む兵士たちが慌てている様子が聞こえるが、私は能力を一気に解放した。


 私の周囲を除く地面のすべてから槍のような大きな突起が飛び出す。


 それらの突起は兵士たちを貫いた。


 私は、周囲の壁に穴を開けて他の敵の様子を見た。


 魔族たちは、魔力障壁で攻撃を防いだようだ。


 ダルゾンは近くに付き添っていた白く長い髪をした男が抱えて遠くに退避していた。


 ダルゾンは戦闘には参加しないであろうことを考えると、敵は四人。


 魔族たちの強さは、魔力障壁の強さからしてわざわざダルゾンたちが呼び寄せただけのことはある。


 私が敵の出方を窺っていると、ダルゾンの仲間とみられる白髪の長い髪をした男が動いた。


 その男は私を囲っている壁の上から何かを投げ込んでくる。


 私はその男の思考を読み取り、それが爆発物であることを知った。


 私は咄嗟に地面から手を離し、壁と地面から飛び出させた無数の突起を解除した。


 私は爆発物から離れるべく、私の能力で貫いた兵士たちの元まで後退した。


 爆発物が爆発すると同時に、何かが私の足を掴んできた。

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