天地の落とし穴~異世界たちが覚醒し、人類は激動の時代へ~
第85話 歓迎の裏には
-シン視点-
船にいたメンバーとビトリと人魚姫を加えて全員集まった俺たちはダルゾンに応接間に案内された。
シュウと帝国の銃騎士長ゼスタは負傷しているため、治療を受けていた。
そんな中、ダルゾンがこの重たい空気を打ち破った。
「それでは改めて、ようこそギンガル帝国へ。部分的に荒々しい交流となってしまったが、我々は君たちを歓迎するよ」
ダルゾンの言葉に一同が安心する中、アカリは少し違う受け取り方をしていた。
「ダルゾンさん、あなたはいつから私たちがこの国に入ったことをご存知だったんですか?私たちが戦う必要などあったのでしょうか」
アカリの言葉に、声を出して笑ったダルゾンは表情を直して答えた。
「すまないね、儂はもちろん歓迎するつもりだったよ。ただね、まさかこの宮殿内に忍び込んでいたのが異国の者たちだとは思わなかったのだよ」
ダルゾンの返答にアカリは納得のいかないような顔をしたが、続けて質問をぶつけた。
「あなたたちがアンダールートという名の組織と密接関わり合っていることは分かっています。そんなアンダールートに捕まった人魚姫がここに囚われていたのはどういうことなんですか?」
「アンダールートが国のために動いているという面があるのは事実だが、それは一部のメンバーの話だ。そのメンバーが、見たことも聞いたこともない幻の存在を見つけたというので、国に報告するために連れてきたのだ」
「ちょっと待つッス。アンダールートの連中は人魚姫様を売るって言ってたッスよ」
「アンダールートの下っ端がどういうつもりでそう言ったのかは分からないが国からアンダールートに報酬が支払われたのは確かだ」
溢れ出る質問に答えていたダルゾンだったが、今度は人魚姫が口を開いた。
「私は、牢屋で多くの子どもたちを見ました。あなたたちはあの子たちをどうするつもりなんですか?」
「大半は国のために働くことになるよ。一部の子どもたちは裕福な家に引き取られる。子どもに何か吹き込まれたかな?」
「そういうわけではありませんが、あの子たちは親に売られたと言っていました。そのような事態になる環境がおかしいのではないでしょうか」
「この国では一日を生きていくのが大変な者もいる。すべては彼らの自由な選択だよ。それに、売られた子どもが必ずしも不幸になるわけではない」
「あの子どもたちを、引き取らせてください。ここから離れた孤島で育てます」
人魚姫のいきなりの発言にビトリもコッジも含めて驚いたが、ビトリが止めに入る中ダルゾンが否定する。
「悪いがこの国の内情に関わることは認められんな。どうしてもというのならこの国で金を稼いで、金を払って引き取るのだ」
「あの子たちに幸せになってほしいんです。どうかお願いします」
「姫様、おやめください!こちらの要求に応じて姫様の身を解放してくださるというだけでも幸運と思わねばなりません」
「ギンガル帝国には独自のやり方がある。そこで生きる者たちに、下手に手を出さない方がいい、とだけ言っておこう」
「それで、どうして私たちを宮殿の中に入れてまで歓迎し、人魚姫を解放してくださったのですか?」
「我々は君たちと争う気はないのだよ。それに、君たちはさらにここから東に出現した国に向かうのだろう」
俺たちがこの国に入った目的とファンディオ皇国を目指しているということはすでに話している。
驚いたのは、ダルゾンがすでに五つの大陸が同じ世界に存在しているということを知っていたことだ。
「わしらはもう行った方がよいじゃろう。世話になったな。ついでに聞いておくが、わしらが東に向かう際に立ち寄れる港はあるか?」
ダルゾンは、俺たちに帝都アデスティアより東にある港町を教えてくれた。
さらに、ギンガル帝国が発行している通行許可証を渡してくれた。
これがあれば、代金をとられることなく停泊できるらしい。
俺たちはダルゾンにお礼を言って宮殿を去ることにした。
船にいたメンバーとビトリと人魚姫を加えて全員集まった俺たちはダルゾンに応接間に案内された。
シュウと帝国の銃騎士長ゼスタは負傷しているため、治療を受けていた。
そんな中、ダルゾンがこの重たい空気を打ち破った。
「それでは改めて、ようこそギンガル帝国へ。部分的に荒々しい交流となってしまったが、我々は君たちを歓迎するよ」
ダルゾンの言葉に一同が安心する中、アカリは少し違う受け取り方をしていた。
「ダルゾンさん、あなたはいつから私たちがこの国に入ったことをご存知だったんですか?私たちが戦う必要などあったのでしょうか」
アカリの言葉に、声を出して笑ったダルゾンは表情を直して答えた。
「すまないね、儂はもちろん歓迎するつもりだったよ。ただね、まさかこの宮殿内に忍び込んでいたのが異国の者たちだとは思わなかったのだよ」
ダルゾンの返答にアカリは納得のいかないような顔をしたが、続けて質問をぶつけた。
「あなたたちがアンダールートという名の組織と密接関わり合っていることは分かっています。そんなアンダールートに捕まった人魚姫がここに囚われていたのはどういうことなんですか?」
「アンダールートが国のために動いているという面があるのは事実だが、それは一部のメンバーの話だ。そのメンバーが、見たことも聞いたこともない幻の存在を見つけたというので、国に報告するために連れてきたのだ」
「ちょっと待つッス。アンダールートの連中は人魚姫様を売るって言ってたッスよ」
「アンダールートの下っ端がどういうつもりでそう言ったのかは分からないが国からアンダールートに報酬が支払われたのは確かだ」
溢れ出る質問に答えていたダルゾンだったが、今度は人魚姫が口を開いた。
「私は、牢屋で多くの子どもたちを見ました。あなたたちはあの子たちをどうするつもりなんですか?」
「大半は国のために働くことになるよ。一部の子どもたちは裕福な家に引き取られる。子どもに何か吹き込まれたかな?」
「そういうわけではありませんが、あの子たちは親に売られたと言っていました。そのような事態になる環境がおかしいのではないでしょうか」
「この国では一日を生きていくのが大変な者もいる。すべては彼らの自由な選択だよ。それに、売られた子どもが必ずしも不幸になるわけではない」
「あの子どもたちを、引き取らせてください。ここから離れた孤島で育てます」
人魚姫のいきなりの発言にビトリもコッジも含めて驚いたが、ビトリが止めに入る中ダルゾンが否定する。
「悪いがこの国の内情に関わることは認められんな。どうしてもというのならこの国で金を稼いで、金を払って引き取るのだ」
「あの子たちに幸せになってほしいんです。どうかお願いします」
「姫様、おやめください!こちらの要求に応じて姫様の身を解放してくださるというだけでも幸運と思わねばなりません」
「ギンガル帝国には独自のやり方がある。そこで生きる者たちに、下手に手を出さない方がいい、とだけ言っておこう」
「それで、どうして私たちを宮殿の中に入れてまで歓迎し、人魚姫を解放してくださったのですか?」
「我々は君たちと争う気はないのだよ。それに、君たちはさらにここから東に出現した国に向かうのだろう」
俺たちがこの国に入った目的とファンディオ皇国を目指しているということはすでに話している。
驚いたのは、ダルゾンがすでに五つの大陸が同じ世界に存在しているということを知っていたことだ。
「わしらはもう行った方がよいじゃろう。世話になったな。ついでに聞いておくが、わしらが東に向かう際に立ち寄れる港はあるか?」
ダルゾンは、俺たちに帝都アデスティアより東にある港町を教えてくれた。
さらに、ギンガル帝国が発行している通行許可証を渡してくれた。
これがあれば、代金をとられることなく停泊できるらしい。
俺たちはダルゾンにお礼を言って宮殿を去ることにした。
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