第８２話　異国の戦術

-シュウ視点-


「分かりました。では、私は剣の能力と魔法でできる限り上にいる兵士を攻撃します。シュウさんもできるだけ早く敵を倒してください」


　アカリは離れた敵を攻撃する手段を持っている。


　それに、大広間で待ち受けていたこの男は俺が戦うべきだろう。


　俺たちはそれぞれの役割を決めてこの戦いに挑むことにした。


　アカリも剣を抜き、ゼスタと名乗った男は両手に銃を持ち、俺たちに向けた。


　その瞬間、大広間の上部にいる兵士たちが一斉に銃を撃ち始めた。


　俺は前方に、アカリは後方に下がって銃弾を避ける。


　ゼスタは二つの銃で俺を狙って銃弾を放った。


　敵が使っている武器は銃と言うらしく、遠距離から敵を攻撃できるというのが長所だが、欠点もある。


　使い続けると弾が切れて銃弾を補充するまで使えないこと、銃の向きからその攻撃の方向を見極めて避けることができることだ。


　もちろん銃弾は速く、避けるのは簡単ではないが、妖力を使って移動を行えば避けることができる。


　距離がこれだけ離れていればさらに避けやすい。


　敵は銃を使うことに慣れているため、接近することさえできればこちらが有利だろう。


　俺はそう思い、ゼスタの放った銃弾を横に避けた後、妖力を足に込めて全力で前に踏み込んだ。


　俺は地面を蹴って空中に浮き、かなりのスピードでゼスタに急接近する。


　ゼスタはそんな俺を狙って銃を撃ってくる。


　俺は、銃弾を避けるために地面に足を着いた。


　しかし、その瞬間慣れない感触を足の裏で感じた。


　その直後、地面が突然爆発した。


　俺は爆風で吹き飛ばされる。


　辺りに立ち込める煙、俺がいた場所からは炎が燃え上がっている。


　俺は咄嗟に妖力でガードしたが、それでも足からは血が流れ出ている。


　敵は地面に罠まで仕掛けていたか。


　さらに部屋の上部にいる兵士たちが俺を狙って一斉に撃ち始めた。


　敵が俺たちをこの部屋に誘き出した時点で、こちらはかなり不利だったようだ。


　だが、あの男に近づくことさえできればなんとかなるはずだ。


　俺は、飛んでくる銃弾を避けながら額の辺りに妖力を集中させ、霊眼解放の準備をした。


　銃弾を避けるために移動していた俺は、再び足の裏に違和感を感じた。


　その瞬間、強烈な爆発がまたしても俺を襲う。


　しかし、今回は俺は自ら後ろに飛ぶことで爆発の威力を相殺し、妖力でガードしたおかげで傷を負わずに済んだ。


　どうやら霊眼解放が間に合ったようだ。


　銃弾も少し俺を掠ったが、妖力により傷はできていない。


　俺は、ゼスタに向かって一気に進み始めた。